こんにちは。
関東土木保安協会です。
先日の沖縄のネタです。
鉄塔サイトをネットサーフィンしていたら、那須電機鉄工株式会社のサイトで、施行例として面白い鉄塔があるのを見つけました。
沖縄への取材、これは盛り込むしかありません。
現地へ行くことができましたので、その写真を載せましょう。
▲那須電機鉄工(株)のホームページに掲載されている写真
そもそもこの鉄塔、場所など詳細な情報が掲載されていません。
いくら沖縄とはいえ、島のどこにあるんだという話になるのですが、運良く線路名は掲載されています。これを手掛かりに追っかけてみましょう。
写真中央が132kVの「沖縄幹線」、写真左右に出ている小ぶりな送電線が66kVの「普天間幹線」とのことです。
これら全て引き留め鉄塔ですね。
恐らくここから地中送電線→架空送電線となっているか、この近くに地下変電所でもあるのでしょう。
さてさて、沖縄の地理に疎い「関東」土木保安協会ですが、さすがに普天間という地名は存じています。
また、沖縄幹線という名前、そして沖縄電力では高い最大の公称電圧であろう132kVという値から、本島の主力火発からの立ち上がりではないかと推測しまして、沖縄電力の送電線網のイラストを元に探してみることにしました。
するとするとあるではないですかっ!
沖縄電力の送電網図が地中送電線も分かるようになっていたので、その立ち上がりと思しき地区を中心に調べると、国道沿いに立っているこの鉄塔をストビュー様にて発見しましたよ。
▲国道沿いで存在を主張する環境調和鉄塔達
宜野湾市伊佐。普天間飛行場のすぐ隣、国道58号線沿いにこの鉄塔は建っています。
引き続き調べていると、沖縄電力の毎年のレポートにもちゃっかり掲載されているではないですか。
この手の環境調和型鉄塔事業の代表例であるような扱いですね。
▲沖縄幹線の四角鉄塔。引き留め鉄塔の次は通常の四角鉄塔となる
北へは132kVが二回線、66kVが二回線、南へ66kVが二回線という構成です。
改めて線路名を調べると、132kV二回線は沖縄幹線でしたが、66kVの方は北方へ伸びている二回線が瑞慶覧線一回線と大山瑞慶覧線一回線、南方への二回線が普天間連絡線というものでした。
送電線路名が変更になったのでしょう。
沖縄幹線は1993年5月に運開となった送電線で、その竣工当時からある鉄塔のようですね。
沖縄電力の鉄塔は建造年記載がないので、鉄塔の直下に行ってもいつできたのかわかりません。
▲空と海の青に白系の高塔はよく映える
鉄塔は環境調和型によくあるクリーム色で、素材はボックス型の鋼材ですね。
丸い鋼管の素材はよく見ますが、このような角形のものは少ない方かと思います。
腕金から太めの鋼管の内部に引き込んでしまう引き留め鉄塔はよくあり、あの方が塩害対策やらなんやらメリットがありそうですが、このような形状です。
趣味的にはこの形の方がいいですね。
▲角度によっては違った顔を見せるのが面白い
鉄塔は三相の各腕金に前後方向の角度をつけ垂直引き下ろしとすることで離隔をとっています。
腕金自身の長さしか変わらない所謂ドラキュラ型とも、腕金の方向そのものを90度ずらした関電型とも異なる、独特の形状です。
見る角度によっては別の顔になって面白いですね。
▲山側から鉄塔群を望む
沖縄というと台風が多いイメージですが、通常の四角鉄塔を見る限り、特殊な設備は見受けられません。
北日本でみられる相間スペーサや、塩害対策で用いられる長連の碍子など送電線には様々な特殊装備を設置する場合があります。
例えば、犬吠埼で知られる千葉県銚子市の鉄塔などは、場所によってはウエイトに長連の碍子など重装備を施した66kVの鉄塔があります。海沿いであり、かつ風が年間を通して非常に強いという環境がそのようにさせています。
ここはどうでしょう。まるで、沖縄の方々の陽気で気さくな雰囲気のように、いかつい重武装の鉄塔などはなく、シンプルですっきりとした鉄塔が多いですね(うまくかかってないような、まあいいか)。
沖縄県内送電網の重責を担う沖縄幹線。
その鉄塔達は、今日も幹線道路の脇でお洒落に立っています。
今回用いた写真はこちら
<参考>
・那須電機鉄工株式会社 環境調和型鉄塔