2020.5.28

一日一季語 花茣蓙(はなござ)  【夏―生活―三夏】

 

 

花茣蓙に息もらしたる魔法瓶    辻桃子

 

 

*2018年  浅草  駒形どぜう にて

 

日本に魔法瓶が輸入されたのは1907(明治40) 9月。1907(明治40)1022日付の東京朝日新聞で、東京帝国大学理学博士の飯島魁(いさお)が記者との対談で初めて「魔法瓶」と表現した、とされている。

飲み物の温度を長時間キープできる「魔法瓶」。お湯を大量に沸かして魔法瓶に入れておけば、再度お湯が必要となった際にもわざわざ沸かす必要がありません。私の記憶の中の魔法瓶は、片手で傾けて、お湯を注ぐものです。この句の息を漏らすというのは、このときに出る湯気のように感じました。

 

 

【傍題季語】

絵茣蓙(えござ《ゑござ》) 寝茣蓙(ねござ)

絵筵(えむしろ《ゑむしろ》)、綾筵(あやむしろ)

 

 

【季語の説明】

種々の色に染めた藺を花模様に織り出した茣蓙。畳の上はもちろん、板の間や縁側などにも敷いて涼感を楽しむ。

 夏季に縁側や板の間に敷く、花模様や山水などの柄付き・色付きの藺草で織られた茣蓙のこと。一畳ほどのものが一般的で、多湿な日本の風土に適合して古くから愛用されている。

 

【例句】

旅人として花茣蓙の端に座す     福永耕二

花茣蓙に母の眼鏡が置いてある       加倉井秋を

花茣蓙を外れし寝息をつづけをり   森澄雄

花茣蓙の花のかたよる目覚めかな   片山由美子

花茣蓙に背骨のあたる日曜日     岩淵喜代子

 

 

【花茣蓙について】

花柄や山水柄を編みこんだ夏用の茣蓙(ござ)である。一畳のものや二畳のものなどがあり、板の間や縁側に敷く。素足の足裏に触れる感覚を愛でる。以下略。(寺井谷子)

 

 

【茣蓙について】

ござ(茣蓙、蓙)は、草茎を織ることによって作られた敷物。一般にはイグサで織ったものを指す。構造は畳表とほぼ同じ。

今日では材料のイグサは狭義のイグサであるイグサ科のイが多く栽培され、主に用いられるが、かつては大型のカヤツリグサ科の野生植物であるシチトウイやカンエンガヤツリ、フトイなどもよく用いられた。

 

筵(むしろ)の一種であるが、こちらは藁を材料とするものを指すことが多い(ただしイグサ製品のものもある)。畳が普及する以前の庶民の家では、一般的な敷物であった。語源は「御座」(貴人の席の意)で、御座に敷く物の意味であった。

 

使いかたとしては室内で絨毯のように常時敷くこともあれば、丸めて携帯し、屋外で一時的に敷くこともある(運動会、花見など)。ただ現代では、屋外の場合はビニールシートなどの代替品が使われることも多い。

 

ござには、花などの模様を織り込んだものもあり、これを花ござという。また、夏場の就寝時の涼をとるため布団の上などに敷いて使うものを寝ござという。

 

 

今日は何の日

業平忌

平安時代初期の歌人・在原業平の880(元慶4)年の忌日。平城天皇の子の阿保親王の第5子で、在原姓を賜って臣籍に下った。

六歌仙・三十六歌仙の一人で、容姿端麗で情熱的な和歌の名手だったため『伊勢物語』の主人公とされている。枕を共にした女性は若い娘から上は99歳まで、その数は3733人と伝えられ、才女の小野小町も名を連ねている。

 

辰雄忌

小説家・堀辰雄の1953(昭和28)年の忌日。

 

自助の日

骨盤の日

アルソア美肌ラインの日

ゴルフ記念日

 

 

主な出来事

BC585

    メディア王国が隣国リディアに攻め込むが、偶然起こった日蝕を不吉に感じて戦争をやめ、戦場となったハリス川を国境に定める。

1193

    曾我十郎・五郎兄弟が父・河津三郎祐泰の仇・工藤祐經を討つ。(新暦628)

1634

    江戸幕府が長崎の出島の造成を命じる。(新暦623)

1733

    両国川開きで初の花火打上げ。(新暦79)

1875

    市ヶ谷監獄竣工に伴い伝馬町牢屋敷を廃止。

1927

    1回全日本オープンゴルフ選手権大会開催

1960

    鴾が国際保護鳥に指定

1976

    米ソが「地下核実験制限条約」に調印。

1980

    張本勲が日本プロ野球史上初の通算3000本安打を達成

1992

    歌手・藤山一郎が国民栄誉賞を受賞。スポーツ選手以外では初の生前受賞

2008

    賞味期限切れや食べ残し料理の使い回しなどが発覚していた大阪の料亭・船場吉兆が廃業。

2010

    アップル社がタブレット型コンピュータ「iPad」を、既に販売しているアメリカ以外の全世界で発売開始

 

 

誕生日

1850

    初代三遊亭圓遊 (落語家)

1905

    阿部定 (「阿部定事件」犯人)

1908

    イアン・フレミング (:小説家『007)

1916

    山田典吾 (映画監督『裸の大将放浪記』『はだしのゲン』)

1940

    筒美京平 (作曲家)

1988

    黒木メイサ (女優,モデル)

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)