ミステリアス陰部似自然岩石~中四国・淡路島の陰陽石~ | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<古事記・日本書紀に登場する神々>

全国3,000万人の陰部ファン(?)の皆様、お待たせしました、お待たせし過ぎたかも知れません。ミステリアス・シリーズ第7弾は、過去に紹介済みのものも含みますが、中四国と淡路島にある、男根や女陰に似た自然の岩や石を紹介します。

 

(1)立岩神社・陽石(徳島市)

山方比古神社末社、立岩神社(祠)の神体は斜めにそそり立つ、高さ7m、幅4mの陽石。この根元両脇には、睾丸を象徴する二個の大玉石という石もある。案内板には「日本一の陽石」とあるが、宮崎県小林市の陰陽石(夫婦岩)の男石は高さが17.5mある。

この立岩神社の陽石はもし、メンヒルのように人為的に設置していたとすれば、人為的立石の陽石としては日本一かも知れない。

立岩神社の祭神は鍛人天津麻羅(かぬちあまつまら)で、日本書紀の天岩戸神話の段に於いて、天鈿女命が踊った際、手に持っていた茅纒(ちまき)の矛を製作したとされる。この矛は男性器の象徴とされる。

また、この呼び捨てされる神は八咫の鏡も製作したとされるが、立岩神社のある多家良町に隣接する徳島市八多町の町名は八咫の鏡に由来するとされ、陽石はたたら製鉄跡の金山神社方向を向いている。

尚、付近に駐車スペースは一切ない。

 

(2)穴ノ御前・下ノ穴&上ノ穴(愛媛県宇和島市)

9年前、紹介した鍾乳洞、穴ノ御前だが、その記事で解説したように、洞内奥の扉がある付近が女陰に似ている。これが洞名の由来と思われる。更に入口を入った所の左手にある割れ目もやや、それっぽい。

この穴は穴ノ御前の「下ノ穴」なのだが、前述記事で説明したように、右側に回り込んだ所の上部に小さな「上ノ穴」もある。この穴は3mほど入った所で、しゃがんだ状態のまま、横向きに歩かないと通過できないのだが、そこから奥に見える鍾乳石が男根に似ている。ただ、そこに来た時、洞の奥から巨漢の男が近づいてくる足音のような音が聞こえてきたため、洞を出た。

穴ノ御前の登山道はこの前触れたように、西日本豪雨で下方が消滅した。当方が辿った道なきルートは、元々の登山口(→9年前の投稿マップ)からすぐ上のモノラック・レールの所へ上がり、レール沿いに東の尾根に行く。スパイク付き地下足袋や磯シューズでも履かないと厳しい位の急登。

 

そしてその尾根を、レールを追って登り、小屋を過ぎると二ヶ所、レールの分岐が現れるので、いずれも左のレール沿いを西に進む。レール終点の先はヤブなので、一段上のみかん畑に上がってから樹林帯に入る。高度計高度は280mほど。

それから適当に西方の谷沿いを下って標高260m位に来ると、取水パイプがその涸れ沢に下りている。対岸を見ると、そのパイプから外れたもう片方のパイプが西の植林帯に入っているので、これを追う。すると2分ほどで穴御前。

尚、登山口のある農道は狭く、軽トラの往来が多いため、車は法華津トンネル南口東側の高森山登山口前へ。

(3)甕の巌屋(高知市)

この岩は過去二回紹介したが、四国の陰石を語る上では外せないため、再度解説する。式内小社で貞観8年(866)には従五位下を授けられた朝峯神社は、正殿に木花之佐久夜比売命、左相殿に天津彦彦火瓊々杵尊(あまつひこひこほのににぎのみこと)、右相殿に大山祇神を祭る。

大山祇神の娘、木花之佐久夜比売命は瓊々杵尊と一夜の契りで子を宿したのだが、これを疑った瓊々杵尊に対し、比売は産屋に火を放ち、燃え盛る炎の中、3人の子(1人は神武天皇の祖父)を産む。

 

そして比売は卜占で選んだ狭名田(稲田)の稲で天甜酒(あめのたむざけ)を醸し、皇子誕生を祝ったとされる。

この神話を背景にして、朝峯神社は安産・子授けのご利益があるとし、酒造業者の信仰も厚い。

本殿背後の高さ7mの女陰に酷似した甕の巌屋(かめのいわや)が神体で、その割れ目から染み出した水溜まりのようなものが産井の池。ここに明治初年まで、神酒を醸した甕、と言われた素焼きの甕が古来より浸けられていたが、盗難にあってしまった。

尚、甕の巌屋は女人禁制で、男性でも事前に許可を要すことを後に知った。

 

(4)天狗岩(広島県庄原市)

以前触れた帝釈峡の白雲洞には、男根に似た鍾乳石もある。普通、鍾乳石は上から垂れると氷柱石になり、下から伸びると石筍になるが、洞内の天狗岩と呼ばれる鍾乳石は横に伸びる変わったもの。

「天狗岩」と名付けられてはいるが、全く天狗の顔には似ていない。どう見ても「勃起石」である。尚、洞内の看板が傾いていることもあり、矢印が指し示す所に天狗岩はない。

その反対側、左奥の天井に近い側面に、横に飛び出た石がある。因みに白雲洞の先に世界三大天然橋の一つ、雄橋があり、支流にもやや小さい洞門がある。→公式サイト

 

(5) 岩樟神社(兵庫県淡路市)

かつて淡路市の陸上には全長52mにも及ぶ海食洞があり、最奥部に岩樟神社の祠が祀られていた。現在では開発により、海食洞の大部分が消滅したものの、最奥部の全長3mほどが残り、岩樟神社も昔と変わらず鎮座している。

この現在の海食洞の入口が女陰の形状をしているのである。社殿の格子戸があり、入口と社殿の隙間をセメントで埋めているが、形はよくわかる。

祭神は伊弉諾尊、 伊弉冉尊、蛭子神で、ここは伊弉諾尊が隠れ給うた幽宮(かくりのみや)であるとされ、洞内には古代の祭壇跡もある。この洞内で伊弉冉尊は蛭子神を産んだとされる。

しかし蛭子は3年経っても足が立たない不具の子だったため、伊弉諾尊と 伊弉冉尊は岩のように堅い樟で作った天岩樟船に蛭子を乗せ、海に捨ててしまう。

天岩樟船は摂津国、西宮に流れ着いた。蛭子を拾った西宮の民は蛭子を夷三郎殿と呼び、養い、奉じる。それが西宮神社主祭神、夷三郎大明神の謂われである。→公式サイト

 

(番外)井倉洞鍾乳石(岡山県新見市)

以前、少し触れた井倉洞だが、洞内の「鬼の手袋」に近い所に、白い二つ並んだ石筍がある。これは形的に「おっぱい石」と呼びたいもの。乳首部分もある。

探訪コースは回遊コース故、「鬼の手袋」のどちら側だったかは覚えていないが、目線より低い位置で、棚のようになった所だったように思う。分からない場合は、画像を洞の職員に見せて尋ねてみられたい。「おっぱい知りませんか。」と。→公式サイト

 

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