ロン・ミュエック | 美術系男子

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美術系学生の延長…٩(๑´3`๑)۶

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金沢21世紀美術館で開催中の ロン・ミュエック 展を見てきました。

とても見ごたえのある展覧会でした。


ロン・ミュエックは1958年オーストラリア生まれで、現在はロンドンを中心に活躍している造形作家です。

その作品は、驚くほどリアルに作られた人体なんですが、そのサイズが普通ではありません。
とてつもなく大きいか、逆に小さいかなのです。
そのことも作品の重要な要素になっています。

素材はシリコンなどの樹脂で、そこに色を塗り、髪の毛、体毛などは実際に植毛しています。

大きいものも小さいものも、まずは粘土で作り、それを型取りしたものに樹脂を流し込んで作っています。

骨格、筋肉、肉のたるみかた、シワの寄り方、体のそれぞれの場所による肌の質感の違い・・・、とにかくリアルに作られています。

そしてなんといっても肌の色がすごい!
透けて見える血管まで、まるで生きているかのように彩色されています。
そして肌のそれぞれの部分によるツヤ、湿り気の違いまでもが表現されています。

目玉は積層ガラスによって作られていて、これもリアルです。



写真作品ではよく、人の顔だけのアップや全身を写した写真がありますが、そういう写真作品の美術館での展示を見るときのビジュアルイメージに通じるものがあるな…と思いました。

大きい作品は壁面いっぱいに引き伸ばしてプリントされたものに似た、体全体でそれを見るような圧倒される感じ、
小さい作品は小さくプリントされてそれを至近距離で見るような…写真集で見るような感じ。
それが立体として目の前に実際に存在しているのです。


作品のジャンルとして、美術の世界では今までになかった落とし所だと思いますが、切り口としては今まで誰もやらなかったのが不思議なくらいです。
あー、そうか、これがあったか…という思いがしました。
ただ、それを説得力ある形で成立させているのが、テレビ業界で模型を作る仕事などをしてきて身につけた、絶対的な技巧なんだろうなと思います。