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日本の世界遺産

グヌン・ムル国立公園(マレーシア) 守れ世界遺産―海外から(6)

2005年11月14日15時09分

 マレーシアのグヌン・ムル国立公園に隣接する空港では、コウモリとの接触事故を防ぐため、飛行機の最終便の出発時刻は午後3時半に決められている。

「リンカーンの横顔」と呼ばれる洞窟の岩の横から飛び立つコウモリの群れ=グヌン・ムル国立公園の「ディア・ケーブ」で、恒成利幸撮影

高さ120メートルの巨大な「ディア・ケーブ」。天井には無数のコウモリが羽を休めている =グヌン・ムル国立公園で、恒成利幸撮影

  

 太陽が傾き始めた午後5時半すぎ、高さ120メートルある洞窟(どうくつ)「ディア・ケーブ」から約300万匹のコウモリが次々に飛び出していく。「バサバサバサ」という羽音が響き、観光客から歓声があがる。すべてのコウモリが飛び立つまで1時間余り。帯状になって森に向かう様子は、竜が昇って行くように見えた。

 飛行機便に遅れが出た場合でも、コウモリが飛び立ち始めていると着陸は許可されない。

 同公園内には約30の洞窟があり、豊かな熱帯雨林が28種類のコウモリを支えている。

 観光客はここには車では入れない。ほとんどは飛行機便でやってくる。宿泊できるのも1日500人足らずだ。

 「宿泊施設の拡充を求める観光業者もいる。しかし、コウモリや生態系を守るには、このくらいの規模が望ましい」とブライアン・クラーク公園長は考えている。

    ◇

 〈グヌン・ムル国立公園〉 マレーシアのボルネオ島に位置し、広さ約530平方キロメートル。カルスト地形に、巨大な洞窟「ディア・ケーブ」など約30の洞窟が形成され、極めて多くのコウモリが生息している。サルやイノシシなどの哺乳(ほにゅう)類や、爬虫類(はちゅうるい)、両生類など様々な生物が見られる。

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