top of page

粟国島の民芸品を展示しました!

 昨年から取り組んでいるフェリー乗り場2Fの改装シリーズです。今回は、もと「みなと食堂」だったキッチンカウンターに粟国島で作られ使用されていた民芸品を展示しました。

 島に自生するクバの葉やアダンの葉、月桃の葉、ススキなどを使った植物民芸品と自然石を利用した臼など。粟国村教育委員会に展示用としてお借りしました。民具の移動も手伝っていただき、ご協力どうもありがとうございます!

 こちらは方言で「がんしな」と言います。がん=髪の毛、しな=品物。もともとは女性が農作物などを運ぶ際に頭上に乗せ、その上に大きなカゴなどを乗せる台座として使用していました。また、行事の際にご先祖様に御供え物をするときスイカの台座としても使用するそうで、ご先祖様が持ち帰りやすいようにという心遣いも込められています。

 おもしろいなと思ったのが、東北地方の民芸品にも、使用する植物は違えど同じ形の同じような作り方のものがあるということ。私は以前、東京都内の民芸品店で東北の手仕事の鍋敷きとして販売されているものを購入しました。丈夫で使い勝手がよく、飾っていても美しいので後ほどもう一つ購入して大小を持って使い分けています。

 こちらの石臼は「ひちうーし」。「うーし」と呼ばれることもあります。島では昔、大豆も生産されていて、行事の度に各家庭でとうふを作っていました。この石臼は、豆腐づくりのための道具で上に開いた穴に大豆と水を入れ、横の四角い穴に木の棒を入れて上の石を回しました。すり潰された大豆は石と石の真ん中から出てくるので、下に「あじまー」と呼ばれる十字に組まれた木の棒と、「うーき」と呼ばれる木の桶を置いてためていきました。

 現在島には2軒のとうふ屋さんがあり、にがりではなく海水でつくられたとうふが販売されています。作りたての温かいゆし豆腐はふわふわとした食感と程よい塩分でとてもおいしいです。島外販売はしておらず、島の商店でしか買えないのでお越しの際はぜひ食べてみてください。

 自然の石を利用した「がいすつじゃー」。おもにカニをすり潰してダシにするための道具だったようです。別名「がにたたちゃーいしぐぁー」。使い方そのままに、カニ、叩く、小さめの石、という意味だと思われます。

 島の方にたずねたところ、カノコオウギガニという表面が茶色いゴーヤーのようにぼこぼことしたカニをダシにしていたとのこと。カニ風味のコクが出て汁物にすると美味しいそうです。よく似た模様のカニで、猛毒のものがいるので獲る際は注意が必要。

 まだ現在の港がコンクリートで整備される前、浜集落では磯へ降りてカニを採っていたそう。ダシの他、「さきぐすい」と言って薬にもカニのすり潰したものを使っていました。身近な自然のものを活用してケガや病気まで治療してしまう昔の人の知恵はすごいな~と思います。

 こちらはススキのほうきです。年月を経て、きれいな飴色になっています。沖縄県の他離島でも作られていますが、編み方や模様など、土地土地で微妙に違っているのが見どころ。実際に作ってみるとわかるのですが、力加減や湿り気具合の調整、均等に編んでいくことがとても難しい!!油断するとすぐにぽきっと折れてしまいます。編むのにもそれなりに力が必要で、男性の仕事だったことにもうなずけます。

 植物は季節や天候によっても水分の含み具合や成長の度合いが変わるので、余程よくよく観察していなければ素材の採り時もわかりません。葉や茎のどの部分を採るかも、その後の植物の成長にも関わるので注意が必要だったと思います。

 どの植物がどんな性質を持っていて、どんなものを作るのに適しているのか、どの石が削りやすいのかなど、自然を活用した民芸品には豊かな自然と共に暮らしてきた粟国島の人たちの知恵と経験、自然を大切に扱っていた想いが感じられます。

 自然から少しおすそ分けをもらって生活に必要な道具を作り、終わったら土に還す。美しい造形の民芸品の数々を見ていると、そんな循環型のシンプルな生活を私も見習っていきたいなぁと思うのです。

※各民芸品の方言名は粟国島内でも東・西・浜の集落によって別の名前で呼ばれていることもあります。

You Might Also Like:
bottom of page