とうきび=トウモロコシです。
画像はフリー素材を借りてきました。
ど田舎育ちなので小学校の同級生は14人しかいない。
男子8人、女子6人。
当然ながらクラス替えなどないので、保育園から合算すると8年間同じ顔ぶれで過ごすことになる。
こうなってくると兄弟とは言わないまでもお互い、従兄弟同士くらいの感覚はある。
全員の家にお邪魔したことがあるし、父親はともかく母親は◯◯君ちのおばちゃんとしてご飯食べさせて貰ったりお菓子貰ったりしてるわけで。
中学に入ってクラスが分かれても自宅までの帰り道が延々と続く一本道なので一緒になる。
途中に何でも売ってる酒屋さんがあるので夏はアイスキャンディーを噛りつつ一緒に自転車で帰った。(冬は肉まん)
さすがに高校はバラバラなんだが、私が進学した高校は自転車で10キロはある。
行きは30分だが、帰りは一時間以上かかる。
そう我が家は山の麓。行きは下り坂だが帰りは緩やかな上り坂だ。
1日の授業が終わったあとの上り坂はなかなか辛いので途中、喫茶店に寄ったりダラダラと自転車を漕いだりしてすっかり陽が暮れて帰るのもかったるくなったトウモロコシ畑の中から小学校の同級生のFが現れた。
結構な暗がりである。
田舎なので人間に襲われる心配はあまりしてないが、人ならぬものに遭遇するのは怖い。
Fも声をかけてくれればいいものを黙って畑から出てきたら怖いじゃないか。
こんなところで何をしているのか。
「逃げてきた」
あ?
私の地元では高校進学において公立がヒエラルキーのトップである。
以前ブログで制服の話を書いたが、まずは成績が良い子は公立高校の普通科を選択する(何校かあるのでそれも順位がついている)。で、普通科に成績が届かない場合は、商業高校である。
商業高校も公立で就職が良いので人気がある。
男子だったら工業高校もある。
その次に私立高校が来るのだが、今と違ってなんの補助金も無いので私立は高い。
また、公立高校に拘りたい場合は抜け道がある。
ひとつは隣県の公立高校に進むこと。
山ひとつ自転車で越えなければならないので女子は無理。男子もきつい。
もうひとつは更に山奥に全寮制の「分校」があるのだ。これも寮の関係で男子のみ。
Fは分校に進学し、寮生活を送っているのだが、これがなかなか辛いらしく逃げてきたのだ。
寮から最寄り駅までバスがあるがバスに乗ると見つかるので、夜中に逃げ出し山道を歩いて駅までたどり着き(無人駅)、電車に乗って実家の最寄り駅まできたが、最終バスは出てしまったので(6時台で終わる)、違う路線で近くまできてそこから歩いてきたが、疲れたので畑で休んでいたらしい。
まあ、とにかく手持ちのお菓子をあげる。自転車通学がしんどいのでお菓子は持ち歩いているのだ。
逃げるのは今回初めてじゃないらしいが、高校を辞める決断はなかなかつかない。
親も高校くらいは出て欲しいし、本人も出たいが寮生活が辛すぎる。
まあ、元々突拍子もないことをするタイプではあったが。
とにかく友達の家に逃げるので自転車に乗せてくれ、というので2人乗りで友達(これも同級生)の家に送って私はそのまま帰った。
それからFには会ってないので高校卒業できたかどうか分からない。
寮の辛さをいろいろ愚痴っていたが要は全部管理されていて自由がない、って話だった気がする。
やっぱり、学校が終わって寮に帰っても先生がいるのは気が抜けないよね。