「うわっ! すごい拍手!!」

8月27日に迎えた博多座公演の千穐楽、第2部のコンサートで「群青の弦」にはじまり、「大井追っかけ音次郎」までを歌ってからのオープニングトークで、満席の客席からの驚くほどの熱く大きな拍手がきよしさん、そしてkiinaを迎えたのです。

 

*満員御礼のボードがでていました!

 

「6月に東京の明治座からスタートして全国をまわる全90公演のロングラン。

博多座では12日間16公演! まったく誰も欠けることなくやってくることができました。

ここに今いるのは、(自分と)魂のレベルが合う人たちだと思います。

みんな、良い人!」

来場のお礼をおっしゃったあと、3階席まで満席の観客に、そんな嬉しい言葉をくださいました。

 

「博多座では今回、初めてでしたけど、お芝居とショーの2本立ての劇場公演を20代のときから始めました。

股旅演歌でデビューしたこともあって、これまでずっと時代劇をやってきたのですが、正直、苦手でした。

股旅ものをいただいた時もそうですが(時代劇やそういう世界のことをしらなかったから、良いも悪いも、好きも嫌いもわからないままに)、”これをやりなさい”といわれたことを一生懸命やりました。

大人の人にいわれたら、うけとめてがんばるというのが自分の(流儀というか)性格なんですね。

でも、勧善懲悪の世界で、必ず悪人がいて、その悪人をやっつけてハッピーエンドになるというのは、あまり好きじゃなかった。

やっぱり悪いことをする人にも、そうなった原因があるはずだから。

それなのにその人を斬ったり、痛めつけたりして、やっつけてハッピーエンドというのはどうかなって思っていたんです」

皆が、”うんうん”とうなずきながらきき、時折、拍手が起こっていたので、照れ臭くなったのでしょうか。

「福岡の人間やけん、優しいとです」

と博多弁でおっしゃったのです。

すると心をあわせた大きな拍手が起こりました。

 

「(劇場公演を始めてから)20年経って、私も意見をいわせてもらって。私も(発言権があるくらいには)偉いんですよ(笑)。

やりたいこと、伝えたいことを舞台でやらせてほしいと思ってフランスを舞台にしたお芝居をつくりました。

自由、平等、博愛はルソーが唱えたもので、フランス革命のスローガンにもなっていて。

人間の永遠のテーマですよね。

今回はその自由、平等、博愛をテーマにして、最後は誰一人悪人をつくらず、もちろん不幸せな人もつくらないハッピーエンドになっています」

 

そこまでお話しされると、さらに

「人間は明確な目標ができると、すごく力がわきますね!」

と、おっしゃいました。

何もないところからここまでの作品をつくり、ここまでの75公演で育てあげ、お客様が喜んで、笑顔になってくれる様子に、

初めてご自身が制作に関わったお芝居の手応えと充実感を感じての言葉だったでしょうか。

 

*エスカレータ横にも”満員御礼”のボード!

写メしようとしたら福岡の皆さんは

お優しいのでよけてくださって。

なので画像は”ポツンと感”がありますが、

実際はお客様、大行列でございます~。

 

オーロラのように輝くアクアブルーの燕尾服スーツにお召替えされて「星空の秋子」、そして「藤枝しぐれ」を歌われると、司会の西寄ひがしさんもまじえてのトークタイムとなりました。

無事に千穐楽を迎えたことを西寄さんが宿されると、

「すごいチームです! 日本一!」

とおっしゃり、

「お客様も素晴らしい! (客席をみわたして)男性、女性...中性の人ももいますよね(笑)。いろいろな人がいますが、ほんとうに幸せな人は人に愛をとどけることができるんだと思います。

嫉妬と妬み、妬みと嫉妬!

そういうものは何も生みません!

自分は(これまでのステージで)毎回、1対何千人と対峙していますから。みたらその人がどう思っているかがわかるんですよ。

まあ、今ははマスクしているから以前よりはわかりにくい面もありますが、(感じるもののありますし)それでもわかります」

 

千穐楽は満員御礼でしたが、公演中、世の中の状況もあり空席が目に入った回もあったようですが、

「赤い四角いお顔の方!

それは椅子の顔、空席なんですけど、そのお顔、空席が目にはいると正直、(こんなに一生懸命やっているのになって)イライラします。

でも、この状況は10年間はつづくのかなって自分は思っています」

本音を言葉にされながら、”10年間”と、シビアに状況をうけとめているきよしさんに、希望予測的なことばかり考えがちなわたしは、プロフェッショナルであることのすごさに感心したのです。

 

「どんな財宝より大事な命。

(この世に)無駄な人なんか誰もいない。だから(何があっても)生き抜いてほしいです。

食生活も大事ですよ。

父がパンばかり食べていたので、公演中、父にもごはんつくってあげていました。

食べ物は薬と同じですから、大事にしてくださいね。

そして、皆で生き抜いていきましょう!

そのために自分は歌っています」

 

*スタンプラリーコーナー!

景品交換になると鐘を鳴らしてくださいます!

さすが博多座さん! 嬉しくなりますね。

 

 

バンドメンバー紹介で、ギターの山本サトシさんとは初年度ツアーから一緒で、今日まで”同じ釜の飯を食って”一緒にがんばってきてくださったことを労われたのです。

てすが、その”同じ釜の飯”で思い出されたのでしょう。

 

「もうずっと前、初めてのコンサートツアーのときだったかな? 

静岡公演で。

なんか、ゲリみたいなカレーが土鍋にはいっていたんだけど、冷たくて。サラダもなくて。

食べたら少しもおいしくなくて。

こんなに一生懸命がんばっているのに。

愛情がないんだなって思ったことがありました」

と。

毎公演、命がけで臨んでいたコンサートで、そんなことがあったなんて。

過去のことであっても、そのときのきよしさんの気持ちを想像したらとても悲しくなりました。

愛情がなかったことはそのとおりかもしれませんが、もしかしたら内々の予算の問題もあったのかもしれませんね。

ここ数年、きよしさんから時折うかがうツアーでのケータリングはラーメン屋さんが出張したりすることもあって、とても充実している様子。

でもそれもすべてはきよしさんががんばっておられるからこそ、潤沢な予算をかけることができているのだと思うのです。

スタッフの皆さんがそれはよくおわかりかと思いますが、わたしたちもまた、きよしさんのがんばりのおかげで、セットや衣裳もふくめて最高のクオリティのものをみせていただいているのだなと感じています。

 

ここで西寄さんのことを、

「右から左さんです!」

と、紹介されました(笑)。

西寄さんがどこふく風で、あらためて”西寄ひがし”であることを自己紹介されると、ご自身のことを、

「氷川ひろしです!」

と(笑)。そのお名前はどこからでてきたのでしょうか? ね(笑)。 


そして、

「皆さんが健康になりますように!

皆さんが幸せになりますように!」

と大きな声でおっしゃると、

「ハッ!」

ステージ前方、そして後方に、手のひらをおしだしながら、気合をこめておっしゃったのです。


そこで、あらためて、

「kiinaです。

パンツがき~っ!!」

とおっしゃると、

「今日は"シモ”多いですね~」

と西寄さん(笑)。

 

「いいんですよ。こういう小学生レベルのネタ(笑)。罪がなくて」

kiinaはそうおっしゃると、皆の反応に気をよくされたのでしょうか?

「皆さん! うんち踏んだことあります?」

とおたずねに(笑)。

きよしさん! Kiina! 今、こここが博多座さんの舞台の上だってわかっています?

 

皆の”そんなこときいていやだあ”という空気に刺激されたようで(笑)。

サンダルで踏んでしまって、洗ってもとれなかったものを爪楊枝できれいにしたことを告白(汗)。

”すごく臭かった~”!

ですって。

もうっ!

 

そんな話題で、もりあげて(といっておきますね・笑)くださると、

新曲「甲州路」を颯爽と歌われました。

ラストのロングトーンが最高!

胸のすく思いがしました。

この落差の連続がkiinaの魅力なのだとますます思ったわたしです。

 

 

 

アンコールで、「生まれてきたら愛すればいい」を歌われると、

「50,60、70、80。いくつになっても綺麗でいたいなって思います。

清潔感のある人になりたいですね~。

そして、いろんな自分の表現ができるようになりたいです。

来年はお休みさせていただきます。

(がむしゃらにやってきたので)ちょっと立ちどまってみたいなって。

デビューしてから、心が張り裂けそうになった時もありました。

純粋に、歌うことは楽しいんです。

でも”氷川きよし”というキャラがひとり歩きをして...。

キャラのひとり歩き、”きよしくんキャラ”!

でも、自分は皆が思っている”きよしくん”じゃないんです」

kiinaの魂の叫びのようなその言葉に涙がでそうになりました。

 

前夜の、”もう20代じゃない”という言葉もしかり。

このブログを書いていても、kiinaが脱皮する以前は、”やれこれを書くな、あれを書くな”というご意見が書き込まれることが多々たあったのです。

ルージュに名前を入れてもらえるサービスがあって、”kiyoshi”といれてもらったことがあるのですが、”きよしくんを汚すな!”とか。

ご意見と思えるものはそのまま残しましたが、言論の自由を阻む、”あれするな、これしなさい”的な゛NGまたは押し付けコメント"は全て削除して、ブログを書き続けるモチベーションを保っていたということがかなりの期間ありました。

そのとき、一ファンの小さなブログにさえこんなにたくさんの”NG&押し付けコメント”が寄せられるなんて、当のきよしさんにはどれほどの声が寄せられているのだろうかと心が痛み、悲しく思っていました。

と、まあ私心を少し書いてしまいましたが、kiinaの発言が゛氷川きよし゛を全否定するものではないこと、わかる方にはわかると思いましたが、そうおっしゃった背景を想像する際の、おこがましくも参考に少しでもなればと。


「これから、どうやって40代、50代の自分を表現していこうかと考えています。

大好きな音楽、ファッションを、自分らしく表現したいから...。

あっ、お休みしていても、(表にでないだけで)生きてますからね(笑)。

死にゃしません。

私は”しぶとか”です」 

そう笑顔で博多弁でしめると、次に歌う「限界突破×サバイバー」について、バンドさんに、

「千穐楽なので、まったくちがう『限界突破×サバイバー』をお願いします。

昨日ともこれまでともまったくちがう」

とリクエストをされ、

さらに、

「過去にとわられず、でも過去を大事にして、やっていきたいです」

とおっしゃいました。

 

kiinaのリクエストに応えての、「限界突破×サバイバー」は、この回限りのセッション。

もう二度と同じものはできないかもしれない、素敵な演奏!

どんな展開になるのか(歌い出しはどこになるのか? 失礼!)、誰よりも楽しまれていたのはkiinaでした。

将来、そんなライブセッションも聴かせていただける日がきっとくる! と、楽しみがふくらんだのです。

 

「雷鳴」をダイナミックに、そして「革命前夜」を熱く歌いあげると、涙がにじんだkiinaでした。

 

*甘酸っぱいハート型のゼリーおいしかった!

でも、食べるのがもったいなかったです。

お友だちのYさんが予約してくださったおかげでドリンク楽しめました~。

感謝!!!

 

 

終演後はカーテンコールとなりました。

ステージに横一列に全出演者が勢揃い。

バンドの皆さんも定位置にのこっておられます。

ヌガー公爵役のなだぎ武さんからでした。

なだきぎさんは星田英利さんとダブルキャストで演じてこられましたが、御園座さんでの公演では星田さんが全公演演じるので、この日、いち早くおひとりだけ大千穐楽を迎えられたのです。 

そのことをふまえて西寄さんがなだぎさんを紹介されると、

kiinaが、

「なんかさびしいですよ。

今日で最後だったんだ...。

もっと(そのことを)噛みしめてやればよかった」

と。

そして、なだぎさんについて、

「毎公演、お客さんにわからないところで変顔してくれて。それが楽しみだったし緊張がほぐれました。

リラックスできました」

と。


そんなkiinaに、

「稽古のときに、この人、人笑わせるの好きなんだなって思ったんです」

なだぎさんがおっしゃると、

「基本、お笑いなので。喜劇やりたいです」

と、またの共演を期待させてくださる言葉。

 

なだぎさんが公演中に、パパになられたことを西寄さんが紹介されると、しきりに、”自分に譲ってほしい”と駄々っ子kiinaに(笑)。

やんわりと辞退されるなだぎさんでした(笑)。


すると、kiinaが

「私も報告があります!」

と ひとこと。

”何?”と皆が固唾をのんで、次の一言に全集中すると、

「来月、出産しま~す!」

そういって、右手に唇をあてて、

「プーッ!」

と、思いきりオナラの音。

もう、もう、もうっ!

ついていけん!

て、いっても、もちろんついていきますけどね(笑)。

 

曽我廼家寛太郎さんについて、気さくでお兄さんみたいな存在とkiinaがいうと、

「気さくだった、臭い?

お兄さんって、おじいじゃないの。

でも、博多に来てみたら、座長はやっぱり九州の人なんだなって感じましたね~」

とおっしゃり、名古屋公演に向けて元気でがんばりたいという決意を言葉にされました。

 

山崎銀之丞さんは、

「スマイル! スマイル! 山崎銀之丞です!」

と、すっかり西さんの十八番がお気に召した様子(笑)。

そして、ここだけの話と前置きされて、

「今日、台詞の”百年戦争”を”十年戦争”といってしまいました。

申し訳ありません」

と訂正とお詫びを。律儀な銀之丞さんです。

 

「以前、役者の勉強をしながらつかこうへいさんの運転手をしていました。つかさんはこの近くの飯塚出身なんです。運転手時代、娘さんの愛原実花さんに、本名は美奈子さんていうんですけど、”よろしくお願いします”って挨拶したこと思い出します。

この地で美奈ちゃんと博多座の舞台で共演できて。kiinaがここまで連れてきてくれたんだなって思って。

万感胸に迫るものがあります」

と、おっしゃいました。


おこがましくも、つかこうへいさんとの出会いで運命が変わったわたしであり、このブログもまたその出会いがあったからこそ書いているのだと思えるので、そこに銀之丞さんのエピソードを書く日がくるなんて、感無量です。

 

彩輝なおさんは、宝塚時代に、この博多座の杮落し公演の舞台に立たれたのだそうです。

「杮落し公演で、大役をいただきまして。

思い出深い劇場なんです。

今年は4月にもこちらに立たせていただいていました。大好きな劇場にこうして年に2回。それも今回はkiina座長と皆さんと。

ほんとうに幸せです」

 

彩輝さんの言葉に、

「皆でご飯食べる機会がなくて、博多に来たら食べさせてあげたいものもたくさんあったんだけど」

とkiinaがいうと、

「暗黙の了解での絆を繋げて下さるkiinaが素敵だなって思います」

と彩輝さんがお答えに。

kiinaが

「繋がってますか?」

と、彩輝さんにおたずねになると、彩輝さんはもちろん、ステージに横一列に並ばれた全共演者の皆さんも大きく頷かれ、客席からも大きな拍手がおこりました。

 

「私がつくる芸術の世界。というとおこがましいかもしれませんが、私の歌やお芝居が、明日の皆さんの生きる力に繋がるといいなって思います」

そうおっしゃると、

 

「西寄さん、ほんとうにお疲れ様でした。

すごいですよ。もうハリウッドスター! 

お芝居に司会に、ありがとうございました。

あと、バンドの皆さん(そう、バンドの皆さんもその場におられるのです)、

今日の、『限界突破×サバイバー』、素晴らしかったです!

ありがとうございます」

と、あらためて西寄さんとバンドの皆さんにもお礼をおっしゃいました。

 

ラストは「革命前夜」を歌うことに。

「これね、最初はティンパニー入っていなかったんです。

でも、高揚するようなものにしたいなって思って、”入れてください”ってお願いしました。

だから、ボンボン入っています」

と、前置きされ、歌いだされたのですが、イヤモニを装着していなかったことに気づかれて、彩輝さんが手伝ってくださり、歌いながら、装着されたのです。

涙、涙、また涙。

万感の思いと感動にみちたこの世ならぬ美しい涙に、わたしもまた涙がこぼれてとまりませんでした。

 

上手、下手、センターとご挨拶され、

「お元気で~!!!」

と、力強くおっしゃると、

「♪イエー、イエエエ~」

と、美しいお声で歌ってしめくくられました。

 

 

 

*皆さま、お時間いただいてごめんなさい。

さあ、9月5日にいよいよ御園座公演が開幕します!!!