今回の参詣は、中央区築地の波除稲荷神社(なみよけいなりじんじゃへ。

ここ築地は、都内に11ある東京都中央卸売市場のひとつで、水産物の取扱量日本最大の市場がある地域。あまり知られていないが、魚市場としては世界最大。

 

第四六〇回 波除稲荷神社   →今回

第四六〇回 その2 例大祭 

第四六〇回 その3 築地の風景

以上、3回に分けて掲載します。

 

 

 

 

築地市場東北側の海幸橋の袂に鎮座。

築地は読んで字のごとく、き立てた所という意味で、明暦の大火(1657年)の後に造成された所。当社はその埋め立ての際に、押し寄せる波を静めるために勧請された神社。

 

当社から北に1.5kmのところにある鉄砲洲稲荷神社は、「稲荷橋稲荷」、「湊イナリ」、「南八丁堀稲荷」と称され、古地図には「鉄砲洲浪除け稲荷」とも記されている。また東の佃島にも浪除稲荷神社があることから、江戸の中でもここら一帯だけ波の荒れやすい地域だったのだろう。海岸沿いの神社なんていくらでもあるのに、波除の名は中央区の三社のみ。

 

 

 

 

波除稲荷神社 なみよけいなりじんじゃ

波除神社とも。祭神は倉稲魂命。創建は万治年間(1658-1661)、埋立地を造成中に何度も波浪に依って工事が難航したが、海中より出てきた稲荷明神の像を祀ったところ、波が治まり無事完成したことから、「波除」の名がついた。

幕末までは幕府の御軍艦操練所があり、海幸橋の袂に当社は鎮座していた。

 

御由緒

境内掲示より字体改行などそのまま記載

 

波除稲荷神社

 所在地 中央区築地六丁目二〇番三七号

 

 波除稲荷神社の創建は万治年間(一六五八~一六六一)、と伝えられています。

築地一帯の埋立てが勧められた万治年間、波浪により工事が難航を極めた

際、海中に漂う稲荷明神の像を祀ったところ波浪が治まり、埋立て工事が無

事完了したと言われています。「波除」という尊称はこの故事に由来するも

ので、江戸時代以来、航海安全や災難除け・厄除けなどの神として人々に篤

く信仰されてきました。

 波除稲荷神社の祭りは、江戸時代から獅子祭りとして知られ、祭りの際に

は数多くの獅子頭が町をねり歩きました。獅子頭の多くは震災・戦災などで

失われましたが、現存する嘉永元年(一八四八)製作の獅子頭一対(中央区民

文化財)は社宝として本殿に安置されています。なお、現在でも毎年六月の

「つきじ獅子祭」では、「厄除け天井大獅子」や「弁才天お歯黒獅子」が巡行さ

れることがあり、獅子祭りの伝統を伝えています。

 また、本殿前にある天水鉢二基(中央区民文化財)は、尾張藩船からの積

荷の陸揚げに従事した小揚たちが天保九年(一八三八)に奉納したものです。

江戸時代、現在の築地市場の

南半分には尾張徳川家の蔵屋

敷があり、米殻や尾張の特産

品などが運び込まれていまし

た。船の無事を祈って奉納し

たこの天水鉢は、波除稲荷神

社への信仰を伝える貴重な文

化財です。

 

 平成二十二年三月 中央区教育委員会

 

 

 

神輿庫 しんよこ

本殿左手奥。千貫宮神輿。例大祭の期間のみ公開される。

 

 

 

稲荷社

神輿庫の手前に鎮座。波除神社も詳細をご存じないらしい。

どこか近隣にあった稲荷を遷座したものだろうか。

 

 

 

 

碑石

境内には様々な塚(供養塔)が建てられていて、いずれも築地ならではの光景。

右側から、東京築地魚市場活物組合が建立した活魚塚、仲卸尾邦が建立した鮟鱇塚、東天会てんぷら料理協同組合が建立した海老塚、東京都鮨商環境衛生同業組合により建立、副総理三木武夫書のすし塚、東京鶏卵加工業組合が建立した玉子塚がある。

 

 

 

 

四社宮

境内左側に鎮座。天照大神・大国主命・少彦名命・天日鷲命の四神を祀る。

 

 

 

 

 

 

獅子殿

写真上が境内入って右手側にある(お顔の黒い方)のが天井大獅子。獅子頭の手前に座っているネコと比べると、いかに巨大かがわかっていただけるかと思う。千貫神輿とほぼ同じぐらい。

写真下が左手側、向かい合うように安置されている(赤いお顔の方)のがお歯黒獅子。確かに歯が黒い。どちらも建物内に安置された獅子頭なのだが、こちらの方だけ体内に紫水晶を抱えた弁財天(市杵島姫)を祀り、弁財天社と称されている。

 

 

御由緒

境内掲示より字体改行などそのまま記載

 

雌の大獅子『弁財天・お歯黒獅子』

 江戸時代に東都名物と伝えられた雄の大獅子(天井大獅子)が平成二年に再興され

更に九年に木の収縮を待ち八十五年ぶりに担いでの大獅子巡行が復活し 雌の大獅

子も平成十四年の本祭りに 此れもまた名物でありました『お歯黒獅子』として高

さ 一・八㍍ 幅二・五㍍ 重さ約七百㌔の朱塗りに歯に鉄(かね)をさした艶やかな

姿を表しました

 此のお歯黒獅子の雌を表す宝珠の角の内に江戸期の神社御創建と時を同じくして

境内社に御奉りされておりました市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)いわゆる弁財天

の御神像をこの慶事に古に習い紫水晶を御霊として抱く姿の木彫座像で新調されて

納められました・また担ぎます時の見返り幕も弁財天の艶やかな立ち姿を友禅染

に刺繍を施し新調されました

 学芸の才能と 豊かな財をなす 福徳の神『弁財天』 として再興された

『お歯黒獅子』 どうぞ末永くお詣り下さい

 

 

 

 

きっちり等しく距離を置いて撮ったわけではないので正確ではないが、比べると二つの大きさはほぼ同じ。(焦点距離はどちらも同じ)

 

 

 

 

例大祭の時に撮影した、お歯黒獅子の背後の弁財天の刺繍。

上野松坂屋謹製の八臂弁財天のお姿。

 

次回は例大祭(つきじ獅子祭)を掲載予定です。

 

 

 

写真は、2008.5.10(外観)と2014.6.7(境内施設) 撮影

 

備考

社号 波除稲荷神社 なみよけいなりじんじゃ

別名 波除神社

祭神 倉稲魂命

創建 万治年間(1658-1661)

祭日

末社 稲荷社、弁財天社(お歯黒獅子)、

    四社宮(天照大神・大国主命・少彦名命・天日鷲命)

社務所 御朱印神札御守り授与御祈祷受付有

所在地 東京都中央区築地6-20-37

その他 お歯黒大獅子、厄除け天井大獅子あり

 

※備考欄の内容は、当該社寺の公示又は典拠を基に記載し、不明瞭なものは空欄にしてあります。
またこのブログ内の記事は、散歩としての見所やおススメポイントとして、私が感じた主観的な評価であり、当該社寺の格式や宗教的価値、ご利益等を評価したものではありません。