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原種の岩檜葉

  そもそも岩檜葉とは、な〜んて、やっぱりこの書き出しになってしまいましたが、

岩檜葉とは岩盤に自生し、檜の葉の形をしている事から、この名が付いたと思われます。
日本の自生地域は(見て来た訳ではないけれど)本州、四国、九州と言われています。
次の写真のような、山間の岩盤に自生して、日照りが続けば、葉を巻き耐えて雨を待ち、
やがて古木と成れば立ち上がり、倒れては其処に根を伸ばして若返り、永久に生き続ける、
神秘の生命力を持つ、不思議な植物です

      
塔のへつり 福島県下郷町   

写真の現地での自生は確認していませんが、この様な山間の岩盤に自生しています。 
(何のことはない、この写真を掲載したかっただけの事です、せっかく写したんだもん。)
 
巻柏仙人を自称する私の隠れ家近辺では、多くの河川が渓谷をなしており、華厳渓谷、
霧降渓谷、また滝の落下を裏側から見られる裏見の滝の上流には、安良沢渓谷があり、
日光東照宮の脇で大谷川に合流する、稲荷川上流には雲竜渓谷、それ以外の支流でも
山間では渓谷をなし、その渓谷の岩肌には、自生の岩檜葉が結構見られます。

また渓谷に限らず、山肌に露出している岩盤には、
必ずと言っても過言でないほどに、少量の自生は見られます。

岩盤に自生する原種の岩檜葉  

      
写真の赤枠内をクリックすると、その部分の拡大写真が表示されます。
(写真は迷カメラマンが、断崖の下からズームで撮影した為に、写真が不鮮明ですがご容赦下さい)

この様な切り立った断崖の用土も無い小さな岩棚で、苛酷な環境にも耐えて自生しています。

  北関東で群生の見られる名所は、
茨城県大子町の、袋田の瀧でしょう。

袋田の瀧 

 写真の撮り置きが無く、この写真では
表現できませんが、この瀧の側面には
見事な群生が見られます。

 ちなみに、国外では、韓国、朝鮮、
中国、台湾、及び東南アジアの各国で、
自生が見られるそうです。 



2007年8月に、袋田の瀧の岩檜葉を撮影してきました
写真の赤枠内をクリックすると、その部分の拡大写真が表示されます。
画像が大きいので、通信状況によっては、表示に時間が掛かるかもしれません。




私の隠れ家近郷では,「イワヒバ」の事を「岩松」と言います。

私が「いわひば」の話をすると、「いわひばっちゃ何んで〜?、」と問い返されます、
「ほら、ゼンマイをちっちゃぐした見でな葉っぱで、良ぐ崖なんかに生えでんのが有んべな、
あれだよ岩松だよ」、と言うと、「ああ、なんだ岩松のことげ〜、あれだったら、山さ行げば、
なんぼでも有んべ〜」 「うん、そんでも山に有んのは、緑ばっかりで色が付かながんべな、
俺がやってんのは園芸種だきっと、色が付いてて紅葉も綺麗なんだぜや」てな調子です。
(普段はこの調子です、このページの記述では、精一杯よそ行きの言葉を、考えながら書いています)

  岩檜葉の呼び名に付いては、昭和七年に誠文堂から発行された、「蘭・万年青・巻柏」と言う
書籍の中で、この書籍の共著者の一人である、小林憲雄氏は、次のように述べています。

園芸品種に就いて

 花が咲くでも無し、幹が曲がりわだかまって面白味があるでなし、千年不変の容貌を
備えている野生岩ひばが、錦を織る様な色彩と形状の変化した品種を無数に作りだした
徳川時代園芸家の努力は、セッカチな現代人には驚異の一つと云はねばなるまい。
「岩ひば」は巻柏の一漢名の方が通りが良いが、植物の分類学と云う戸籍調べをして
見ると、有舌石松群(ユウゼツセキショウグン)、巻柏科(イワヒバカ)と云う事になる。

 更に漢名や、古名をたずねて見ると漢名では長生不死草(チョウセイフシソウ)、
萬歳(バンザイ)、又 豹足(ヒョウソク)、求股(キュウコ)、交時(コウジ)、
千秋(センシュウ)等の名が本草の書に見えている。

 和名では伊波久美(イワクミ)、又伊波古介(イワコケ)などは古名で、
近世は「こけまつ」「てんぐのもとどり」「くさひば」などの名もある。

 しかしこれ等は皆原種「岩ひば」の名で、園芸的に作出された品種の総称は、
何とか区別した別名を用いたら野生種との区別が、ただちに解される事と思う。
これに就いては今春東京巻柏会の依頼にて小冊子を著述したがその中に、
園芸品種巻柏の総称として、「萬歳草(いわひば)」の文字を用いた事を述べておいた、
その拠る所は本草の古名には「萬歳(ばんざい)」の別名があるのによるので、
別に新規な命名では無い、只従来の慣用文字を改めたいと定義するだけである。
旧仮名遣いを、現在の仮名遣いに書き換えました。 カッコ内の カタカナ は、振り仮名(ルピ)記載でした

このように岩檜葉(巻柏)には、色々な呼び名があったようです。

  薬草としての巻柏(岩檜葉)は、足利時代に、すでに記録が見られるそうです。
 また、お隣の国、中国では、それより古く、薬草としての巻柏の記録が有るそうです。
江戸時代の宝永6年、(1709年)に発行された、「本草綱目」と言う書籍にも、薬草としての、
巻柏の記述が有り、用法や効能などが、書きしるされているそうです、この「本草網目」に
記された薬草としての巻柏は、其の文面から、中国伝来の漢方を真似ていたようです。



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