氏神一番(うじがみ いちばん/旧芸名:有村一番(ありむら いちばん)/1959年4月3日~)は、日本のミュージシャン。 カブキロックスのヴォーカル。




江戸時代の京都出身(という設定)。

 

氏神(当時は別名)は、日本テレビ音楽学院「ザ・バーズ」の第1期生であった。このため、日本テレビ系の歌番組で歌手のバックで踊っていたことがある。

 

1976年10月25日、全国高等学校サッカー選手権大会で1976年度・第55回以降使われている大会歌(テーマ曲)“ふり向くな君は美しい”(作詞:阿久悠/作・編曲:三木たかし)でもザ・バーズの一員として歌っていた。

 

 

1986年、有村一番(後の「氏神一番」)は、和洋楽器混成のバンド「KABUKI ROCK 一番屋」を結成。同年に青木秀樹(後の「青木秀麻呂」)が和製グラムロックバンド「ヒステリックグラマー」を結成。両バンドは、当時の原宿歩行者天国(ホコ天)や各地のライヴハウスで主に活動をしていた。


1987年4月22日、有村(氏神)のKABUKI ROCK 一番屋が、フジテレビ系で放送された深夜番組『冗談画報』に、歌手の上田正樹を推薦人として出演、また、TBS系『SUPER WEEKEND LIVE 土曜深夜族』(『平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国』(通称『イカ天』)の前番組)のバンド特集の企画に出演するなどして認知度を上げ、一旦はCBSソニーからデビューが決まりかけていた。しかし、レコード会社による「有村(氏神)と、オーディションで選出されたバンドマンとを組み合わせた新ユニットよるデビュー」という方針に有村自身が納得できない状態であった。

 

一方、青木のヒステリックグラマーは、インディーズレーベルでミニLP『Glamorous Pop』を発表するなど精力的に活動しており、既に『イカ天』にも出演し、完奏した経験(1989年2月18日 第二回放送時:在宅審査員賞を受賞)もあった。


そして、『イカ天』への出演を熱望していた有村は、既にライヴ等で共演して知り合っていたヒステリックグラマーの青木に相談をしたところ、彼に「有村(氏神)と、ヴォーカル以外のヒステリックグラマーメンバーによる新バンドでの『イカ天』出演」を提案される。この青木による提案内容を、KABUKI ROCK 一番屋でのTV出演を禁止していたCBSソニーのディレクターが渋々ながら承認したため、晴れて「カブキロックス」としての『イカ天』出演が実現した。
ただし、このことは「一番屋」のメンバーには事前に知らされておらず、後に一番屋メンバー内での激震の元となる。

 

 

1989年10月14日の『イカ天』で、沢田研二の“TOKIO”(作詞:糸井重里/作曲:加瀬邦彦/編曲:後藤次利)を江戸時代風の歌詞にアレンジした“お江戸”を演奏し完奏。元禄3年(1690年)から現代へタイムスリップしてきたという設定で、ライブを“狂言雷舞”、曲目を“演目”と呼ぶ。パートについても同様の和風言い換えで、ボーカルを“歌い手”、ギターを“六味線”、ベースを“四味線”、ドラムを“洋太鼓”、キーボードを“鍵盤”と呼ぶ。この週は赤と紫の衣装をまとった黒子2名も登場し、演奏時に大扇子を広げての回転パフォーマンス、氏神の梯子乗りパフォーマンスの補助を、演奏終了時に紙吹雪撒きを行った。なお、この時の芸名は「有村一番(ありむら いちばん)」だったが、司会の三宅裕司に「氏神」という言葉を芸名と勘違いされたために、一時期は芸名表記を「有村“氏神”一番」としていた。この頃インタビューにおいて氏神は「マイクスタンドは総ヒノキ作りで漆塗り」とも話していた。
この週のイカ天キングの座は、先々週(前の週は特番)にBEGINが5週勝ち抜けて“グランドイカ天キング”となったために空位となっていた。カブキロックスは同じくこの週に完奏した「A★VANT-GARADE」、「THE SAKURA」、「突然段ボール」など6組のバンドの中から“仮イカ天キング”に選出される。
ちなみにこの週、『イカ天』の審査員であり、“エキゾティクス”等で沢田研二のバックバンドのベーシストを勤めた経験がある吉田建に、当初ニコニコしながら「貴重な3分間でした。糸井さん(『TOKIO』の作詞者)や沢田さんが観ているといいですね」と述べた後、「別にコメントはありません」と無言になりスタジオ内は大爆笑となった。
10月28日、「正キング」の座をかけた回の収録(生放送の予定が'89ニチレイインターナショナルゴルフ放送のため直前に中止、番組は収録の上で11月4日に放送さ、『イカ天』唯一の録画放送となった)では、氏神が作詞作曲をしたオリジナル曲“好色一代男”で臨み、「これは最後まで見ちゃうよね」と三宅を唸らせたものの、チャレンジャーのサイバーニュウニュウに敗れてしまったため、正キングにはなれなかった。この週の演奏では、氏神の依頼で「KABUKI ROCK 一番屋」の鼓担当メンバーも出演。アルバムに収録されている同曲とは異なり、鼓を前面に押し出したアレンジとなった。演奏中には氏神が毛振りのパフォーマンスを見せた。ちなみにこの週には、審査員の伊藤銀次に「温泉のショーみたいですね」と言われている。イカ天キング選定の際には吉田建に「これじゃ真面目にやっているバンドが報われないよね」とも言われている。この吉田の発言については、氏神の著書に、他のバンド以上に真面目にやっている自負があったが故に大変憤慨した、という旨の記述がある。正キングの座は逃したものの、彼らの奇抜な姿とレベルの高い演奏は多くの視聴者に強い印象を残し、『イカ天』番組内の、視聴者投稿による「週間アマチュアベスト10」で初登場一位を獲得した。
同番組内のコーナー「ロックロックこんにちは!」では「緊急取材 カブキロックスの正体を暴く!」と題して、以前出演したヒステリックグラマーと同一バンドなのではないかという疑惑に迫られた。これは、カブキロックスが『イカ天』史上初めて再チャレンジをしたバンドだったこともあり、疑惑解明、真相に迫るというよりは話題性を増すために面白おかしく作られた企画であった。結局両者は別人であると結論付けられたが、その理由も「名前が全く違う」など、理由になっていないものであった。


1990年1月1日、元日に日本武道館で開催され、翌1月2日にTBS系で放送された『輝く!日本イカ天大賞』では、オープニングに“お江戸”、ベストパフォーマンス賞受賞による演奏で“好色一代男”と、出場バンドで唯一2曲を演奏している。
この年には、成人の日に放送された『NHK青春メッセージ'90』へのゲスト出演や、『ヤングジャンプ』表紙グラビア、ニューヨークライヴ、氏神一番の1990年のTBS春の番組キャンペーンキャラクターとしての抜擢などで爆発的に知名度を上げていく。

5月12日、TBS系「ドラマチック22」枠で放送のテレビドラマ『めざせイカ天 〜ロックンOL物語〜』にカブキロックスの映像が流れる。

5月21日、シングル“お江戸-O・EDO-”(作詞:糸井重里/作曲:加瀬邦彦/編曲:カブキロックス)でアポロンから遂に発売、念願のメジャーデビューを果たす。江戸という設定は時代考証が難しく、キャラクターを演じる上では不利なので後悔していると、交友があり当時オペラを芸風としていた伊集院光に打ち明けている。B面は一風堂のカヴァー“すみれSEPTEMBER LOVE”(作詞:竜真知子/作曲:土屋昌巳/編曲:カブキロックス)。

 

 

6月1日、日本武道館で開かれた第19回東京音楽祭世界大会に“お夏狂乱”で出場。

6月21日、1stアルバム『KABUKI-ROCKS』をリリース。ヒットシングルお江戸-O・EDO-”の他、“好色一代男”、“お夏狂乱”(作詞・作曲:有村一番/編曲:カブキロックス&佐藤宣彦)、“ZIPANG”(作詞:有村一番・青木秀麻呂/作曲:青木秀麻呂/編曲:カブキロックス・佐藤宣彦)、“桃源郷(SHANGRI-LA)”(作詞・曲:青木秀麻呂/編曲:カブキロックス&佐藤宣彦)などを収録。

 

 

 

 

 

8月21日、シングル“虹の都”(作詞:有村一番/作曲:青木秀麻呂/編曲:カブキロックス&佐藤宣彦)を発売、アニメ『ドラゴンクエスト』のエンディング主題歌としてタイアップが組まれる。B面“スーサイド・ゲーム”(作詞:青木秀麻呂/作曲:青木秀麻呂/編曲:カブキロックス&佐藤宣彦)は映画『1990牡丹燈篭』主題歌。

 

 

10月13日公開の映画『1990牡丹燈篭』に、主演の杉本哲太演じるマネージャーが売り込もうとしている新人バンド「Bグッド」役で出演。バンドで音楽も担当した。

同年、全日本有線放送大賞新人賞を受賞するなど破竹の勢いで進んでいく。

年末、『イカ天』が放送終了。これによるバンドブームの沈静化により、『イカ天』の顔的な存在であったカブキロックスの人気にも徐々に翳りが出始める。


1991年3月5日、シングル“千両役者”(作詞:有村一番/作曲:大槻セイシロー/編曲:カブキロックス&佐藤宣彦)と2ndアルバム『MASQUERADE』を同時発売。

 

 

同年、ギターの青木秀麻呂が自身のバンド「ラヴ ミサイル」(1992年日本クラウンよりデビュー)を結成、渋谷公会堂ライヴを最後に青木がカブキロックスを正式脱退。後任には、大槻セイシローがギターからベースに転向した。
11月21日、シングル“MOONLIGHT BIRTHDAY”(作詞:大槻セイシロー・有村一番/作曲:大槻セイシロー/編曲:カブキロックス)をアポロンから発売。表題曲はTBS系ドラマ『御生誕白書』主題歌。

同年、氏神は女優の朝丘雪路を家元とする日本舞踊「深水流」の名取師範(深水雪業)となっており、日本舞踊家として歌舞伎座の舞台に立った経験を持つ他、粘土工芸師という一面も持つ。



1992年、ベースから転向していた大槻セイシローも脱退。
同じ頃、残ったメンバーのうち氏神と坂川は、ロックバンド「人間椅子」の和嶋慎治と3人で「かぶきいす」というアコースティックユニットを結成し、カブキロックスとは別にライブ活動を行っていた。


1993年、所属レコード会社をアポロンから東芝EMIに移籍。この頃に芸名を現在の「氏神一番」(うじがみ いちばん)へと正式に改名。

5月7日、シングル“勇気があれば”(作詞:氏神一番/作曲:大槻セイシロー/編曲:カブキロックス&角田英之)を発売。表題曲はアニメ『剣勇伝説YAIBA』オープニング主題歌、B面収録曲“神智学無き戦い!”(作詞:大槻ケンヂ/作曲:網倉一也/編曲:カブキロックス)は同番組エンディング・テーマ。

 

 

7月21日、移籍第一弾アルバムとして3rdアルバム『勇気』を発売。さらに「平成の勇気ツアー」と題して全国ライヴハウスツアーを敢行するも、活動機会は減少の一途を辿る。

 


そして遂にはドラムの井上晴之介も去り、氏神一番 (Vo)・坂川美女丸 (G)・健士郎 (B) による3ピースユニットとして、細々とライヴハウスでの活動を続けることとなる。

 

 

2001年、健士郎に替わる新ベーシストに鬼島力蔵、新ドラマーにピカベエ、さらにキーボーディストとして侍麹之介(当初の芸名は「サムライ宏治」)を加え、「新生カブキロックス」として本格的に活動を再開。
同年8月9日、青木秀樹(青木秀麻呂)主催により恵比寿FABで開催されたライヴイベント「Glamorous Night at FAB」のおまけとして「一夜限りのオリジナルメンバー雷舞」と称し、デビュー当時の初代メンバーによる復活ライヴが実現した。

 

2002年6月20日のワンマンライヴにおいても、前半に「新生カブキロックス」、後半にデビュー時の初代メンバーが揃った「元祖カブキロックス」という、新旧カブキロックスの対バンが実現した。

その後、初期メンバーの青木秀麻呂、大槻セイシローの復帰と、坂川美女丸の脱退、およびメンバーの変更が公式サイトのBBSで発表され、氏神 (Vo)・青木 (G)・大槻 (G)・紫炎 (B)・華織 (Ds) というメンバー構成になり、久々にツインギターによる5ピースバンドの形態を取り戻す。

 

 

2005年5月13日、デビュー15周年を期に、4thアルバム『轍 〜WADACHI〜』をビオン・ミュージックエンタテインメントから発売。収録曲“Challenger”(作詞:氏神一番/作曲:大槻セイシロー/編曲:KABUKI-ROCKS & Akihiko Matsuda & Kazuyoshi Narita)がKBS・tvk・TVS共同制作ドラマ『T・R・Y〜夢への階段〜』主題歌に起用された。

 


2006年、ベースの紫炎が脱退。後任として胡縞武蔵が加入。


2007年、ドラムの華織が脱退。

同年に死去した作詞家の阿久悠の葬儀で、代表曲“ふり向くな君は美しい”の作詞者ということからザ・バーズを代表して氏神が参列したが、他の参列者からは「なんでこいつが来てるんだ?」と言われている。


2009年、三柴三蔵が後任ドラマーとして加入。氏神一番主催のライヴイベント『JAPONES CREW 和Rock Night』に出演。
10月21日、20周年記念シングルとして“大江戸 恋町 華の町/御免ねお夏”(ともに作詞:氏神一番/作曲:青木秀麻呂/編曲:カブキロックス)をBirdland Music Entertainmentからリリース。

 


2011年2月23日、「21世紀の昭和歌謡」と称してシングル“めぐり愛ナイト”(作詞:氏神一番/作曲:青木秀麻呂/編曲:長谷宮彰孝&カブキロックス)を発売。

 


2012年、ギターの大槻セイシローが脱退。


2013年7月10日発売の、声優:上坂すみれの2nd Single“げんし、女子は、たいようだった。”(作詞・曲:桃井はるこ/編曲:Haraddy・鈴木勝彦)のMVにて、「上坂すみれ feat.カブキロックス」名義で、メンバー4人がバックバンドとして参加。

 

同年、オリジナルメンバーの坂川が再加入。


2015年1月1日、デビュー25周年を記念した、新曲5曲を含むベストアルバム『NOW&BEST 〜今昔詩歌集〜』をキングレコードから発売。

 

 

2017年5月17日、テレビアニメ『カブキブ!』ED主題歌として、“お江戸‐O・EDO‐”(作詞:糸井重里/作曲:加瀬邦彦/編曲:堤博明)のカヴァーが、劇中の登場人物(声優)による「カブキブロックス:天雅熱(市川太一)、天雅冷(梅原裕一郎)、天雅懐(河西健吾)、天雅雷(逢坂良太)、天雅震(島﨑信長)」名義でシングルリリースされた。

 

 

2023年4月7日、『イカ天』出演バンドを網羅したコンピレーションアルバム『イカ天オムニバスアルバム』が発売。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(参照)

Wikipedia「カブキロックス(バンド)」

 

 

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