『空手バカ一代』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『空手バカ一代』
 

 
1977年日本映画 91分
監督:山口和彦
企画:太田浩児
原作:梶原一騎、影丸譲也(少年マガジン連載「空手バカ一代」より) 脚本:掛礼昌裕
撮影:中島芳男 録音:井上賢三 照明:山口利雄 美術:北川弘
編集:祖田冨美夫 助監督:橋本新一 記録:勝原繁子
擬斗:金田治、斉藤一之 スチール:藤井善男 進行主任:小島吉弘
装置:小早川一 装飾:酒井喬二 美粧:井上守 美容:宮島孝子
衣裳:内山三七子 演技事務:山田光男 現像:東映化学
音楽:鏑木創 挿入歌:「男のみち」 作詞:中尾まさし、作曲:清野友英、唄:西来路ひろみ
協力:JALホテルシステム、沖縄グランドキャッスル、極真会館、琉球映画貿易株式会社、瑞穂酒造株式会社、沖縄料亭 那覇、(有)那覇オートサービス
 
出演:千葉真一(大山倍達)、夏樹陽子[新人](麗子)、本郷功次郎(講道館六段・藤田修造)、室田日出男(グレート山下)、石橋雅史(玄武館館長・与那島剛造)、内田朝雄(劉鳳厳)、名和広(劉の側近・地下闘技場支配人)、志賀勝(ヤクザ・滝村)、近藤宏(医者)、南利明(トッド若松)、中田博久(劉の側近・湖城)、久地明(親分)、水木梨恵(居酒屋の女将・良江)、西来路ひろみ(居酒屋の店員・晴代)、原田力(ブラック・スネーク)、日尾孝司(劉の側近・謝花)、ミスター珍(レフェリー・ハロルド)、エディ・サリバン(エディ・サリバン)、スネーク奄美(アーム・ストロング)、米村勉(ザ・ミステリーマン)、鶴見五郎(トミー・ロジャース)、リップ・タイラー(リップ・タイラー)、JAC(ジャパン・アクション・クラブ)、土山登士幸(劉の手下・西野)、斉藤一之(同・大見謝)、春田三三夫[現・春田純一](同・具志堅)、武内宿禰(劉配下A)、畑中猛重(杉山)、清水照夫、高月忠(リングアナウンサー)、亀山達也、青木卓(磯野)、達純一(徳吉)、花田豪(尾高)、栗原敏(劉の手下)、高橋利道(ヤクザ)、横山繁(劉の手下)、高橋仁(浮浪児、麗子の弟・カズオ)、斉藤竜也(浮浪児・ノブオ)、大栗正史(同・シンジ)、道祖土勝(孤児の少年)、森下龍司(同)、河合絃司(ナレーター)
 
STORY
昭和27年。大山倍達の興行価値に目をつけたプロモーターのタッド若松は、沖縄でプロレスと試合をするよう勧める。多額の借金を背負っていた大山はこの話に気持がぐらつく。沖縄入りしたのは、大山のほかに、柔道の藤田修造六段もいた。プロモーターから、ショーマンだったグレート山下を紹介される。巨漢アメリカ人プロレスラー相手に善戦した二人だったが、反則などがとび出し、試合はメチャクチャになってしまった。契約違反を問われた二人は、それでも試合を続けることにした。そして、その度に悪役外国人レスラーを大山はやっつけてしまった。大山は、暗黒街のボス・劉鳳厳に命を狙われるはめになった。大山、藤田、そして山下の三人は本土へ帰ろうとするが、藤田はショーでのケガが直らず大山も浮浪児に金を盗まれてしまい、帰ることができなかった。ある日、大山は自殺しかけていた麗子を救う。娼婦麗子は、劉一味によって肉体がボロボロになるまで酷使され、結核を患っていた。両親を日本人によって奪われた麗子は大山を最初は信じなかったが、日が経つうちに二人の間に愛が芽ばえて行った。劉の組織に山下が殺され麗子までが一味の手にかかって殺されてしまう。体力を回復した藤田とともに大山は劉一味との対決に挑むのであった。【「KINENOTE」より加筆修正】

《けんか空手》シリーズ第3作。
TOEI Xstream theaterにて鑑賞。
 
梶原一騎さん原作による同名漫画の映画化だが、シリーズとしては『けんか空手 極真拳』、『けんか空手 極真無頼拳』(ともに1975年公開)に続く第3作となるのがややこしいところ。
極真空手の創設者として知られる大山倍達さんの伝記漫画と言いつつ、その内容はフィクションも多い。今回の映画版は更に改変がくわえられていて、実際にグレート東郷(本作ではグレート山下)らとプロレス巡業をしたのは沖縄ではなくアメリカだったりする。
沖縄は公開当時、本国返還から5年後。一応、物語の設定上は昭和27年(1952年)だが、恐らく時代考証もへったくれもなく、当時の沖縄が映し出されていると見てよさそう。
 
千葉真一さんは38歳。ちょっと肥えていて、江頭2:50さんっぽい。笑
冒頭から道場破りをして無類の強さを見せつけるけど、実際の大山倍達さんはここまで髪の毛が長い時代はなかっただろうなぁ。
館長役の石橋雅史さんは浦沢直樹さんの漫画に出てきそうな風貌なので、『女必殺拳』のあの人だ!とすぐ分かった。道場破りをしてきた大山に対し、油をまいた動きにくくさせるというせこい作戦に出るも、最後はやられて片目を失う。
出番が冒頭だけってことはないよね?と思っていたら、最後にちゃんと登場してくれて一安心。
 
本作が映画デビュー作となる夏樹陽子さんは、ヤマトンチュ(本土人)に恨みを持つ沖縄の娼婦という役どころ。大山がひょんなことから仲良くなった浮浪児のリーダー格・カズオは実の弟。
大山は結核を患う麗子のために再びリングに上がるが、またしても八百長ができずに相手を倒してしまう(いつでも真剣勝負というあたり、役柄と俳優自身が一体化している感じがする)。
その一方で麗子は劉一味に捕らえられ、手首を縛られて吊るされて電流を流されたり、車から投げ捨てられたりとなかなか酷い扱い。
 
最後は夕陽が沈む海を前にして「わが道極真に終わりなし」。はぁさいでっか。笑