らせん(1998年映画版) | ある意味、恋してるⅡ

ある意味、恋してるⅡ

北村一輝さんと米米CLUB(石井竜也含む)についての追っかけ記事だったはずが、最近記事内容に脈絡がなくなりました(今は真田広之さんや世良公則さんにも傾倒中)。
というわけで、今後は思いのままに津々浦々・・・笑




【Amazon/eiga.comより】
【ストーリー】
病院の解剖室に送られた男の死体の胃の内容物の中から、数字が羅列された紙切れが発見された。
解剖を担当した医師・安藤満男(佐藤浩市)はその男がかつての同級生だったことを知る。
安藤は、第一発見者の高野舞(中谷美紀)とともに、その謎に挑もうとする中、ある不気味な存在が浮かび上がる。
彼が到着する真理。それは人類進化の扉か、破滅への道なのか…。

キャスト(上=役者名・下=役名)
佐藤浩市
安藤満男

中谷美紀
高野舞

真田広之
高山竜司

鶴見辰吾
宮下

佐伯日菜子
山村貞子

松重豊
吉野

小木茂光
前川警部補

松嶋菜々子
浅川玲子

伴大介
伊熊平八郎

真鍋尚晃
小林

安達直人
舟越

加倉井えり
安藤利恵子

菅原隆一
安藤孝則

岡田智宏
解剖助手

上沖俊
解剖助手

丹野由之
警官

清水宏
警官

鈴木光司
デパートの父親


スタッフ
監督
飯田譲治

脚色
飯田譲治

原作
鈴木光司


👆これは、先日感想記事をUPした
映画「リング」


の続編で、同作品との同時上映という形で公開されました🎬
最近はとんと見なくなった同時上映方式ですが、平成初期まではまだ継続していたんですね😒

しかし、今思うと、この内容を
「リング」
と同時に観客に見せたというのは、かなり大胆でしたねびっくり
だって、
「リング」
の展開を根底から覆すストーリーになってますから😓

そんなことも理由なのか、単にホラー要素が少な目で怖くないからなのかはわかりませんが、本作品は、
【Jホラーの金字塔】
と謳われることの多い
「リング」
に比べると、さほど人気はないようですダウン

でも私はむしろ、
「らせん」
の方が、好きなんですよね~アップ
確かにホラー映画というよりは、SF的な要素の方が強いし、そこに違和感を覚える向きもあるだろうけど、人間ドラマとして見たら、こちらの方が断然深みがあると、個人的には思うので。

ホラー映画好きな人が求めるものって、やはり、如何にゾッとさせられる場面が多いか?ということだと思いますが、その点、この映画で唯一、グロテスクな場面といったら、前作の最後で貞子に呪い殺された高山竜司(真田広之)主人公の監察医=安藤満男(佐藤浩市)が行政解剖する場面くらいです。
解剖によって全身を切り開かれた状態の高山が、突然むくむくッと不気味な動きで起き出してきて、安藤に
「あ~あ・・・自分の手首も切れない奴が、よく人にこんなこと出来るよな~?」
と苦情を言う(笑)
確かに死体が起き上がるという画的には非常に気持ち悪い場面なんだけど、ホラー要素よりは、滑稽さが強く打ち出されたような不思議な場面になっています滝汗
その為、あくまでも恐怖に身を震わせたい観客にとっては、かなり間の抜けた感じに捉えられてしまったかもしれません😒





⬆ちょっとエグい画像で失礼しました🙏

ただ、そもそも
「らせん」
は原作からして、ホラー要素は薄いんですよね。
私が思うに、作者は、霊が出てきて今生の人間を怖がらせるホラーよりも、
「こんな残酷な世界」
に生きる人間の閉塞感・・・や、先の見えない未来への不安・・・に対する恐怖感を描きたかったのではないでしょうか?
それというのも、前作
「リング」
では、自身の死を恐れて生き延びる為に必死で道を模索する主人公達を描きながら、その続編たる本作では、彼らを容赦なく抹殺してしまっているから・・・。
そして、過去に水の事故で最愛の我が子を失っている安藤は、その失われた幼い命を再生させるために、世界を破滅に導く貞子の計画に協力することになる・・・。






この死と再生・・・のどちらもが、
【この世界への絶望】
の象徴として描かれている・・・ように私は感じました。
だからこそこの作品は、
「リング」
よりも奥深くて、怖い・・・と私は思うのですガーン
自分、あるいは、自分の大切な存在(血を分けた子とか)を救えるのなら、と世界を悪魔に売り渡してしまう行為は、
「リング」
のラストシーンでも描かれますが、
「らせん」
では、その行為はさらに確信犯的なものになっている。
安藤の行動は、世界を悪い方向にしか導かないことがわかっているのに、愛する者を我が手に取り戻す為なら、彼はそれを厭わない。
そしてそのことを貞子と手を結んで再生を果たした高山に指摘されると、




「お前は(呪いのビデオテープを観て死んだ)自分の息子を再生させないのか?細胞は残されているんだから、出来るぞ?」
と開き直りとも取れる問いかけをする。
これは、かなり身勝手な論点のすり替えですよね?
それに対して、高山は容赦なく、
「俺にはそんな残酷なことは出来ない。(自分の子を)この世界に呼び戻すなんて・・・。」
「安藤、安息が訪れるのはずっと先なんだよ。」
と突き放す。






それはまさに、この
「らせん」
という物語を象徴する、予言的な場面でしたね。
「世界に安息が訪れる日」
というのは、もしかしたら世界の終わりを意味しているのかもしれない。
だから愛する人を呼び戻しても、自分をこの世界に再生させても、生きている限り安息が訪れることはない?

なので、高山の言葉は、今、この世界に生きる私達自身に向けられた言葉でもあるのでは?・・・との印象を私は持ちました。
単なる深読みである可能性もありますが😅


さて、この映画版の
「らせん」
までは、原作小説のストーリーにある程度沿った展開になっています。
が、以後の
「リング2」
からは、よりホラー色の強い、原作とは異なるパラレルワールドな世界観のシリーズが次々作られていくことになるわけです。
で、
「らせん」
までを見る限りでは、物語全般を通した主人公は、貞子というよりも高山竜司だという感じがしますね?
高野舞(中谷美紀)の身体を乗っ取って蘇る形になった貞子も、
「あの人(高山)に出会ったから、私は蘇ることが出来たのよ。」
と言っているように、高山こそが
【人類貞子化計画】
の黒幕となってしまっているので・・・。

「リング」
では主人公=浅川玲子(松嶋菜々子)に協力して貞子の呪いを解こうと動いていた高山が何故!?

そこが
「らせん」
の最大の謎で、そのことに対する明確な答えは最後まで提示されません。

ただ、「リング」シリーズの影の主人公が高山竜司だとするならば、貞子というよりは、彼こそが、
「人間の遺伝子を変異させ、呪われた自分の遺伝子(映画版では高山竜司は超能力者)を正統とする世界」
を新たに作り出したかったのでは??
という気もちょっとしました。

な~んてことは、実は今、思いついたんですけどね(笑)

原作小説では、
「らせん」
の後に
「ループ」
と続くわけですが、非常に映像化が難しい内容なので、映画化は見送られたようです🆖
でももし、
「リング2」
ではなく、この
「ループ」
が正統な続編として作られていたら・・・きっと、貞子さんも今のような




ネタキャラな立ち位置には良くも悪くもなっていなかったかもしれませんね🤣