スズメノテッポウ Alopecurus aequalis (イネ科 スズメノテッポウ属)
 スズメノテッポウは、全国に広く分布する一年生草本。北半球に広く分布し、史前帰化植物の1つ。水田や路傍、荒れ地などに生育している。秋に芽生え、春に花を咲かる。春の水田に生育する植物の代表の1つであり、湿った場所に生育するような印象があるが、荒れ地や果樹園などにも生育しており、やや乾燥した場所から表水が見られるような場所まで広い立地に生育できる。
 水田に生育するものは、秋に芽生えて春に花を咲かせ、田植え前の田ごしらえまでには結実して種子を散布し、水田の耕作形態に良く適応している。しかし、荒れ地に生育するものは花期がやや遅れ、初夏までの長い期間に花を咲かせることが多い。雄しべの葯は、開花直後は白色であるがすぐに黄褐色となる。同一種ではあるが、生育する立地に適応した系統がある。
 よく似た植物にセトガヤがある。セトガヤはスズメノテッポウと同じような場所に生育するが、やや温暖な地方に多く、雄しべの葯が白色であり、1つ1つの穂がスズメノテッポウよりも大きく、花穂全体が荒い感じがする点で異なる。

 スズメノテッポウの花茎を抜き取って、笛を作ってピーピーと鳴らして遊んだ経験を持つ人も多いであろう。葉の付け根は花茎の鞘(さや)となっており、これを葉鞘(ようしょう)という。この先端には半透明の柔らかい部分があり(葉舌;ようぜつ)、この部分が息を吹き込むと振るえて音が出るわけである。
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