平成17年にお寺さんを訪れてから10年の月日を費やして完成に至るという、当事務所としては初めて経験する長期の案件でした。
当初は、近代寺院を構法的には古来の石場建てにて建築したいというのが、クライアントであるご住職の要望でした。しかし、計画中期で、やはり入母屋造りの本格的な寺院本堂でとの方向転換があり、本格的な寺院設計は初めての当事務所にとってはめったにない貴重な経験となりました。
材木・瓦・釘・荒壁・石材等々の知識を得ながら、日曜日には有名な宮大工と数カ月に渡り話し合い、寺院を巡り、材木の仕入れの前には桧材の基礎知識を製材所社長から聞き、大梁の選別購入時は名古屋の市場へ出向き、長さ10数メートルの反りのいいものを購入する等々。
言葉には言い尽くせない経験を経て10年後の落慶法要を迎えられたことは、当事務所代表の鈴木にとって最良の時間でした。