神戸の自然シリーズ8 神戸の蝶
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 9.モンキアゲハ /アゲハチョウ科


 神戸には似た種類はない。夏型の雌は巨大な個体となる。雄は前翅表面外縁に沿う約半分が黒色ビロード状の光沢をもつ。

 西神戸の低地、とくに鉢伏一帯には最も普通でクロアゲハより個体数が多いが、北区の山間部や六甲山上ではカラスアゲハクロアゲハより少なく、とくに六甲山上での土着は不確実である。夏に麓より飛来するものと思われる。また夏には海上を南風に乗って渡って来るものが、須磨や塩屋の海岸で観察できる。

 林の縁や林内の道にそって巡回するコース(蝶道)をもつ。クロアゲハよりは明るく開けた所へ出ることが多い。春はツツジの花に多く、夏はクサギの花に集中的に来る。

 年3回発生が標準と見られ、第1化は5月上旬よりみられ、6月頃しばらくとぎれて7月頃から夏型が発生し、9月中旬まで新鮮個体の発生が続く。10月上旬頃まで見られる。クロアゲハのように12月頃までも幼虫を見るようなことはない。

 神戸では幼虫はカラスザンショウに見られ、自然状態ではミカン類に産卵することはまれ。飼育にミカン類を与えてもほとんど食べない個体があり、たとえ摂食しても発育は遅れ小型化する傾向が見られる。南西諸島や他の地方ではそうでもないらしいから、神戸産の系統に特有のものかも知れない。蛹越冬。


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