なんか凄。

バトルの霊感みたいなものが、羽生結弦新SPショパンの「バラードNo.1」を透して脳内シナプスをぴしぴしと刺激されます。



お写真はマイナビニュースより。2007.東京ワールド。



こないだっからこのバラードNo.1をきりも無しに聴いているんですが、先日一部TV放送されDOIで発表されたそのプログラム全貌をはじめて観て聴いて、まず痺れたのはアクセルからイーグルイーグルが終わったあとの曲の転調ってか編集。

印象的なはじまりの一音、序奏から静かに第1主題が奏でられ、羽生選手の入りの振り付けのようにちゃらららら~んら~んら~ん・・ちゃららら~・・と目を瞑り首を廻してる気分で観ているとあひゃ…と慄いてっからはあっという間にフィニッシュ。
あゝ…甘さのかけらもない。斬った。ものの見事にぶったぎった。
第一主題に沿った流れを鋭利に貫き、甘く鮮やかに展開するパートは見向きもしない。再び展開される第一主題から終盤の狂おしく鳴り響くコーダへ怒涛の攻め。ゲロ。

うん。甘くはならないーとは思っていたんです。で、どう編集すんだぁ…りいうのが俄然楽しみだったのですが、バトル・・あんたって人は・・・
今の時点でのかんそはこれに尽きます。

そしてバトルが感じる羽生結弦というのはこうなんだ、、という思い込みが拡がりまくる。
なんだかメラメラと燃えさかる炎が絶対あるんだな。ある意味『パリ散』といっしょやん。
それにしても狂おしい。

で羽生選手ご自身はまだ「10%の出来」と仰っていたようで、この談話を知ってから観たのですが、確かに。これは「10%」ーもしかすっと逆盛りでこう言っておられるのかもしれやせんで、観させていただいた方は、28%くらい言ってもよくね?ですがぁ。。
はい。今の段階で諸手を上げて絶賛するのはむしろこんなプログラムやろうっていって用意してきた彼等に申し訳ない。鬼の師匠ジェフリー・バトルとその共犯者、いや事の首謀者ともいうべき羽生結弦に。
この二人とピアノ奏者のシナプス乱舞乱射で観ているだけでこっちはぷすぷすと焼け焦げてしまいそうですよ。だからやっぱりバトル氏のはにゅう設定基本パリ散といっしょだよしかもこのバラ1は狂おしい。
聞くところによるとピアノ曲ははにゅう設定で希望されたようですが、それを受けたバトルはこのショパンのバラ1でこの編集、というかフレーズ旋律がすぐさまピピっと来たんではなかろうか?という愉しい妄想も数知れず湧いて来ます。

このプログラム、スケート新年明け早々に言うのもなんざますが、来シーズン持ち越しして完成さすっていっても全然まったく1ミリ足りとも怒らないよ。
その位、これ、コンペで何処まで出来るのか…とまた身震いが致しました。
けれども、もし彼等がこの仕事をやり遂げたなら、フィギュアスケートの稀に見る奇特なクラシックプログラムとして、バトルの・・アディオス・ノニーノもSPって並びとしてはいいんだけんどここは、グールド・トリビュート、チャンのエレジー、羽生のバラ1、と語り継がれるんじゃないかしらん。。というかそれ、狙っておくれ、お二人さん。
いや言われるまでもなく、上向いんてるんですよね。とんでもない高みを。
余計なお世話をすんません。



てことで、ジェフリー・バトルの『グレン・グールド・トリビュート』を。動画拝借、多謝。
はい。彼の深い音楽への造詣と愛情が感じられる最上のプログラム、と自分は思っている。
そしてその滑りは、スケートファンの間では恐らく満場一致で「ムーブ・イン・ザ・フィールド」を体現する最たるうちのスケーター。
このプログラムでも羽生選手バラ1振付に通じる動きが随所に観られます。





いやあVが無い。シェアさせていただく身としては何をか況やおや…なんすが。
自分、解説が五月蝿いとか殆ど無く気にならない質ですが、こぉれは頼むから黙っててくれよぉ~でありんす。
因みに同じことをDOI先行放送にも感じまして。あれうっせえよ女子アナ。てこれ自分比でほんとうに滅多にないこと。それ位じっくり観して聴かせてくれよぅプロです羽生選手のバラ1も。
今後の映像が待ち遠しい。


でこちら、は同シーズンのジャパンオープンモノ。こっちゃ妙な入りかつテロップが。
しかし解説消してくだすっているういや差し替えか…&シーズン初頭とはいえ滑りは相変わらず魅入るもので、お借りいたします。うん、アップ主様に罪は無い。多謝。





*使用曲

Prelude from "Tristan und Isolde" by Richard Wagner
歌劇『トリスタンとイゾルデ』より前奏曲 (ワーグナー)

Leicht und Zart from "Six Little Pieces for Piano" by Arnold Schoenberg
6つのピアノ小品 作品19より 第1曲(シェーンベルク) 

Danse Morceaux - Caresse Dansee by Alexander Scriabin 
2つの小品より 作品57-2 舞い踊る愛撫(スクリャービン)

Variation 16 performed by Glenn Gould
ゴールドベルク変奏曲 第16変奏 (J.S. バッハ)

Prelude No. 2 in C minor from "Das Wohltemperierte Klavier" by J.S. Bach
平均律クラヴィーア曲集第1巻第2曲 前奏曲 J.S. バッハ)

Gigue from Suite for Piano by A. Schoenberg
ピアノ組曲 作品25 より ジーク(シェーンベルク)

Concerto in D minor after Alessandro Marcello by J.S. Bach
マルチェルロの主題による協奏曲 より (J.S. バッハ)



にしてもこの2005-06シーズンのバトルは、抱える怪我とトリビュートという難所続きのプログラムのうえにあまり評価も出ずその上アクシデントの連続で、よく心も折れずシーズンをやり切ったとその強い精神力に脱帽したシーズンでもありました。
06といえばトリノですね。このオリンピックシーズンになんてプログラム用意してきたんだ…と平伏す思いで観ておりましたが上記のような塩梅で、ここではプログラムを『サムソンとデリラ』に変えて銅メダリストに。きっと観衆の皆さんに本当に観て欲しかったのはグールドトリビュートだったろうに、勝つために戦術変えてきたんですね。そういうスタイルを好まない方も、中にはいるのかもしれませんが出来れば一人で寝言いってろ、すね。
こういうクレバーさ、サッカー日本代表にも是非根付くといいなあ。

06は自国開催カルガリーのワールドでもプログラムをサムデリに変更。
残念ながら表彰台には上れず6位入賞でしたがエキシビションには出場され、このカナダの偉大なピアニストに捧げるプログラムを滑ったのですね。

このエキシビションがとてもお気に入りで、なんと、画像はよくないのだけれどあった…
てことで拝借、多謝多謝。