■宇都宮大学・陽東キャンパス(国立・栃木県宇都宮市陽東) 



行くなら午前中だ。早ければ早いほど良い。 

 

このキャンパスの見ものはオプティクス教育研究センターの東壁。陽の光を乱反射する姿が拝めるのは午前中だけなのだ。 

 

 

煌めいている。 

 

 

煌めきがゆらゆらと揺れている、波打っている。 

 

写真ではわからないので、動画もどうぞ。

 

 

山本理顕の設計で工学部の付置研究施設。建物から少し離れた位置にワイヤーを張り、9.5センチ角の鏡面仕上げステンレスプレートを市松状に市松状につるした。 

 

 

下辺は固定せず、つるしているだけ。 

 

周囲の風景がプレートに映り込み、光を反射する。やわらかい風でプレートが揺れると、水面に波紋が広がっていくかのようだ。 

 

市松状のプレート配置だから全反射にはならない。半透過的な淡い反射光。 

 

 

午後に行ってもダメとは言わないが、せっかく宇都宮まで行くなら午前にここを見て、午後に同じ宇都宮大の峯キャンパスや県庁旧庁舎を見るのがいいと思う。 

 

迷ったのだが、ランチは学食で食べてみた。 

 

 

正直、大学の学食はどこもいわゆる「大手給食業者」または「生協チェーン」が運営していて、わざわざ「味を楽しむ」ために行く場所ではないと思う。 

 

要するに、おなじみの学食の味が悪いとは言わないけど、せっかく宇都宮まで来たんだから土地の名物を、ということだ。 

 

ただ学食「石井会館」の壁がいい感じだったので、ふらふらと。 

 

でもやっぱり、味はお馴染みの学食だった。 

 

そのほかの見ものとしては、ものづくり創成工学センターだろうか。 

 

 

東側のコンクリ面もいいが、北側の石積み装飾の外壁が良い。記念撮影用のベンチ?もおいてある。 

 

 

その奥の壁面もいい。 

 

 

傍の倉庫は、レトロな欧米の農村風景風?とでもいえそうか。水彩画のように美しい。 

 

 

宇都宮大学は、もう一つの峰キャンパスの超充実した庭園設計が印象的だが、こちら陽東もそのよすがはなくもない。 

 

 

保健看護センター前や、その先もちょっとした庭として整備されている。紅葉もきれいだ。

 

 

あとは10号館や地域デザインセンターだろうか。 

 

 

 

典型的地方国立大建築の1号館や7号館も、タイルの色がとても良い。 

 

 

 

 

休憩スペースも大谷石。さすが宇都宮大。 

 

 

東日本大震災で発生した大谷石のがれきを引き取り、学生が手作業で作ったそうだ。角が欠けたり大きさが不揃いだったりするが、むしろその結果、遺跡のような時間経過感、風格を醸し出している。

 

工学部生など約2000人が通う、11万平米のキャンパス。 

 

 

峰キャンパスよりも広いのに意外とあっさり見終わるのは、建物の密度が薄いからだろう。 

 

北海道大学ほどでないにせよ、広い敷地にぽつぽつと建物が建っているという印象だ。 

 

 

だがそれもまたよし。北関東らしい眺めだと思う。 

 

ところで工学部だけの単独キャンパスとなっているので、最初は宇都宮大を「旧制の農林高等学校と工業高等専門学校がくっついて新制大学に昇格した」のだと思っていた。 

 

 

農林学校跡地が峰キャンパスになり、工業高専が陽東キャンパスになったのだと考えていた。 

 

が、そうではないらしい。宇大工学部は戦後高度成長期の新設校だそうだ。 

 

栃木県内に理系の高等教育機関がなかったため、栃木の政財界の有力者の要望で1961年、国立宇都宮工業短期大学が設置された。それが64年に宇大に吸収されたわけだ。 

 

 

 

  交通メモ 

 

宇都宮大学(陽東キャンパス・国立) 

 

住所: 栃木県宇都宮市陽東 

 

JR東京駅から宇都宮線で2時間弱で宇都宮駅に到着。バスで7,8分で文系学部・農学部の入る峰キャンパスに到着し、さらに2,3分乗り続けると陽東に到着だ。宇都宮大は両キャンパスとも見る価値ある。県庁旧庁舎もハイレベル。あとは餃子とレモン牛乳。