オルタネーター故障の見分け方は?寿命や交換時期について整備士が解説

オルタネーター故障の見分け方

オルタネーターはエンジンの発電機です。どんな車にも必要不可欠な部品のひとつで、故障すると基本的に走行できないことが多いです。
トラブルを未然に防ぐ、早めに異変に気付くために、オルタネーターに関する知識について現役整備士が解説します。

オルタネーター故障の見分け方-予兆について

オルタネーターにはいくつか故障を見分けるポイントがあります。 車に詳しくない人でも判断できることなので紹介します。

バッテリーの警告灯が点灯する

メーター内に赤色のバッテリーのマークのランプ=警告灯が点灯していると、オルタネーターの故障のうち、発電量が十分に足りていない、またはオーバーチャージしていることを示す合図です。
同時に黄色のエンジンチェックランプが点灯したり、年式の新しい車であれば発電に問題のある旨を伝えるメッセージがメーター内などに出ることもあります。

エアコンやオーディオの動作が不安定になる

オルタネーターの故障が発電不良であった場合、エアコンやオーディオの動作が途切れたり、照明が薄暗くなったりなどで不安定になります。
これは電装品を動かすための電力が足りなくなるからです。

ヘッドライトが暗くなる

発電不良の理由と同じく十分な電力が得られないために、夜間であればヘッドライトが急激に暗くなったことで、オルタネーターの発電不足に気付くこともあります。

パワステが重くなる

最近の車は電動式のパワステが主流となっています。
電動式パワステであれば、オルタネーターの発電不足により電力が足りないことで、ハンドル操作をアシストするモーターが動かなくなり、ハンドルが重くなる症状が出ることもあります。

【関連記事】パワーステアリングとは?警告灯がつく原因などを解説

エンジンの吹け上がりが悪化、エンジンの回転数が安定しない

オルタネーターの発電不足が発生すると、アイドリング状態でもエンジンの回転が安定せずに、振動が大きくなったり、エンストしそうになることがあります。
もちろんその状態だと、エンジンの吹け上がりも悪化します。
特に、先ほど解説したようなヘッドライトが暗くなったり、ハンドルが重くなる、エアコンの動作が不安定になるといった、電気負荷の大きい電装システムをONにした状態だと、よりこの症状は顕著に出やすいです。

オルタネーター故障の症状例

オルタネーター故障の症状は前章の予兆と同様に発電不足によるものがあります。またそれ以外にも異音が発生するといった故障の症例があります。

エンジンが停止する

エンジンが途中で停止してしまう(エンスト)症状の原因として、オルタネーターの発電不足が挙げられます。
発電不足の原因には主に以下のことが考えられます。

  • 本体の内部不良
  • プーリーの破損により駆動していない
  • 駆動ベルトのすべり、破損により駆動していない

発電しないことで電力が足りなくなると、コンピューターの電源が落ちてしまったり、ガソリンエンジンの車であればエンジン内部に火花を飛ばして点火できないことで、エンストに至るケースがあります。

異音が発生する

エンジンルーム内からの異音の発生が、オルタネーターの故障の合図の可能性もあります。くわしくは次章で解説します。

オルタネーターで異音がする原因(タイプ別)

オルタネーターに関連するところで異音がする原因について解説します。異音の種類によってだいたいの原因の把握に役立つので参考にしてみてください。

ウィーンと異音がするのはベアリング交換

エンジンを掛けてるときに、これまで聞こえなかった「ウィーン」という音が絶え間なくするようになったとき、オルタネーター内部のベアリングの劣化・異常が考えられます。
「ヒューン」「ゴロゴロゴロ」と聞こえることもあります。
ベアリングはオルタネーターの回転軸にある部品で、アクセルを踏んでエンジン回転数を上げると、「ウィーン」音もそれに連動するように大きく(速く)なります。
初期の頃は、オルタネーターそのものの発電能力には影響はありません。
しかし、放置しておくと異音が大きくなったり、さらなる悪い影響を及ぼす恐れもあるので、早めにオルタネーターを交換することをおすすめします。

キュルキュルと異音がする

キュルキュル音は、オルタネーターを駆動するベルトが滑っている可能性があります。
ベルトが滑ると、オルタネーターを十分に駆動できずに発電不足に至ります。
ベルトが滑る原因は以下のことが考えられます。

  • ベルトの硬化・ひび割れなどの劣化
  • ベルトの張り不足

ベルトが劣化している場合は、切れてしまい走行不能になるようなトラブルに見舞われる前に交換しましょう。
ベルトは正常で張り不足の場合は、調整式の場合は張りの調整を実施します。
オートテンショナーにより自動で張力調整するタイプであれば、オートテンショナーの劣化が考えられるので、部品の交換が必要になります。

カラカラと異音がする

「カラカラ」「カタカタ」といった音は、ベルトがかかるプーリーのガタの発生が考えられます。
この場合、ベルトが外れて走行不能になる、プーリーが脱落してほかの部品を損傷させてしまう…といったことが考えられるので、早急な修理が必要です。
もし発見したときは、安全な場所に停車のうえエンジンも停止します。
整備工場にはレッカー搬入することをおすすめします。

オルタネーターの交換時期と費用目安

オルタネーターは定期的な交換が必要なものなのでしょうか?
その交換時期や費用の目安を解説します。

交換時期の目安

オルタネーターには明確な交換時期の目安はありません。
距離が少なく、年式が新しくても不具合がでる場合もあれば、過走行低年式の車でも快調であることもあります。
強いて言えば、走行距離が増えてくると、やはりある程度故障のリスクは高くなります。
これまで不具合がなかった場合、10万kmを超えると交換時期を迎える可能性があると考えておきましょう。

交換費用の目安

オルタネーターは、新品であればメーカーの純正品で3万円〜10万円が目安です。
オルタネーターは高価な部品です。
一方で古いオルタネーターをオーバーホール(分解修理)して、新品同様のクオリティで使用可能な「リビルト品」であれば数千円〜5万円程度という値段で入手可能です。
基本的に軽自動車など小型車は安い傾向にあり、車格が高い・大きい車は価格が高い傾向にあります。

オルタネーターの交換はエンジンルーム上側から簡単に交換できるものもあれば、リフトアップしてほかの部品を外したり、分解整備を伴うものもあるので、車種やエンジンによって難易度に大きな差があります。
よって、工賃も1万円弱〜3万円程度と幅広いです。
新品にこだわりなどなければ、リビルト品でも十分です。
リビルト品が見つかる車であれば、軽自動車で全て込みで2万円程度で交換可能な場合もあるでしょう。
乗用車であれば全て込みで5万円程度から、高くて10万円くらいと考えておくと良いでしょう。

筆者の実体験として、輸入車のなかでもリーズナブルな部類の乗用車でも、オルタネーターのリビルト品がほとんど見つからず、純正新品で20万円するという例もありました。
こういった例は稀ですが、費用はあくまで目安で車種によっては工賃含めて例外もあることはご理解ください。
また、中古品の利用は部品の信頼性も低いことから、控えることをおすすめします。

オルタネーター修理はリビルト品使用か車の買い替えを検討しよう

オルタネーターは修理に際して、高額な修理・整備となる可能性のある部品のひとつです。
過走行や低年式車でオルタネーターに不具合が出たてきた場合、ほかの部分も寿命や交換時期を迎えている可能性もあります。
これをきっかけに、車の乗り換えを検討するのも良いでしょう。
また修理する場合は、リビルト品を使用して安心かつお得に修理することをおすすめします。

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Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。