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             カタクリの実


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カタクリの実がはじけて種子が下の葉に落ち様子。

カタクリの実・・・

四月中旬頃、春の訪れに誘われ山野を散策すると、決まった場所に可憐なカタクリの花を見つけることが出来ます。子どもの頃になりますが、カタクリの花は珍しいものではなく山野の道ばたにごく当たり前に見られた花でした。あの大きな葉っぱを丁寧にもみほぐすと、表皮と裏側がはがれて袋状になります。女の子の遊び道具になったカタクリの葉は、当地では「かたご」と呼ばれていました。

カタクリの葉の付け根を地面深く掘り起こすと、カタクリの球根を見つけることが出来、これをすりつぶして裏ごしにし乾燥させたものが「片栗」になり、貴重な本物のデンプンを採取できました。今ではほとんどカタクリの花(株)が見られなくなり、市販されている片栗は馬鈴薯デンプンになります。

カタクリの花と私の関わりは学生時代にさかのぼり、丁度この時期に羽化して可憐な姿を見せる「ヒメギフチョウ」を追いかけたことに始まります。「ウスバサイシン」を食草にするヒメギフチョウはカタクリの花に飛来し蜜を求めます。この時期花が咲いているのはあまりなく、いやでもカタクリの花が目に入りました。そんなことから、ヒメギフチョウを追いかけて半世紀以上経過していますがいまだにカタクリに惹かれる私です。

今回初めてのことになりますが、カタクリの実(果実)と題してページを起こしてみました。

家の周りでカタクリを育て可憐な花を目にしたい思いの私は、十数年以上前から山野に入りカタクリの種を採取し蒔いてきました。今では春になると、家の庭の片隅で実生から育てたカタクリの花が開花し楽しむことが出来ています。ただし、実際に開花するまでの期間が大変長く、数年以上経たないと開花しません。その上、成長した球根は野ネズミの最高のご馳走になり食われてしまいます。そのため毎年六月頃に山に入り、カタクリの実を採取し蒔かなくてはなりません。

六月初めにいつもの場所に行き、カタクリの実を採取しながらマクロ撮影をしました。その時の画像からカタクリの実の成長過程を追いながら、山野の枯れ葉の上に散らばる種子を撮影しましたし、家に戻ってからもっとクリアな画像を得るために撮影しています。ご覧になる方が、少しでもカタクリの生態を理解して頂ければ幸いです。

トップの画像は、カタクリの実がはじけて種子が落ちましたが、たまたま下にあったクヌギの幼木の葉の上に落ちている状態を見つけたものです。風が吹けば飛び散りますが、しばしこの場で留まっていました。


六月始めにかけて大きくなった実に種子が造られます。 山野の中で

カタクリの花が咲き、うまい具合に受粉するとこのような形の実が作られます。

成長が早く、どんどん大きくなります。四月末ごろから六月始めにかけて大きくなった実には、種子が造られます。

画像でも表面を透かして茶色っぽいものが見えています。
実の殻がはじけ、中の種子が枯れ葉の上に散らばった様子。 実の殻がはじけ、中の種子が枯れ葉の上に散らばっていました。

隣にはピンぼけですが別の実が写っています。

この状態を探すため、枯れ葉の上に膝をつきあちこち探してやっと見つけた種子です。

ネット資料で知りましたが、この落ちた種子をアリが運んでくれ、あちこちに拡散します。アリが好きな匂いがするのだそうです。
殻が破れ、散らばる寸前の状態。 殻が破れ、散らばる寸前の状態です。

少しでも触れるとばらばらと落ちてきます。
種子が散らばると殻が空っぽになります。 種子が散らばると殻が空っぽになります。

実の殻は三つの仕切りに区切られ、それぞれの場所に種子が造られるようです。
殻を食い破り、中の種子を食べる幼虫。 世の中どこにも天敵がいます。せっかく成長した殻と種子、出来上がった頃にがっちりとご馳走になる幼虫です。

殻を食い破り、中の種子を食べるのですからかないません。

室内撮影・・・

採取してきた実の中から、間もなく破裂しそうなもの、破裂して種子が散らばっているもの等々分類して撮影しました。これも今回初めての試みですが、1個のみの中に種子が何個造られるのか・・・。手頃の大きさの実を10個選び殻を破り造られている種子を数えてみました。新しい発見です。

この撮影もマクロ撮影になります。
破裂寸前の実の様子です。

破裂寸前の実の様子です。中の色が透けて茶色っぽく見えています。

ちょっと触れればパリンと裂けて、あたかもホウセンカの実のように散らばります。

飛び散る寸前の実と、割れ目が入りかけた実。 飛び散る寸前の実と、割れ目が入りかけた実の様子です。
割れ目から中の種子が見えています。 割れ目から中の種子が見えています。拡大マクロ撮影です
割れかかっている内部の拡大です。 割れかかっている内部の拡大です。

今にも種子がこぼれ落ちそうです。
実が散らばった後の実の殻。 実が散らばった後の実の殻です。大きく三つの部屋に仕切られています。
1個の実に入ったいた26個の種子。 手頃の大きさの実から種子を取り出しました。

ここには26個並べてありますが、10個の実の平均が26個になりました。少ないもので17個、多いもので37個あります。

ネット通販が流行していますが、調べると手に入らないのものが無いくらい品揃えがあります。

ちなみにこの価格いくらする思いますか。カタクリの場合、30個で300円です。1個10円になりますか・・。

今年採取したカタクリの種子
カタクリの実(種子)の採集、毎年数はまちまちですがお気に入りの山野に入り欠かさず実施しています。毎年欠かさず蒔かないと、せっかく手頃に成長した株が野ネズミに食われてしまいます。今年開花したのでこの株は大丈夫と楽しみにしていても、春になって芽すら出ないとがっかりします。野ネズミの生きるための知恵と、花を咲かせたい思いとの戦いになります。

数年前には、枯れ木と思って手を出したのが枯れ木そっくりのマムシで驚いたこともあります。それ以後、山に入りカタクリの種子採取をする時は完全武装で対処します。

上の画像は今年採取した種子ですが、発芽率がどの位になるのか私には不明です。しかし、毎年まき散らさないことには花が楽しめません。体力が続く限りの年中行事になっています。

                                                      2014.06.15 作成
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