内閣府が16日発表した08年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報によると、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整済み)は前期比3・3%減、年率換算では12・7%減と主要国で最も急激な落ち込みとなった。年率換算で2ケタのマイナスは、第1次石油危機の影響を受けた74年1〜3月期(13・1%減)以来、戦後2度目だ。
実質GDPのマイナス成長は3四半期連続。統計がさかのぼれる55年以降、バブル景気後の不況下だった93年と、ITバブル崩壊後の01年に計2回あった最長記録に並んだ。世界同時不況が深刻化するなか、国内企業の輸出や生産は昨秋以降、かつてないスピードで減少。輸出産業に頼り切っていた景気の落ち込みにブレーキがかからない。
主要国の同時期の実質GDPは、米国がほぼ27年ぶりとなる年率3・8%減、欧州(ユーロ圏)も99年のユーロ導入以来最大となる年率5・7%減だったが、日本の落ち込みは米欧をはるかに上回った。
10〜12月期の実質GDPの内訳では、輸出は13・9%減と2期ぶりに減少に転じた。減少幅は75年1〜3月期(9・7%)を上回り過去最大。輸出から輸入を差し引いた外需は成長率を3・0%分押し下げた。外需がこれほど大きくマイナスにはたらいたのも初めてだ。
企業の設備投資は5・3%減。減少は4期連続で、下げ幅も前期の3・4%から拡大した。輸出の急激な落ち込みが大規模な減産につながったことを反映している。
GDPの5割超を占める個人消費は0・4%減と2期ぶりのマイナス。雇用情勢の悪化に伴って消費者心理が一段と冷え込み、自動車などの高額品を中心に買い控えの動きが広がった。
物価変動を反映し、景気実感に近いとされる名目GDP(季節調整済み)は前期比1・7%減、年率換算では6・6%減。マイナス幅は、金融システム不安の影響を受けた98年1〜3月期(年率7・7%)に次いで過去2番目。前期比マイナスは、戦後初めてとなる4期連続となった。
10〜12月期の急落を受け、08年通年の実質GDPは前年比0・7%減と、99年(0・1%減)以来9年ぶりのマイナス成長となった。名目GDPも1・6%減と5年ぶりに減少に転じた。(庄司将晃)