蜀散歩：９日目　漢中（明月峡・拝将台）：よくもこんなところに杭が打てましたね。

6:00 起床。
7:30 部屋のメモに、「不忘清掃！！」、と書いてチェックアウトしました（笑）。夕方の列車で移動するので、荷物はそれまでホテルで預かってもらいました。

漢中駅前は再開発中でした。

ホテルの部屋から見えていたバス停から、石門桟道、へ向かいます。

7:37 １０２路バス乗車。石門桟道は、終点の陝西理工大学北区よりも３つ手前です。

8:08 石門景区着（景区は後ろ方向）。ここは景区へ歩いて向かう橋のたもとで、停留所の施設は何もありません。停まっているのは、乗ってきたバスではなく、これから勉県へ向かうバスみたいです。

橋のたもとに建っている、石門桟道風景区、の標識。

傍の川は褒河で、漢江に合流します。左手が上流で、右手に流れて行きます。

商店街を抜けて、ダムまでずっと歩きます。

石門桟道は、再建された蜀と巴を結ぶ褒斜道の一部です。褒斜道は、漢中の褒谷口から眉県の斜峪関までの２３５ｋｍ、とのこと。

西門。検票口はまだ先です。

飽きさせないように、壁に絵やレリーフがずっと描かれています。これは、出師表。

これは諸葛亮、関羽、張飛、趙雲。簡体字ではなく、繁体字で書かれています。

これは諸葛亮帰葬定軍山。

開業していない店舗もあります。まだこの商店街は作り立てみたいです。

こんな看板もありました。ここでも未だに毛沢東なのですね。

入場料は、大人７０元のところ、３５元。謝謝。本来は８０元らしいですが、補修工事中なので７０元に値下げしているようです。

自家用車で来る人が多いです。駐車場は一杯になります。中国もお金持ちになりましたね。

8:42 ここが検票口です。朝が早いので、まだ人は少ない。

褒河。上流に向かって歩きます。

ダムとの間は、電動カート車があります。片道１２元。帰りに乗ります。

大きな像があります。左から、ショウ何、劉邦、韓信。

韓信。昨日拝将台が閉まっていて、もう見ることができないかもしれないので、保険の為に、写真を撮っておきます。韓信、好きです。

漢中博物館の説明書きを読んでから、この文字を見ると、白けちゃいますね。

ところで、ここに飾られている中分の説明書きを読むと、曹操について、好意的に解釈していることが分かります（漢字の変換の都合で、便宜的に、褒、という字を使いますが、本当は、保、ではなく、公、です）；
・曹操が、褒雪、と揮毫した
・褒、では、偏である、さんずい、が欠けている（つまり、誤字）
・曹操は笑って、川が流れているのに、水（さんずい）が欠けている、というのは愉快だ、と言って豪快に笑った
・後世の人は、これを美談と言って、岩に文字を刻んだ
私に言わせれば、単に書き手（本当は曹操ではない）が文字を間違えただけだと思いますが。（因みに、さんずいが付いた褒は、消え失せる、という意味です。）

三国桃園結義ですね。後ろの花が綺麗です。

これは馬超みたいです。槍の先が曲がっているような気がしますが、気のせいかな。

魏の武将もいます。司馬懿、字は仲達。定軍山で諸葛亮と戦いました。

この絵の意味は何なのでしょうね。漢中石門日本之師、と書かれています。石門は岩をくり抜いたトンネルを指していると思います。トンネルを掘る技術が日本に伝わった、ということなのでしょうか。

曹操斬楊修。曹操の家臣の楊修は、曹操が言った「鶏肋」という言葉の意味を一人読み取り、その優秀さによって曹操に警戒され、曹操に誅されてしまいました。残念。鶏肋とは、肉が付いていない鶏の肋骨のことで、捨てるには惜しいが価値がないもの、という意味で、なかなか攻め落とせない漢中のことを、曹操はそう表現したもので、つまり、もう撤退しよう、という意味でした。

8:59 情人橋。対岸に渡れるようになっています。でも、戻ってこないといけません。

チョウセン。この辺りは美人コーナーでした。美女と悲劇は似合いますね。

何故か孔雀がいました。

壁画がずっと描かれています。飽きさせない為ですね。

9:07 高台に、中国の偉人の像が並んでいたので、載せます。どういう人達を偉人としているか興味深いので。先ずは康煕。清の第4代皇帝みたいですね。

朱元ショウ。明の始祖。

言わずと知れた成吉思汗。でも、ジンギスカンは中国人でしたっけ？違いますよね。でも偉人だと思っているのは、何故ですかね。金の時代の北京を征服したからでしょうか。北方の少数民族に配慮したのかな。ちょっと謎。

趙匡胤。北宋の初代皇帝みたいですね。

李世民。唐朝の第2代皇帝。

秦始皇。やっぱりこの人が一番凄いかもしれませんね。2000年以上も前に、中国を統一しちゃったんですから。ちゃんと中国全土を旅行して回っています。例えば、西安から紹興の会稽山まで直線距離でも1,000ｋｍ以上あります。いくら皇帝だと言って威張っていても、平定していなければ旅の途中で山賊や土豪に襲われちゃいますからね。

9:19 ダムが見えてきました。

対岸の桟道（再現）を工事しているようです。

9:24 ダムに着きました。後方に、折り返しの電動カートが見えます（帰りに乗ります）。

翠屏橋から見た褒河の下流方向。右側の道をずっと歩いてきました。

これが翠屏橋から見たダムです。

石門桟道へは、ダムの脇の道を上がっていきます。

これが登りの道。道が細いので結構混んでいます。

9:44 対岸の桟道は補修中です。

9:47 ダムの上に着いて、やっと石門桟道が始まります。

今はダムが出来て水位が上がってしまいましたが、以前はこの褒河に沿ってずっと岐山方面まで、桟道が続いていた訳ですね。

9:56 石門（トンネル）。このトンネルがあるので、石門桟道、と呼んでいるようです。ここでほとんどの観光客は引き返していました。そろそろ時間が迫ってきたので、天心橋瀑布まで行って、場合によってはそこで引き返そうと思っていました。

10:00 再現した桟道。

10:06 案内図。天心橋瀑布の先で道が切れているようです。

10:06 七盤古道。上から降りてくる道があります。桟道が使えなくなった時期に、これに代わるものとして付けた道のようです；石門の北から鶏頭山まで川に沿って登り、褒城に下る道、という説明板がありました。

10:07 道は塞がれていて、上に登れないようになっています。

10:07 下に降りていく道がありますが、これも塞がれています。この下の方に、昔の桟道があった、ということだと思います。

10:10 天心橋。あと少しだけ先に行ってみることにしました。ここから先の道はあまり整備されていませんでした。

10:11 多分あそこが滝ですね。

10:18 追鷹亭着。

ここが終点で、これから先は行けません。左側に立っているのは、監視役の青年。

振り返って、ダムの方を眺めます。ここまでたどり着いた達成感も混じって、良い気分。

夕べ買った肉夾モを食べます。正直　あまり味は良くありませんが、充実感でうまく感じます。

10:51 石門桟道のダム入口に戻ってきました。

11:05 ここからは電動カートに乗って入口に戻ります。１２元。

11:14 西門着。

11:24 入口に戻ってきました。出口を出たところで、ちょうど客を下したタクシーがいたので、乗りました。料金を聞くと、メーター払い、とのこと。こちらから依頼せずにメーターを倒した、珍しい田舎のタクシーでした。

11:57 拝将台着。タクシー代４０元。メーターでは40.4元でしたが、４０元におまけ。親切な運転手でした。謝謝。

やってきました拝将台。こられて良かった。

チケットは、この門扉越しに買います（小さく見えている窓口）。よほど物騒なのかな（笑）。入場料は優待がなく２０元。

拝将台。拝将壇、とも言うみたいですね。

中は庭園になっていて、正面に韓信像が有ります。右手には博物館がありました。左手は何か工事中でした；案内板によれば、国士無双、という名前の韓信記念館のようでした。

漢大将韓信。この漢は劉邦が建てた前漢ですね。韓信は劉邦の部下として、圧倒的な戦勝で貢献しましたが、上司の劉邦に妬まれ、結果、劉邦の部下に討たれました。無念。

自分の才能に慢心した為に、カン通に騙され、謀反を起こした、という評価もありますが、サラリーマンとしては、狡兎死して走狗烹らる、という言葉に、韓信の悲哀を感じます。青空の下で、韓信の姿は大きく見えます。

これには拝将台と書かれています。

武に優れた項羽よりも、智に長けた劉邦よりも、主に恵まれなかった韓信に心惹かれます。韓信、好きです。

天漢古ユン。博物館になっています。

拝将壇。拝将台とも、拝将壇ともいう、と書かれています。紀元前２０６年に劉邦が韓信を大将に任じた場所、ということですね。

ここでも褒雪の話題が出てきます。ちょっと飽きました。

劉備漢中称王。建安２４年（AD219年）、定軍山の戦いで、黄忠が夏侯淵を討って勝ち、勉県（勉陽）で漢中王になる儀式を行いました。魏延が鎮遠将軍になり、漢中の太守として駐屯した、と書かれています。

諸葛亮六出祁山。第五次北伐時に諸葛亮が病没したと言われていますが、ここでは六回北伐をしたと言っています。翌日の五丈原の編でも書きますが、数次については、①年で数えるか、②回数で数えるか、で違いができます。詳しく言うと、北伐をした年は、建興５年、６年、７年、９年、１２年の５回ですが、６年は春に馬謖が街亭で敗れて一旦撤退した後、冬に再戦しているので、回数で言えば６回になります。

三国時期諸葛亮進行漢中示意図。北伐ルートが良く分かります。

明代漢中府城図。今はないですが、昔は城の北側に川（堀）があったみたいですね。

天王銅造像。これは明代のもののようですが、いろいろな仏像（小ぶり）もありました。

12:42 拝将台（拝将壇）を出ます。

日差しは強いのですが、街路樹が多いので、意外に爽やかでした。

12:59 バスでホテルに帰ります。

13:09 駅前に戻ってきました。

13:18 ホテルに預けていた荷物を引き取りました。ここはちゃんと預かり証を発行するホテルでした。

掃除の件を除けばとても良いホテルでした；漢中金江大酒店。

13:22 漢中駅。（理由は分かりませんが、夜にこの駅名は明かりが照らされていませんでした。）

不忘初心、牢記使命。不忘掃除、はこの標語から頂きました。

駅の周囲は工事中でした。中国はまだまだ開発を止めないようですね。

14:25 検票開始。14:42発　D6868次　西安北駅行き。

14:32 入場。

天気は上々。トンネルを抜けると平野が広がりますが、心なしか空が霞んでいるような気がします。

16:05 西安北駅着。岐山行きの列車に乗り継ぎます。

16:27 小腹が空いたので、西安北駅構内で遅い昼食を食べます；酸辛粉　１７元。味はまあまあ。トコロテンのような麺なので、直ぐにお腹がすいちゃいます。

16:43 入場。16:59発　D6821次　宝鶏南駅行き。

川を渡ります。渭水だと思います。

17:44 岐山駅着。

やってまいりました、高鉄岐山駅。五丈原に行く為だけにある、と言っても過言ではない駅です。バスで行くつもりでしたが（バスの運行時間内に到着するように列車を選びました）、乗ろうとしていたバス（７路）が見つからないので、タクシーに乗りました。２５元。ホテル（蔡家坡駅に近い）へ行く途中には川（渭水）もあるので、結構距離があり、タクシーで良かったと思います。

18:12 ホテル着；新紀元酒店。

ホテルの前の通り（人民東路）は、線路に沿っていますが、店屋が全然ありません。

フロントはとてもフレンドリーでした。朝食付きで１泊\2,711。近所に手ごろな食堂はあるか、と聞いたら、ここのホテルのレストランが良い、と勧められました。やっぱり中国ですね。例えば台湾などで聞くと、周辺の店を気楽に教えてくれますが。

部屋で寛いでいると、公安が２人尋ねてきました。登記。パスポートを見せて、電話番号、旅の目的、出立日を聞かれました。英語が上手な警官でした。

18:58 ホテル１階のレストランで夕飯を食べます。

冷えたビール、１２元。ちょっと高いのですが、これは純生だから。

料理は、回鍋肉３２元、西紅柿蛋炒２２元、米飯２元。どれも美味しかったです。

部屋には洗剤が置いてありました。配慮が嬉しいですね。
ネット（Yahoo）を見たら、北朝鮮がロケット弾を発射した、というニュースが出ていました。今の私には遠い話題です。
22:15 就寝。今日も良く歩きました。辛苦了。