『劇場』(行定勲監督) | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『劇場

 

 

2020年日本映画 136分

監督:行定勲

原作:又吉直樹『劇場』(新潮文庫刊)  脚本:蓬莱竜太

音楽:曽我部恵一  音楽プロデューサー:田井モトヨシ

撮影:槇憲治  照明:中村裕樹  美術:相馬直樹  録音:伊藤裕規

編集:今井剛  装飾:田口貴久  スタイリスト:髙山エリ  ヘアメイクデザイン:倉田明美 

音響効果:岡瀬晶彦  VFXスーパーバイザー:進威志  スクリプター:工藤みずほ

助監督:木ノ本豪  制作担当:鎌田賢一、岡本健志

振付:矢内原美邦
 

出演:山﨑賢人(永田)、松岡茉優(沙希)、寛 一 郎(野原)、伊藤沙莉(青山)、井口理[King Gnu](劇団「まだ死んでないよ」主宰・小峰ダイ)、浅香航大(劇団「まだ死んでないよ」劇団員・田所)、三浦誠己(評論家)、上川周作(劇団「おろか」劇団員・辻)、大友律(同・戸田)、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(本人)、吹越満(本人)、白石和彌(本人)、笠井信輔(本人)、萩尾瞳(本人)、生越千晴(沙希役の女優)、入江甚儀、古山憲太郎(劇団「まだ死んでないよ」劇団員)、田中穂先(同)、吉田ボイス(同)、田嶋真弓(同)、赤松童夢(同)、ぎぃ子(同)、市川刺身、ジェントル、村上由規乃、片山享、縣豪紀、吉田奏佑、伊藤悠成、立川季湖、塚本安屋子、石志望、小椋毅、長友郁真、メガマスミ、渡邉一平、永田実、松本美樹、井並テン、奥田洋平、葉丸あすか(『突然マルコビッチ』出演者)、内田倭史[劇団スポーツ](同)、田島実紘[劇団スポーツ](同)、竹内蓮[劇団スポーツ](同)、石川和大(同)、大中喜裕(同)、甲野萌絵(同)、タナカエミ(同)、三宅もめん(同)、上野佑輔、染川翔、前原瑞樹、真生、福田菜津美、実近順次、石松太一、平山輪、生島璃空、外岡玲真、島田藍斗、寺田航、中西宙、山下愛加、細川千恵子、脇坂晶、玉井七海、吉田和詩、渡辺彩音、中川優賀、下道塔矢、野村明桜、山川美優、柴田大河、西村智翔、田尻祥子、宮崎樹里愛、平辻哲也、村上幸将、ミヤザキタケル、新谷里映、磯貝正人、後藤晴美、山﨑伸子、こいえさわこ、今絵里子、尾形真由美、毛利美咲、藤原浩、福島成人、早川涼子、大貫はなこ、冨田啓介、平野彰、大内啓輔、大塚史貴

 

STORY
高校からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田。しかし、前衛的な作風は上演ごとに酷評され、客足も伸びず、劇団員も永田を見放してしまう。解散状態の劇団という現実と、演劇に対する理想のはざまで悩む永田は、言いようのない孤独を感じていた。そんなある日、永田は街で、自分と同じスニーカーを履いている沙希を見かけ声をかける。自分でも驚くほどの積極性で初めて見知らぬ人に声をかける永田。突然の出来事に沙希は戸惑うが、様子がおかしい永田が放っておけなく一緒に喫茶店に入る。女優になる夢を抱き上京し、服飾の学校に通っている学生・沙希と永田の恋はこうして始まった。お金のない永田は沙希の部屋に転がり込み、ふたりは一緒に住み始める。沙希は自分の夢を重ねるように永田を応援し続け、永田もまた自分を理解し支えてくれる彼女を大切に思いつつも、理想と現実と間を埋めるようにますます演劇に没頭していき―。【公式サイトより】


又吉直樹さんの芥川賞受賞後第1作を行定勲監督が映画化。

Amazon Prime Videoにて劇場公開と同時に配信中だが、劇場で鑑賞。

 

構造としてはほぼ『火花』と同じ。

主人公の永田は演劇というジャンルに目覚め、劇団を立ち上げて活動を続けるが、今一つ芽が出ない。そんな中、女優を目指して上京した沙希に出会い、彼女に出てもらった作品『その日』が多少は評価されるのだが、その後、沙希の部屋に転がりこむも彼女を役者として使うことはなく、だらだらと同棲を続ける。沙希はそんな永田の才能を信じ、朝は洋服屋、夜は居酒屋でバイトをして献身的に支える。元劇団員の青山から書き仕事をもらうようになった永田は、仕事に集中するために高円寺に移り住む。しかし、沙希はやがて酒に溺れるようになり…。

 

馴染みのある下北沢の劇場(昨日行ったばかりのOFF・OFFシアターの他、楽園と駅前劇場も登場。今はなき新宿のタイニイアリスも)が使われているし、スズナリ近くの古本屋あたりも出てくるし、演劇クラスタとしては充分に楽しめる内容ではあったが、永田と沙希の関係がどうにも煮え切らない。大体、同棲までしておきながら、ラブシーンはおろかキスシーンの一つもないってどういうことよ(行定勲監督は日活ロマンポルノ・リブートまで手掛けている方なので、恐らくは吉本興業サイドの意向なのであろう)。

 

最後にツッこんでおくと、駅前劇場でさすがにスタンディング・オベーションはなかろうて。

それと最後の舞台のシーン、上演が終わった途端に客がぞろぞろと帰っていたけど、普通ならアンケートを書くために残るはず(今は事情が異なるが)。ほとんど誰も残っていなかったということは、よっぽどつまらなかったということになるのでは。笑