パラセーリングも満喫し、一度ホテルに戻り
プールサイドでビールを飲みながらのんびりと
時間をつぶしていた
午後になり再び車で船着場へと向かう
さっきの兄さんたちがパラセーリングのベンチを
ボートから降ろしている最中だった
なるほど、このボートはベンチを着脱することで
トローリングもパラセーリングもどちらも出来るんだ
うまく考えたもんだ
すると自分たちに気づいた兄さんが笑顔で
「シーラ、マグロ、フィッシングOK」と言いながら
こちらに来て車椅子のまま担いでボートへと乗せてくれた
マニャガハ島では落ちそうになり危なかったので
今回は車椅子が絶対に動かないようにボートの
後方の角にバックで車椅子を付けブレーキをした
これで後ろと右には倒れない、もしもの時に備えて
左側に友人に座ってもらい、これで万全だ
いよいよ出発
モーターボートが桟橋を離れゆっくりと進みだす
この時は、まだ海があんなに荒れてるとは知らず
松方みたいにカジキでも釣っちゃうかぁとはしゃいでいた
モーターボートが沖に向かうにつれ、波もだんだん荒くなってくる
その荒くなった波の中を突き進むようにさらにスピードを
上げていくと、モーターボートが、その荒い波に当たる度に
上下へと激しく揺れ出した
最初のうちは、まだ50cm~1m位の揺れだったので思わず声が出て
しまうが、それでも何とか車椅子にしがみついて耐えていた
その揺れの中で、ガタイのいい兄ちゃんは慣れているのだろう
平然とモーターボートの両脇に一本ずつ釣竿をセットし、
後方中央に座ると素手で釣糸を垂らして釣りを始めだした
最初にトローリングをやりたい、と言って
「松方弘樹、世界を釣る」だぁとはしゃいでいた
サポートの友人は、この時点で船酔いでゲロゲロ状態だった
すぐに中央の釣糸に魚がヒットした、すばやい手裁きで
糸を手繰り寄せると50cm位のシーラが釣れた、『後でオサシミね』
と言って、シーラを高く上げこっちに見せてくれると、みんなで
歓声を上げモーターボートの中は一気に盛り上がった
操縦している兄ちゃんが『今度はカジキね』と言って、さらに沖
へとスピードを上げて行く、さっきより更に波が荒くなってくる
このあたりで、みんな無口になりだし顔色も悪い
全員がもう完全に船酔いしていた
モーターボートが波に当たる度に波しぶきが入って来る
まるでバケツで頭から水を掛けられたようだ、
始めのうちは"うぉぉ~"と声を上げていたが
それが連続して続いてくるともう声もでなくなり
おまけに車椅子は海水でびしょびしょで
押さえてる手がすべってしまうが落ちないように必死だった
さっきまでは50cm~1m位だった揺れが、
今ではさらに波も高くなり1m~2mは上下に揺れている
なかには2mを超える波もあった
もう自力で車椅子を押さえてるのが、完全に無理な状態になって
いたのでサポートの友人に車椅子を押えてもらっていた
とにかく、すごい揺れだ、荒れた波がモーターボートの先にぶつかり、
波のてっぺんまで上がる、そこから今度は波間へと一気に落ちる
これの繰り返しだ
ジェットコースターなんか屁みたいなもんだ
サポートの友人が押さえても押さえきれなくなってしまい
とうとう友人の車椅子が後ろに転倒してしまった
モーターボートを止め、兄さんがすぐ抱えて車椅子に乗せてくれたが
このままじゃまた転倒してしまうので、兄さんも一緒に車椅子を押えてくれた。
結局一台の車椅子に2人で押えてもらったが、
それでも車椅子は動いてしまい、もう押さえて何とかなる状況ではなかった
#自分はたまたま兄さんが近くにいて、支えてくれたので何と
#か転倒せずにすんだが、いなかったら何度か転倒していただろう
もう限界だ、これ以上トローリングを続けるのは無理だ
操縦している兄ちゃんに"フィニッシュ、リターン"と言って
終りにしてもらった
ホテルのプールに戻っても
まだ船酔いが収まらず体が揺れている感じが続いている
気持ち悪い、、、吐きそうだ、、、
楽しみだった水着のお姉さんを眺めることも出来ずぐったりしていた
少しするとトニーがシーラを刺身にして持ってきてくれた
「美味しいよ食べて」と言われたが
とても食べられる状態ではなかった・・・
もう船には乗りたくない・・・
To be continued