2.3.モバイル通信システムについて

(1)携帯電話、PHSシステムとモバイル利用

電話網 : 固定電話の通話ネットワークで交換機を多数接続したもの。
交換機 : 通話要求のあった電話機からの宛先番号を解釈して、正しい相手の接続されている交換機へ電話網を経由して回線を接続する。反対に他の交換機から通話要求が届けられた場合は、相手先の電話機を接続して呼び出しを行う。 移動体通信の場合は相手の電話機がどこにあるか固定ではないので、番号をサービス制御局に渡して現在相手がいる場所の基地局までの経路を探させる。一方で通話内容は交換機経由で電話網に渡して相手の基地局につながる交換機まで届ける。
接続装置 : 動体通信の基地局と交換機間の橋渡しを行う。
サービス制御局 : 登録された携帯電話、PHSが今どこにいるかを常に管理する。また通話に伴う料金の計算などを行う。
基地局 : 携帯電話、PHSと電波で通信し電話網のための信号に変換する。基地局は原則として電波の届く範囲でお互いに切れ目が無いように設置される。この電波が届く範囲は携帯電話では数km、PHSでは数100m程度。


 

速度 方式 システム
9.6Kbps 回線交換 携帯電話
9.6Kbps パケット交換 iモード
28.8Kbps パケット交換 携帯電話
64Kbps 回線交換 PHS
14.4Kbps 回線交換 cdmaOne
64Kbps パケット交換 cdmaOne

(2)iモードサービスのしくみ

HTML: Hyper Text Mark-up Language

インタラクティブ情報検索… 特定の情報がほしい時に条件を入力して結果を求める。
プッシュ型情報提供 … あらかじめ条件を設定しておくとそれに合致する情報が 発生する都度利用者の端末に自動的に送り込む。
電子メール … 内容的には通常の電子メールと同様で着信メールを利用者の端末に自動的に送り込む。
取り引き系   … 銀行取り引き、証券取り引き、クレジットカード、保険、航空券購入、書籍販売、ホテル予約など
データベース系 … レストランガイド、タウンページ、乗り換え案内、時刻表、料理レシピ、辞書など
生活情報系 … ニュース、天気予報、株価情報、雑誌、メールなど
エンターテイメント系 … キャラクタ関係、ゲーム、占い、カラオケ情報、写真、音楽など

WAP: Wireless Application Protocol

(3)IMT―2000サービスの概要

屋内(停止) 2Mbps
低速度移動 38.4Kbps
高速度移動 14.4Kbps

速度の非対称性:

インターネットの使い方は一般にデータを要求する上りのデータ量はさして多くなく、対してデータを送ってくる下りは大量のデータを高速で送る場合が多いので、これに対するためにIMT2000では上りと下りの速度が異なる伝送を考えていて、総合的に通信の効率が上ります。

マルチメディアへの対応:

ビデオ映像のようなマルチメディアコンテンツへ対応するためにカラー画像、動画などマルチメディアデータへの対応が可能です。

(4)IrDA 通信とはなにか

(5)ブルートゥース近距離無線通信とはなにか

周波数 2.4GHz 帯
伝送方式 周波数ホッピング、 スペクトラム拡散
チャンネル 79チャンネル 1MHz 幅
伝送速度

最高 1Mbps

 

実質データ速度

 

対称伝送 432.6Kbps

非対称 下り721Kbps/上り 57.6Kbps

音声チャンネル 64Kbps 3チャンネル
通信可能距離 標準10メートル
プロファイルの種類 プロファイルとはブルートゥースの応用毎にデータのやり取りの手続き等を決めたもので、いくつかの例を挙げます。

コードレス電話

インターコム(トランシーバ)

シリアルポート(パーソナルコンピュータなど)

ヘッドセット(オーディオ)

LAN接続

オブジェクト交換(情報機器のデータ転送)

これらのプロファイルは 例えばIrDAのように従来あったやり方を取り入れて開発の手間を少なくする工夫もされています。
携帯電話 …

ブルートゥースが最初に装備されるのは携帯電話になります。携帯電話メーカは国内も海外も多くのメーカが2000年の内にブルートゥースを載せた携帯電話を出荷開始すると発表しています。当面は携帯電話だけにブルートゥースが載っても使い道はありませんが、以下に説明するパーソナルコンピュータを始め色々な機器にブルートゥースが載せられたときにそれらと接続してモバイルデータ通信をするインフラとして不可欠なものになります。いわば本格的なモバイル通信社会のさきがけとしての役割が期待されます。

データ通信以外に携帯電話の通話機能の面でもたとえば自動車の車内で携帯電話を使う時にヘッドセットと無線接続すると両手での運転を邪魔されずに通話できます。

パーソナルコンピュータ… パーソナルコンピュータも既に多くのメーカが2000年にはブルートゥースを搭載すると発表しています。まずノートパソコンに載せて携帯電話を使ってモバイルデータ通信をする際に今は必要な接続ケーブルが不用になります。この結果モバイル通信をするときに携帯電話をわざわざ取り出さなくとも10メートル以内であればかばんの中でもポケットでも机の上でもどこにあってもパーソナルコンピュータと接続してモバイル通信ができるようになります。またデスクトップパソコンでもブルートゥースを採用することでキーボードやマウスといった入力機器あるいはプリンタ、スキャナなどの周辺機器をワイヤレスで接続することができて使い勝手が向上します。
デジタルカメラ… 撮影した結果をパーソナルコンピュータに送り込んだり、あるいは携帯電話で遠隔地の端末に送るなど画像応用のアプリケーションが期待されます。
オーディオ機器… 携帯電話と組み合わせて音楽コンテンツの配信を受けてそのまま携帯プレイヤーに記憶させる、あるいは再生するときにヘッドセットに無線で送ることでワイヤレスの通信ができます。
電子商取り引き… 店舗のレジスター、駅の改札機、街角の自動販売機、ガソリンスタンドなどと利用者が持つブルートゥース端末とデータ通信することで代金の決済が電子的に簡単にできるようになります。

2.4.インターネットの概要

(1)インターネットのしくみ

インターネットはどんな仕組みでデータを相手に届けるのか、ここでは一般の利用の仕方について簡単に説明します。今までのデータ通信システムはシステムを作って運用する会社が接続されるすべての端末を管理していました。例えば全世界で1億台の端末があってこれが世界中に散らばっていて毎日多くの端末が接続を止めたり新たに参加してきたりすることを考えるとこれら全部を間違いなく管理して通信ができるように維持することは大変な手間とお金がかかることになります。結果として簡単に誰でも通信に参加できる、あるいは安い料金で通信を行うことが困難で特定の目的の場合に限られるのが現実でした。

ところがここにまったく違う発想のネットワークの仕組みが出てきました。それはあまり大きな規模ではなくとも接続する端末を自分の近くに持つネットワーク同士が相互につながって結果として大きな地球規模のネットワークになってしまうものです。これが簡単に言えば今のインターネットの考え方です。このネットワークは絵に描いてみると世界を覆う蜘蛛の巣のように見えることから World Wide Web(WWW) と呼ばれます。

(2)インターネット接続

インターネットでは端末つまり利用者が直接インターネットに接続するのではなく、まずインターネットサービスプロバイダ(ISP)と呼ばれるインターネットの単位となるネットワークの管理者に接続します。この接続には普通は電話網を経由します。

インターネットサービスプロバイダは利用者が希望する相手のアドレスを見て相手が属するネットワークのインターネットサービスプロバイダに回線をつないで利用者が通信をできるようにします。インターネットサービスプロバイダ同士をつなぐ回線はデータ通信線用の高速の回線を使用してルータという装置を使います。これは電話では交換機に相当するものです。

(3)アドレス

インターネットでは端末がすべて自分だけのアドレスを持ってほかと区別できるようにします。これは電話番号と同じ考え方です。このアドレスは実際には数字の列で端末が属するネットワークなどが分かるようになっています。しかし利用者にするとやたらに長い数字の列は何がなんだかわからず覚えることは難しい上に入力するときにも間違えやすくなります。そこで人間に分かりやすい文字で意味があるアドレス名とでも言うものに変換します。このアドレス名はもちろん世界でたった1つだけです。

アドレス名の例は

http://www.nippon.co.jp 日本の(jp) 日本という(nippon)会社(co)の ホームページ(www)
yamatotakeru@1ban.nippon.ne.jp 日本の(jp)やまとたけるという人(yamatotakeru)のメールアドレスでnipponというプロバイダの1banという利用者グループ

このアドレスは皆んなが勝手に付けると同じ名前が出てくるとか世界中のプロバイダに連絡が行き届かず接続ができないなど不都合が起こるので、今はアメリカのアドレスを管理する機関がまとめて管理しています。なお登録は早い者勝ちで希望するアドレス名が既に登録されている場合は別のアドレス名を登録しなければなりません。

またインターネットでは他人のアドレスを使って通信することを防ぐために個人の暗証番号(パスワード)が決められます。

(4)料金制度

インターネットで利用者が負担する料金はプロバイダに払うインターネット接続料金と 端末からプロバイダまでの電話の料金です。インターネット接続料金は インターネットに接続する手数料、各種プロバイダのサービス料金および国内、海外のほかのプロバイダへ接続する手数料と長距離回線使用料などからなっています。インターネット接続料金は自分で遠距離あるいは国際回線を使ってデータ通信することと比較するとプロバイダが沢山の通信をまとめて行っているために大変格安になっています。このあたりがインターネットは国内の電話料金だけで世界中の相手に通信できると言われる理由です。

(5)WWWとeメールのしくみ

WWW自身はインターネットの接続の仕組みを指す言葉ですが、一般にインターネットのサイトあるいはホームページを見る仕掛けをWWWといっています。WWWの使い方などは後でくわしく説明しますのでここではインターネットの主要な目的であるWWWと電子メールについて簡単に述べます。

ホームページはインターネット上で皆に見てもらいたい情報を載せる仕組みです。ホームページは希望すれば誰でも個人でも今は簡単に持てるようになっています。情報を載せる機械をサーバといいますがこれは自分の機械でもいいですし、あるいは契約しているプロバイダのサーバのサービスを使ってもできます。ホームページの情報は一般にHTMLと呼ばれる規則で書きますが、それ以外にビデオ動画などは特定のソフトを使うこともあります。 いままではホームページには文章や絵、動画、音声などをあらかじめ書き込んでおいて希望する人がそれを見たり聞いたりするだけでしたが、最近は同じホームページにアクセス(つないでいる)利用者同士でチャットと呼ばれる文字を用いたリアルタイムのおしゃべりなどもできるようになってきています。

もう一つのインターネットの利用のしかたである電子メールは情報を伝えたい相手を指定して情報を送る仕掛けでインターネットの手紙に相当します。情報の伝達をしたいときに相手のアドレスをつけたメールをプロバイダに送ります。プロバイダはアドレスが指す相手のプロバイダのサーバに(メールサーバといいます)メールを送ります。相手はメールを見たいときにサーバに見に行くことで電子メールが伝達されます。今はメールの本文は文字情報ですが添付書類といってワープロの書類、図表、絵、ビデオなど色々な形の情報を付けて送ることができます。

電子メールは受信者が見に行くことが必要なのですが今後端末が24時間つなぎっぱなしの環境になるとメールがサーバに届くとすぐに端末まで送り込んでくるインスタントメッセージといわれる仕組みが増えるかもしれません。


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