■横浜市立大学・金沢八景キャンパス(公立・横浜市金沢区)
村野藤吾設計の本館(1963年竣工)と庭園はスケールが大きく、端正で美しい。
あと、山本理顕と飯田善彦の物件もある。結構豪華だ。
村野藤吾は早大卒で関西を中心に活躍した建築家。
「東大閥・東京文化への対抗馬」みたいな立ち位置にあった人だ。
東京で今も見ることができる建物というと、有楽町のビックカメラ(読売会館)や、日生劇場だろう。
両方とも完成した時、東京の意識高い系評論家から激しくダメ出しされた過去を持つ。
ということはさておき、キャンパスは駅から歩いてすぐ。学生数3500人。
失礼ながら、達筆というよりヘタウマ系の香りを感じてしまう門柱を通って入場。
面積は体感で5万平米ちょっとと感じたが、後で調べると10万平米あった。
すばらしいキャンパスなので時を忘れて過ごしてしまった、ということにしておこう。
門から中に入ると、まず見えるのが市大交流プラザと、その向こうのYCUスクエア。現役大物建築家、山本理顕の設計。
振り返ったこちら、交流棟が、飯田善彦。
ぱっと見、逆かと思った。センターが飯田で、交流棟が山本かと。
まあ、どちらも、ぴかぴかの現代建築だ。
くつろぎ用のベンチやテーブルもおしゃれだ。
それはさておき、見所は本館と中庭と講堂だ。ここから中庭に入る。
口の字状の本館の中に庭、そして池と講堂。端正な白壁に明るい緑の屋根が美しい。
庭と池もよい。ベンチに腰掛けて、何時間も建物を眺めていられそうだ。
もちろん、本を読んだり、生協で買ったパンを食べたりするのにもぴったりだ。
亀甲型の講堂もいい感じだ。
一見して、「いかにも大学」というよりかは、「むしろ宮殿?」っぽい印象を受けたが、シンプルな窓の反復のリズム感に、実にモダンな建物だと感じさせられる。
この手の建物の場合、普通は1階部分をどっしりとした感じで作って、建物と地面の区切りとする。上の階に行くほど軽く仕上げ、そのまま空に溶け込ませる場合が多い。
が、この建物は、1階2階はするりと地面から立ち上がり、逆に3階部分の窓が目立つようになっている。
屋根の軒もしっかりと出されて、影を壁に落とす。空に溶け込まず、空と建物の境界線がしっかり引かれている。
さて、メーンストリートに戻る。
ほかには、総合研究教育棟も嫌いじゃ無い。要塞みたいでかっこいい。
生協食堂そのほかが入るシーガルプラザも、微妙な古典様式パーツ(と言って良いの?)が嫌いじゃ無い。
もう一つの見物は、サークル棟だ。おざなりなコンクリート箱ですませている大学が多いが、すごく良い。
しかも本館に平仄を合わせたのか、こちらも口の字型(というか、長方形だが)になっている。
中央スペースは吹き抜けで、空がまぶしい。