今回は、グランドスラム22勝、ランキング1位在籍女子の記録を持つ、



「シュテフィ・グラフのバックハンドスライス」



を紹介したいと思います。



今では、女子の片手バックは珍しい部類になってしまいましたが、


トップスピンはほとんど打たず、スライスを主体としたプレースタイルでこれだけの実績を残したのは、このグラフで最後かもせれません。


このグラフのスライス、普通のスライスとはいくつか違う点があります。


① グリップがフォアのイースタン

スライスのクリップは通常はコンチネンタルグリップですが、グラフはややフォアのイースタンに近い持ち方だったのです。




ですので、ボールをかなり引き付けて打点が後ろになり、極端な前傾姿勢になりました。


② 大きく取れるテイクバック

このグリップだと自然と打点が後ろになるので、通常のスライスよりも、テイクバックが大きく取れるのです。


普通のスライスのテイクバックはこんな感じですが


更にヘッドを下げてインパクトまでの加速距離を稼ぐ事が出来るのです。




③ ボールとの接触時間が長い、大きなフォロースルー

またインパクト時のボールとの接触時間が取れて、ボールの下をえぐるように擦ることが出来て、より多くの回転量を加えることが出来る。




シャキンーと切っている、と言う感じですね。


これだけ、回転量をが加わると、通常のスライスよりも、鋭く横に跳ねたり滑ってくるハズです。


グラフのスライスの打ちづらさは、伊達公子さんの自伝にも書いてありましたが、


あの強烈なフラット系のフォアハンドと、このスライスが交互に飛んできたら、相当打ちづらいと思います。



野球のピッチャーが速いストレートと、落差のあるフォークボールを投げるのと一緒かもしれません。

しかし、これを打とうとしたらグリップをフォアハンド寄りにしなくてはならないので簡単ではありませんが、

現在ではフェデラーが近い打ち方をしているように思います。


現在はフォアバック、特にバックハンドは両手打ちでトップスピンを打つのが常識になっていますが、


フォアとバックの球種が大きく違う事は、相手からエラーを誘うための一つの手段と考えらて、グラフはそれを徹底していたように感じます。


しかし、等のグラフは試合でバックのトップスピンが使えない事を悩んでいていたようで、


試合後のコメントで、今日はバックのトップスピンが打てなかった、みたいな事を言っていましたが、


私はフォアバックの球種の大きな違いが、これだけの成績を修める要因だったと思うので、もしバックのトップスピンが普通に打てていたら、これだけ勝てたかは分からない。



珍しいトップスピンを打っている写真ですが、これを見つけるのに苦労しました。


リアルタイムで、グラフを見ていた方は、バックハンドのトップスピンを打った姿を見たことがありましたか?。