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2023 年SRJ全国大会
一強十弱時代に今挑む!~地域教育の価値共創~

2023-07-03
(株)SRJ 堀川直人 代表取締役

(株)SRJ 堀川直人 代表取締役

5月14日(金)、株式会社SRJ(堀川直人代表取締役、東京都中央区)が「2023年SRJ全国大会」を東京カンファレンスセンター・品川で開催。「一強十弱時代」の様相を呈するこの時代を、地域教育の希望の存在である会員と共に勝ち抜くため、また、共に価値共創できる機会にするために行われた。
前半はパネルディスカッション。会員の代表として株式会社夢現 代表取締役の小牧聖氏と、有限会社共育舎 経営企画室長の平林康基氏が登壇。モデレーターを務めるSRJ代表取締役の堀川直人氏とともに「今後3年を見据えた経営戦略」をテーマに語り合った。その後「これから自社で取り組むこと」をテーマに全参加者でグループディスカッションが行われ、後半は特別対談。「ルポ 誰が国語力を殺すのか」の著者である作家の石井光太氏、そして文芸評論家・明治大学教授の伊藤氏貴氏が「国語力の今と未来 一教室からできることは?」をテーマに激論を交わした。

-今後3年を見据えた経営戦略-
3年をかけた教務改革により 偏差値も進学実績も向上

会場の様子

会場の様子

「話題のChatGPTをはじめ、技術がますます革新されて、これから時代がどう変動していくのか予想もできません。こうした状況の中で、私たち学習塾が『一強』として勝ち残るために必要なのは、塾長や講師の方々の人間力やコミュニケーション力だと思います。そして塾がどれだけその地域の中で市場に合ったサービスを提供できるかを示す発信力がさらに問われてくるでしょう。多くの人を喜ばすことのできる他喜力も求められるはずです」
堀川氏がこのように開会の言葉を述べたあと、小牧聖氏と平林康基氏が登壇。パネルディスカッションが始まった。テーマは「今後3年を見据えた経営戦略」だ(敬称略)。
堀川 まず、小牧先生にお話しいただきます。小牧先生の進学塾MUGENは鹿児島市内に小中学部7校、高校部1校、通信サポート校1校を展開しています。

[左から] (有)共育舎 平林康基 経営企画室長、(株)夢現 小牧聖 代表取締役、(株)SRJ 堀川直人 代表取締役

[左から] (有)共育舎 平林康基 経営企画室長、(株)夢現 小牧聖 代表取締役、(株)SRJ 堀川直人 代表取締役

小牧 当塾では3年をかけた教務改革を当時の中3生から行っています。2020年度には1コマ40分授業で、速読解・速読聴英語(atama+)をそれぞれ希望者に向けて選択制で行っていました。これを2021年度には1ユニット55分に変更し、1学期までは速読解、夏期講座にはatama+の数学、夏期講座以降は速読聴を必修化しました。そして2022年度にはatama+の数学と英語を必修化して今、18カ月目を迎えています。当時の中3生は現在高3生になりました。
堀川 この中3生の成績はどのように変化しましたか?
小牧 入塾から10カ月以上が経過した中3生全員の模試の成績分布を見ると、偏差値平均上昇者が90%、偏差値10以上の上昇者が18%、5以上の上昇者が60%もいました。5教科の平均偏差値を見ると5.8アップ、英語は7.1アップ、数学は6.3アップです。その結果、鹿児島県のトップ校である県立鶴丸高校を受験した生徒全員が合格し、合格者数は1.9倍に増えました。成績が伸びたことで、進学実績も大きく伸びたといえます。
堀川 MUGEN様では、自立学習の要となるモチベーションの向上に力を注いでいます。例えば、トップ高校に合格した生徒さんの直筆の感想文をずらりと壁に貼っているのです。この空間にいると、自分も成績が伸びて、トップ校に入れるのではないかという自信が湧いてきます。

自己肯定感と自立学習を生む独自の「MUGENメソッド」

小牧 当塾の教室に来ていただければ、生徒がいきいきと勉強している姿をご覧いただけるはずです。
こうした環境を生み出しているのが、当塾が独自に開発した「MUGENメソッド」です。今回の教務改革は、このメソッドにさらに付加価値をつけていこうという狙いでスタートさせました。
「MUGENメソッド」は生徒の自己肯定感を育み、自立学習を促します。「勉強をさせる」「頑張らせる」のではなく、自分から「勉強したい!」「頑張りたい」という気持ちを引き出すのです。
具体的には中1から高3までの生徒に向けて「PDCA」を回していきます。まず、講師が次回までに学習してほしい範囲を宿題として渡します。これが「PLAN」です。この宿題を生徒は家庭でします。これが「DO」です。そして講師が一人ひとりの宿題を「CHECK」して、弱点を補強したり、レベルの高い問題に挑戦したりできるように授業を行います。続いて学習したことがマスターできたかどうか確認の上、次のステップに進むための土台を作ります。これが『ACTION』です。その後は再び『PLAN』に戻ります。この循環の中で生徒は自分の成長を記録し、その喜びを講師と分かち合い、絆を強めていくのです。
堀川 『MUGENメソッド』と今回の教務改革との相乗効果によって、生徒はさらに学習意欲を高めて、成績を伸ばしていったのですね。

200年後も残っている塾にするため、変化に迅速に対応

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堀川 では続いて平林先生にお話しいただきます。平林先生が経営企画長を務める塾レッツは、愛知県の半田市と阿久比町で3教室を、さらに武田塾も展開しています。
平林 塾レッツの創立は大正13年、西暦でいうと1925年にそろばん塾としてスタートしました。100年以上の歴史があります。今もメインは習い事で、そろばんや速読解のほか、算数ラボや数検講座、出口汪先生の論理国語、アニージュニアの英会話といった講座を用意しています。これらの講座をすべて同じ空間でスペースを区切って開講しています。
当塾では世の中の変化を2種類に分けています。ひとつは燃えるような変化です。新型コロナウイルスがまさにそれでした。また、愛知県では3年後に公立中高一貫校が設置されます。こうした変化に迅速に対応しなければ塾を継続できません。
まず、新型コロナウイルスに対しては授業のオンライン化で対応しました。公立中高一貫校の設置に対しては「中高一貫校準備コース」を開講しました。
もうひとつの変化はサビのように気づかないうちに手遅れになる変化です。総合型選抜による入試の早期化、人口減少や少子化、学力の二極化などがそれです。特に総合型選抜による入試の早期化は、年内に合格が決まることで退塾者が増加し、LTVを悪化させます。そこで高校生の3月末まで在籍させたり、早期から入塾させたりするためのLTV改善策を打ち出しました。例えば、高3生に向けてTOEIC対策などで3月末まで残るように夏から声かけをしています。
また、中長期対策として小中高とスムーズに接続できるようにコースの整備を図っています。愛知県の場合、現在の小5が公立中高一貫校の1期生となります。先ほど、そのための「中高一貫校準備コース」の開講について述べましたが、こうして公立一貫校に進学した生徒を高校まで通わせ、総合型選抜対策も行い、3月末まで在籍してもらうための導線をつくるのです。
学力の二極化に対しては、しばらく様子を見守るとして、人口減少による少子化に対しては学童を始めました。

少子化対策としてお迎え付き 学習塾併設学童を開所

堀川 この学童に関して私は非常に関心があります。具体的な取り組みをお話しいただけますか?
平林 お子さんが小学校に入る前までは保育所に長い時間預かってもらえますが、小1に上がると、そうはいきません。お子さんが早く帰宅するため、仕事を休職する保護者の方々が増えているのです。こうした方々からのご要望で、2019年に学童の「レッツポート」を開所しました。共働きのご家庭をメインターゲットにしたお迎え付きの学習塾併設学童です。お子さんだけでなく、ご家庭とも強い絆を築くことができるため、どちらも塾レッツの大ファンになってくれています。保護者の方々は夜7時にお迎えにはいらっしゃいますが、中等部や高等部の授業があるため、夜9時まで延長してお預かりでき、宿題や習い事をして帰るお子さんが増えています。このお子さんたちが高校まで通ってくれれば、この「レッツボート」の存在が、LTVの改善にも大きく貢献してくれるはずです。
堀川 平林先生、小牧先生、今日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

[特別対談]
国語力の今と未来─
一教室からできることは?

-ノンフィクション作家の石井光太氏 文芸評論家・明治大学教授の伊藤氏貴氏-
人は情緒力と想像力を鍛え 論理的思考力を身に付ける

石井光太氏著書

石井光太氏著書

後半は作家の石井光太氏と、文芸評論家・明治大学教授の伊藤氏貴氏の特別対談である。テーマは「国語力の今と未来一教室からできることは?」だ。
石井氏は国内外の貧困災害事件などをテーマに取材執筆活動を行い、2021年には「こどもホスピスの奇跡: 短い人生の『最期』をつくる」で、新潮ドキュメント賞を受賞。伊藤氏は中高一貫進学校で英語を、大手予備校で現代文を指導。中高の国語の検定教科書の編集代表などを務めた実績がある(敬称略)。

伊藤氏貴氏著書

伊藤氏貴氏著書

伊藤 石井さんが「ルポ誰が国語力を殺すのか」を上梓された時、私は驚きました。国内外の貧困や災害をテーマに取材執筆活動をされてきた石井さんがなぜ「国語力」に目を向けられたのか疑問を感じたからです。
石井 私は、虐待を受けたり、貧困家庭で育ったりして社会の中で生きづらさを抱えている子どもたちをテーマに多くの本を書いてきました。こうした子どもたちと接していると、ある共通点があることがわかったのです。それは、自分の言葉で物事を筋道立てて考え、他者に向けて表現する能力が欠如していることでした。
例えば、事件を起こして少年院にいる子どもたちに「なんでやったの?」と犯行の理由を聞くと「誘われたから」、「どこで誘われたの?」と聞くと「ネットで」、「誰が誘ったの?」と聞くと「知らない」、「つかまるとは思わなかったの?」と聞くと「わからない」。多くの子どもたちがこのように答えます。国語力が足りないのです。

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ノンフィクションを書くための取材をすればするほど、子どもたちの国語力の欠如が僕の中で差し迫った問題になっていきました。人間は情緒力と想像力を鍛えながら、同時に論理的思考力を身に付けていくものです。これをしたら、どうなるのか、これをするために自分がどうしなければならないのかを年相応に考えられるようになるはずです。こうして初めて、子どもたちは生きやすさを得ていきます。しかし、そうでない子どもたちが大勢いるのです。
どうすれば子どもたちの国語力を家庭や学校や社会の中で伸ばせるのか。私たち大人が考えていく必要があると思ったことが「ルポ 誰が国語力を殺すのか」を書いた理由です。
そこで大学で教えておられる伊藤さんにお聞きしたいのですが、今の20歳前後の学生の国語力は伊藤さんの目にどのように映っていますか?
伊藤 ここ5年ほどで低下した印象があります。例えば、私が務めている大学ではないのですが、日本語リスニングという講座を設けている大学があるそうです。講座名を聞いた時、留学生向けかと思ったのですが、日本の学生に向けた講座でした。日本語を聞いても要点がつかめない、つまり、読解力が足りない学生がいるのです。

国語力がないと英語の長文から作者の意図を読み取れない

[左] ノンフィクション作家 石井光太 氏 [右] 文芸評論家・明治大学教授 伊藤氏貴 氏

[左] ノンフィクション作家 石井光太 氏
[右] 文芸評論家・明治大学教授 伊藤氏貴 氏

石井 僕は国語力が総合的で全人的な力であり、読解力はその一部であると捉えています。
昔は小6くらいなら赤川次郎さんの小説を、中学生になるとワンランク上の小説を読みました。高校生になると背伸びして文学作品にも手を伸ばすようになり、村上春樹さんの小説を読んだりしたものです。そして、村上春樹さんが小説の中で好きだと述べているフィッツジェラルドの作品を読むなどして言語読解力の解像度を上げていきました。しかし、今の中学生には読書習慣がほとんどありません。
伊藤 私は都内の中高一貫校で英語を教えていました。私が担当していたのは、最も英語の成績がよい2年生と3年生のクラスでした。全員、英語を頑張って勉強しているのですが、中には勉強を怠ったわけではないのに、2年生の夏あたりから、ピタッと成績が止まる生徒が必ずいました。長文が理解できなくなることが理由です。その生徒たちに共通するのは、幼い頃から背表紙のついた本を読んだ経験がほとんどないことでした。反対に読書習慣のある生徒は知らない英単語が多少あっても文脈から作者が何を述べたいのかを読み取れるのです。文学作品を読むことを通じてではないと、文章の背景にある作者の意図を汲み取る力を身につけることは難しいと私も思っています。

国語力をフルに発揮することが「かっこいい」とされる文化を

石井 では、読解力を含めて、子どもたちの国語力をどうすれば伸ばせるのか。私の答えは、国語力をフルに発揮することが『かっこいい』という文化を学校や塾の中で醸成することです。子どもは『かっこいいもの』に対して強く心を動かされます。
例えば、ある学校では音楽の授業の中で、生徒にヒット曲のメロディを聞かせて歌詞をつくらせています。子どもたちにとって、恋愛に関する文章を書くことは恥ずかしいことだと思います。恋愛を表現することは、心の襞まで言語化して、多くの人たちに示す行為だからです。しかし、現在、流行しているメロディに歌詞をつけることは、子どもたちにとって恥ずかしいことよりも「かっこいいこと」なのです。
基本的な例では朝読書が挙げられます。朝読書をさせている学校の生徒は電車の中で堂々と本を読めます。読書が「かっこいいこと」だからです。そうでない学校の生徒は本を読んでいる姿を見られるとバカにされると思い、人前で読むことに抵抗感を覚えがちです。
伊藤 私が教えている文学部の学生に話しても信じてもらえないのですが、かつての週刊誌のグラビアには今のように水着の女性ではなく小説家の写真が使われていました。川端康成が池の鯉に餌をまいているような写真が掲載されていたのです。新聞には志賀直哉の1日といった記事が掲載されていました。作家は憧れの職業であり、小説を書くことは「かっこいいこと」だったのです。

子どもたちの国語力を伸ばす最前線に立つのは塾の先生

石井 自分の思いを詩的な文章で綴ったり、難しい小説を読んだりすることが「かっこいい」とされる文化が今また新たに生まれれば、美術の授業で「絵を描いた時の気持ちを書いてごらん」と先生に言われた子どもたちは喜んで文章にするでしょう。こうした自分の内面を言語化する教科横断型の取り組みは、学校よりも塾のほうが向いていると思います。
たとえば20年ほど前までは、大人の真似をしてタバコを吸うことが子どもたちの間で「かっこいいこと」とされていました。しかし、今の子どもたちはそう思いません。「かっこ悪い」からです。たった20年でこれだけ変わったのです。国語力を最大限に発揮することを「かっこいいこと」に変えられるはずです。その最前線にいるのが、塾の先生方をはじめとする教育者の方々だと思います。
伊藤 学校ができることは、これからますます限られてくると思います。そうなると、塾の役割はさらに大きく広がるでしょう。
石井 自分の家族以外に大人と接する機会がほとんどない子どもたちからすれば、塾の先生方は尊敬できる大人であって、非常にきれいな存在だと思います。そんな先生方から、自分が考えたことや感じたことを言葉にした文章に目を留め、認めてもらえれば、忘れられない体験になるはずです。
伊藤 子どもたちの塾の先生に対する信頼度というのは非常に高いと思います。その先生方から、自分が書いた文章を褒められたら、嬉しくて、また言葉にしてみようと思うに違いありません。
石井 子どもたちにとって、国語力が人生のすべてを支える力だと考えると、塾の先生方にできることはたくさんあります。ぜひ、子どもたちに「読んでみよう」「言葉にしてみよう」と呼びかけてください。


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