兵庫県南部地震データ集 神戸の自然シリーズ 神戸の大地のなりたちと自然の歴史 地震で動いた土地、高くなった六甲山

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■5.地震で動いた土地、高くなった六甲山
■ 地震による土地の動き


図13.GPSによる地震前後の土地の動き
(国土地理院(1995)、多田ほか(1995)参照)

 図13は兵庫県南部地震の前後で周辺の土地の変動をGPS(グローバル・ポジショニング・システム)で調べたものです。奈良(吉野)と姫路(御津)が、7cm近づいています。京都の宮津と和歌山の阿南は、4cm遠ざかっています。神戸では、今回活動したと考えられる断層を境に、北側の地域では北東方向に40cm〜60cmも土地が移動したという測量結果もあります。

 断層が動くということは、このように広範囲の大地が動くということです。そのもとになる力も広い範囲にかかっています。GPSで地震による土地の変動量を測定した結果によると地震の前後で六甲山は約12cm、淡路島は1m高くなったことがわかっています。

■ 地震で高くなった六甲山

図14 国道2号線にそった土地の上下の動き
(国土地理院(1995)、多田ほか(1995)参照)

図15 六甲山地の東西の断面図
(「阪神・淡路大震災と六甲変動」(藤田和夫・佐野正人(1996)参照


 図14は国道2号線にそって基準点がどのように上下したかを測定した結果を断面図に書いたものです。図15は六甲山地をほぼ東西に切ったときの地質断面図です。 

 一方は、20cm程度の動きであり、もう一方は1000mを越すものであり、スケールがずいぶん違いますが二つの図がよく似た形をしていることは、どんな意味があるのでしょうか。

 兵庫県南部地震のような大地震の長期間にわたるくりかえしによって、現在の六甲山地がつくられてきたということがわかります。地震は長い時間の地殻変動の一断面といえるのです。兵庫県南部地震六甲変動のほんのひとこまでした。


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