本作は、世界の巨匠黒澤明監督が、30年間にわたってあたため続けてきた企画であり、1971年同監督がモスクワ映画祭に出席したことがきっかけで当時のソビエトで製作されることになった「幻の作品」と呼ばれる一作。
地誌調査のためにコサック兵6名を率いてウスリー地方にやってきたアルセーニエフが、はじめてデルスに出会ったのは1902年秋のある夜だった。デルス・ウザーラは、ゴリド人の猟師だと名乗り、天涯孤独の身の上で、家を持たず、密林のなかで自然とともに暮らしていることを、たどたどしい口調で話した...。大自然のなかで生きてきた男性と、文明の地から来た近代人たるアルセーニエフの友情を描いたドラマ。
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