ちょっと怪しいヒーロー 七色仮面って知ってる? | 伊豆高原「怪しい少年少女博物館」のブログ

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レトロで可愛くて気持ち悪い。伊豆高原「怪しい少年少女博物館」の展示品などを紹介します。




怪しい少年少女博物館1階の懐かしの玩具のコーナーに展示している七色仮面のマスク


七色仮面

「玩具のコーナーの中にある金色のマスクは何のマスクでしたっけ?」しばしばお客様から頂く質問なので、今回取り上げました

「七色仮面のマスクですよ」とお話しすると、「え?そうなんだ~懐かしのヒーロー特集とかに出てくる奴?でも七色仮面なんて知らないな~」とおっしゃる方が多いのです

無理もありません。70年代半ば位の玩具が多い中に、一つだけ古いキャラクターのマスクが混じっており、怪しい少年少女にはありがちな事なのですが、特に何の説明書きも付けられていないからです。お客様は、ど忘れしてしまった70年代のヒーローかと思って質問をされるのです

七色仮面は1959年6月から1960年6月までテレビで放映された、東映初の仮面ヒーロー物です。もちろん白黒放送の時代の物です。映画化や漫画化もされ、原作者は月光仮面やアラーの使者、レインボーマン、ダイヤモンド・アイ、コンドールマン等の原作者で知られる川内康範です。劇場公開も考えられて35mmフィルムで撮影され、当時としては破格の一本500万で制作されたそうです


七つの顔を持つ名探偵の多羅尾伴内の影響

「白黒作品なのに七色仮面なの?」と質問をされたお客様の中には突っ込まれる方もいらしゃいますが、虹や玉虫の様な色の仮面と言う訳ではなく、七変化と言うか、七つの顔を持つ変装の名手の探偵が主人公という訳なのです

初めは大映(1946~48年に4作品)、後に東映(1953~60年に7作品)が制作を手掛けてヒットした七つの顔を持つ名探偵の多羅尾伴内(たらお ばんない)の映画が、かつてシリーズ物としてありました。七色仮面は月光仮面のテイストを活かしつつ、多羅尾伴内を子供向けにして、テレビヒーローにした感もあります。多羅尾伴内は、「ある時は○○、またある時はXX、しかしてその実体は~」と言って名乗りを上げる訳ですが、キューティーハニー等、現在でもこのパターンは継承されていますよね




怪しい少年少女博物館の奥の階段の踊り場付近に展示している映画「多羅尾伴内」のポスター。 東映が後年の1978年に小林旭主演で撮った物。二丁拳銃が決まってるね



怪しい少年少女博物館2階中央の階段付近に展示している、同じく78年に撮られた「多羅尾伴内 鬼面村の惨劇」のポスター


結構怪しかった七色仮面

七色仮面に関しては、私もちゃんと観たのは初期のコブラ仮面の頃の話位です。宣弘社が作っていた月光仮面は現代と比べるとかなりテンポ感が遅く、私等は、しばしばかったるく感じる事もあったのですが、もう少し普通に観られる程度にはなっていました。昔のまだ舗装も行き届いていないような街の様子が懐かしく、子供も出てくるのですが、なまはげみたいなコブラ仮面もさることながら、子供が見たら怖がりそうな怪しい雰囲気満載で、東映のギャング映画のテイストもありました

主人公である名探偵蘭光太郎は変装の名手と言う事で、街のサンドイッチマンに化けたかと思えば、変な風采の流しのタクシーの運転手に化ける等、結構楽しませてくれます。化けている時の姿が、かなり怪しく、かえって非常に目立ってしまっているのが面白い所でした

七色仮面は至近距離で撃たれても死なず、顔はマスクなので動かないのに、高らかに笑いながら現れるのが不気味で怪しかったと言う人や、マスクの形がパイナップルに似ていたのでパイナップル仮面と呼んでいた人もいるそうです


二挺拳銃でおじさんか少年がヒーローと言うパターンが多かったけれど・・・

この頃のヒーローは武器として二挺拳銃を持っている場合が多く、月光仮面や中学生時代の吉永小百合も出演していたまぼろし探偵、ハリマオそしてこの七色仮面も二挺拳銃持ちなのでした

おじさんか少年がヒーローである事が多く、七色仮面も一部から四部までは、映画の少年探偵団物で明智小五郎役を演じた波島進が演じました。でも五部からは、主人公がぐっと若返って題名も新七色仮面となり、後にアクションスターの代表格となる千葉真一が演じました。新七色仮面は千葉真一の初主演作なのです。風格のあるおじさんから若者に変わり、アクションが凄くなったものの、初めは違和感を感じた人も多かったそうです。ただ千葉真一と言う器械体操仕込みでアクロバティックなアクションをこなせる若者を主人公に起用した事は、後の変身ヒーロー物に多大な影響を与えたと言えるでしょう


七色仮面は本当は金色ではなかった?

七色仮面のマスクは弊館の物の様に金色とされており、出版物やメンコやカルタ等の彩色も金色になっています。ところが実際の撮影に使っていた物はそうではなかった言う人もおり、後に仮面ライダーで地獄大使を演じた潮健児も銀色だったと証言しているようです。白黒作品ですので、白黒の画面で観た時に金色と感じられる様に銀色を使っていた可能性もありますが・・・

マスクは裏が観音開きになっていたそうで、京本政樹氏は張り子細工で出来ていたのでは?と推測しているようです


七色仮面のリマスター版DVDが気になりますが・・・

今年(2016年)になって七色仮面のリマスター版のDVDが発売されたようですが、私としては七部の「日本は狙われている」が気になります。日本を狙う外国資本とその外人陰謀団の暗黒大帝等との対決を描いた物との事ですが、同じ原作者のレインボーマンの話を思い出させるからです

レインボーマンは、戦時中に日本軍に虐待されたと主張する外国人が死ね死ね団を結成して、日本を転覆させる為に様々な陰謀やテロを企てる。それを憂国の?ヒーローのレインボーマンが幾多の苦難を乗り越えて阻止すると言う物語でした。レインボーマンの何かとっても民族主義的な感じがするテイストが、かえって面白くて私は結構はまりました。七部とレインボーマンは何となくつながりがある様な気が私にはするのです

でもリマスター版には七部の内で、現存をしている第1話しか入っていないとの事なのが残念です。もっと一生懸命東映の倉庫を探してくれよ~! と切に願います