書店で目についた『読む力』。

松岡正剛と佐藤優の本にかんする対談本。

知の巨人ふたりで「読むべき作品」をリストアップする趣向らしく

難しそうな作品名が並んでいます。
立ち読みでふーんと眺めていたら
田中小実昌『ポロポロ』の名が!!

こんなところでコミさんに出会うとは思わず、
あとはひとり想像の旅へ。

 

 


日本人作家が書く基督教文学で
なぜか忘れられない作品がいくつかある。
遠藤周作には目がハートマークになるし
太宰の『駆け込み訴え』は、
こんど朗読会で読もうと準備しているし。

彼らはキリストに恋してるように見える。
報われない片恋だけど
いつまでも想い続けますみたいなムードが好きだ。
田中優も永遠の片思いboyかな。
じゃあ他の宗教だと片思いじゃないのかなー?

宗教と恋愛ってどう違うのかなー?似てない?
考えとこ。

 

 


さて田中小実昌の「ポロポロ」というのは
「パウロパウロ」の意。
主人公の父が牧師さんで、祈祷会で発する言葉がタイトルになっています。
言葉、と書いたけど
作品のなかでは言葉とは捉えられていないかも。
「ポロポロする」と動詞で書かれ、「こぼれるもの」とされている。
祈りのようなもの。

宗教も祈りも戦争も人生もなんか、あるねー。
あるし、続いてるよねー。

物語なんかない、「なんにもない」があるだけだー。

リズム、ことば、リズム、ことば、人の口から発せられる、リズム、ことば・・・

 

わたしの愛する「物語」がごっそり排除されている。乾いている。

落雁みたいな、とぼけたあじわいだ。

なのにコミさんは宗教や娼婦(『イザベラね』)などどいった、生々しいテーマを扱う。そこがいい。

 

「ああ、主よッ!」とのたうち回る『沈黙』とはだいぶ違う宗教感

(沈黙、だいだいだいだいすきです(о´∀`о))。

 

 

左からコミさん、色川武大、殿山泰司。いい写真!

 

 

軽くなりたいけどなれない、じめじめ重たい凡夫なわたしでも
読むとすこおし湿度が減ったような気になります。

 

 


なぜこの作品がセイゴオ氏と佐藤優氏に選ばれたのか読むヒマがなかった。
また書店で立ち読みしよー。