カラスウリ(烏瓜、唐朱瓜)は山野や藪などに生えるつる性の多年草で、茎から出た巻きひげが木などにからんで3m近くまで伸びる。拙宅の庭でも自生のカラスウリがフェンスや庭木に絡みついて成長し、毎年秋に数個の果実が赤く熟す。
ところが、今年は蔓は例年通りよく伸び、フェンスや草木に絡まっているのだが、実が一つも生らない。今年は梅雨の長雨で日照不足やその後の猛暑続きの影響で家庭菜園も不作だったので半ば諦めていた。そんな中、9月21日に物置の屋根に上がる機会があり、そこで物置の裏とフェンスとの15cmほどの狭い空間にカラスウリの果実を発見した。この場所は背中合わせに設置された隣家の物置の裏手でもあり、普段の生活では死角で気付かない、陽射しの少ない所だ。
「烏瓜」「唐朱瓜」の和名の由来をネットで調べると、烏が好んで食べるからだとして鳥瓜と書くが、烏の好物ではないようである。秋に果実が朱色で木の上に長く残る様から、烏が食べ残したのだろうと、烏瓜の名前が付いたという。また、古く唐から伝来した朱墨のことで、この原料の鉱石が朱赤色鶏卵状で、果実の色と形が似ているところから唐朱瓜と呼んだという。その外、名前の由来には諸説あるが、別名に玉梓、土瓜、山瓜や狐の枕といった面白い名もある。
秋に長さ5~7cmの卵型状の赤い実をつける。10月から11月末に熟してオレンジ色ないし朱色になる。
熟したカラスウリの実は不思議で魅力的な植物で見るからに美味しそうだが、苦みがあり食用に向かないという。こんなことから、”枯らす瓜”が転じてカラスウリになったという説もあるらしい。果実の液汁は肌あれを治す効力があり、化粧水に用いられる。食用にできるのは初夏にでる若芽で油炒めなどにして食べるという。
果実をズームアップする。果実の肌合いはリンゴやマンゴーに似たところもある。
物置の裏側で陽当たりがないのて、未だ縦の線が入った縞模様の実もあった。熟する前の緑色の果実は塩漬けなどの漬け物にするという。
これは昨秋に撮ったもので、美味しそうなのだが舐めると一瞬甘みを感じるものの非常に苦く(私は未体験)、人間の食用には適さないという。実の中は一つ一つ粘膜に覆われた種が 繊維でひとかたまりになっている状態で、皮と種との間には空間がある。種は10~15個位入っている。