■京都大学・吉田キャンパス本部構内(国立・京都市左京区)
京大を象徴する時計塔があるのが、吉田キャンパスの本部構内だ。
本部というだけあって、建物の作りは最も充実している。面積は16万平米。
東大に比べて、さまざまな様式とカラーがあふれている。クラシックでありながら自由、あるいはファンキーといえる作りだ。
まさに大学のイメージそのもの。
見どころは多いので、巻いて行く。
まず時計台。1925年、京大建築学科の創始者である武田五一と、長瀬狂三、板静雄の作。
つや消しっぽいベンガラというかあずき色というか。写真で見るより、さらに明るい雰囲気を感じさせる。
ここもそうなのだが、京大の建物は、タイル張りはタイル張りでも、馬積みではなく芋積みに貼ってあるのが多い。
それがレンガ風の重々しさではなく、モダンな軽快さを生み出している。のだろうか?
裏手はこんなガラス張りに改築されていた。
り口わきの保険診療所も武田五一などの作。テラコッタの飾りがなかなか凝っている。
そのとなり、旧石油化学教室本館は1889年の山本治兵衛作と、かなり古い。辰野式っぽい色遣いだが、シンプルな作りだ。
立派な石造りのルネッサーンスな建物に見える「文学部陳列館」は、実はレンガ造だそうだ。
1914年の山本治兵衛・永瀬狂三設計。
法経済学部本館は、1933年の大倉三郎設計。
そんでもって擬洋風建築の尊攘堂。
コンクリ打ちっぱなしの文学部校舎。
その対面が、古びた文学部東館。
この東館、とても素敵なモザイクが柱に施され、それだけで二重丸だ。
工学部土木学工学教室本館は、1917年の山本治兵衛・永瀬狂三設計の赤レンガ。
おとなりの工学部建築学教室本館。1922年、時計台と同じく、武田五一自らの設計だ。
丸みのある中央部やタイル飾りが新鮮。当時としては、相当に新しくてモダンな建物と感じられたのではないだろうか。
なんだか人の顔に見えてしまう学術研究支援棟もある。
締めは市川記念館。
ほかにも、現代的な建物がいろいろ。
そして校舎に貼られたタイルが、午後の光を反射している。