懐かしの銀幕スター 「高峰秀子 1」 | ゆうべ見た映画

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懐かしい映画のブログです。
ときどき、「懐かしの銀幕スター」「読書」など
そして「ちょっと休憩」など 入れてます。

 

 

 


前回の映画『名もなく貧しく美しく』からの繋がりで
高峰さんのご本から 
興味深いお話をご紹介しますね。


『名もなく・・』は 
1961(昭和36年)に 封切られた作品ですが

このとき、この2年前にご成婚された  
当時の皇太子殿下と 美智子さま
他、皇族の方々が 劇場でご覧になったそうです。

二階正面の前列に お二人がお並び
その左右に 高峰さんと
この映画の監督であり ご主人である松山善三さん。

その他、皇族がた、女官、侍従など 皇室関係者
私服の警護の人たちで 後ろの席までぎっしり

ロビーの各扉の前にも 護衛の人が並び
それはもう、映画一本のために
厳重厳戒の 大変な一日だったとか



皇太子ご夫妻は この後、何年かに渡って
高峰さんの映画を何作か ご覧になったそうで


あるとき、宮内庁の方から お電話があり

「ご都合の良い日に、お夕食後、 
 一時間ほどお遊びにいらっしゃいませんか
 こちらは皇太子、美智子妃のお二人です」

お遊びに、といっても・・と、どぎまぎしたそうですが
やっぱり、お逢いしたい、ということで
ある夜、お迎えの車で 赤坂東宮御所へ


右に、左に、曲がって、折れて

迷路のような 薄暗い細い廊下を進み

(これは意図的に、そう設計されているようです)


案内された一室の 簡素なティー・テーブルには
テーブル・クロスも 灰皿も無く
カーペットも薄く 壁には一枚の絵もなかったとか


そこへ、ごく普通に スーっと入ってこられた
グレーの背広にノーネクタイの 皇太子さまと


シンプルなワンピース姿の 美智子さま
アクセサリーは まったく付けておられなかったそうです


テーブルの上に 世界地図を広げて
各国の話から始まり、映画の製作の話やら・・


そのうちすっかり、リラックスされた皇太子さまは 
ユーモアのセンスが抜群で 

そのジョークに 美智子さまは屈託なく
「ワハハハ・・」と バンザイされながら笑い
そのときは、椅子に座った二本の足が 宙に浮いていたそうです


そしてそして、そこへ
鴨ロース、小鯛ずし、ぎんなん・・そのほか
チマチマとした綺麗な御馳走が
黒塗りの銘銘盆の上の 白木の折敷に並んで 次から次へ

お吸い物椀が テーブルに置かれたとたん
皇太子さまの指が スッとお箸を取り上げ
お椀の蓋が除かれ クィーッとおすましをお吸いになった

それにならって 美智子さまも
折敷の上のご馳走を みるみる片づけられていく

皇太子さまと 美智子さまの 
召し上がるスピードが もの凄く早いそうで
秀子さんと松山さんも せっせと口の中に押し込んだ

お夕食後、とのことだったので
夫妻は済ませて 来てしまったのだった



約束の一時間を 一時間半もオーバーしてしまった
後で思えば 不思議な夜だったと
高峰さんは 書かれています




 

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晩年の高峰秀子さん どことなく

美智子さまに 似てらっしゃるような気がします。