川瀬巴水 「雪の寺島」:木版画 | 野崎淳之介 『玉石混淆 美術館』 blogsite

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川瀬巴水(かわせはすい Hasui Kawase
明治16年—昭和32年

大正・昭和に活躍した近代日本を代表する浮世絵師・版画家の巨匠です。
江戸から続く浮世絵人気が近代において陰りを見せ衰退した際、
その浮世絵文化を復興させるべく「新版画」を確立した人物なのです。

「新版画」とは、明治から昭和にかけて作られた木版画で
浮世絵と同じく絵師・彫師・摺師の分業によって
その職人技を結実させた版画作品のことをいいます。

その中において川瀬巴水は、全国を旅して写生した資料を元に
情緒溢れる日本の原風景を作品に仕上げ「昭和の広重」とも称されているのです。

日本国内はもとより、海外での人気も高く
かのアップルコンピューター創業者、故 スティーブ・ジョブズが
熱心なコレクターだったというのは有名な話。

また多作な作家でもあり、生涯600点以上の木版画を制作したといいます。

そんな川瀬巴水の木版画「雪の寺島」です。
大きさは極めて小さく、葉書サイズの小判です。



摺られている紙の全体像です。

この作品に版元の印やサイン、銘の類は書かれていません。
それはこれがサイズの小さい小品だからか
それとも後年に摺られた、いわゆる「後刷り」だからか
その理由は判別しません。
もしくは、その両方なのかも知れません。



しんしんと雪の降る寺島村の民家の明かりが
余計に外気の寒さを彷彿とさせます。



裏面です。
この色の滲み具合などから、この作品が機械印刷などではなく
職人の手による木版画であることがわかります。


ひと言コメント
木版画である以上、同じ作品が他にも存在します。
元々この作品は入手した時から額などには入っていません。
いずれはきちんと飾りたいものです。