■神田美貴さん(34)

 イランの女性というと、チャドルと呼ばれる真っ黒な一枚布に身を包んだ敬虔(けいけん)なイスラム教徒、というイメージを持たれがちです。もちろんそういう人もいますが、多くの女性は様々な形でおしゃれを楽しんでいます。

 そもそも、イラン国内のすべての女性は、国籍や信仰を問わず、公の場では髪の毛と体のラインを覆う衣服の着用を義務づけられています。

 正装とされているのがチャドルです。常に片手でずり落ちないよう押さえなければならず、慣れないと難しいです。

 頭だけを隠すものとしては、ルーサリーと呼ばれるスカーフと、顔だけ出す筒状の布「マグナエ」があります。

 スカーフは、カラフルな色使いや派手な柄のものがたくさんあります。本来、髪は全て隠さなくてはいけませんが、スカーフをギリギリまで後退させて、前や横の髪を見せている人が目立ちます。

 その髪の毛も、ハリウッド女優らの影響で金髪にするのがはやりです。私も金髪にしてみましたが、女性用の美容院は必ず外から見えないようになっていました。

 外を歩くときは身体の線を出してはいけませんが、家の中でパーティーをする際は、男性がいても、かなり露出の激しい服を着る人もいます。

 街中にある下着店には、店内も商品も見えないようにしているところもありますが、バザール(市場)では大々的に展示しています。しかも男性が売っているケースが多いです。カラフルな原色やヒョウ柄もあるほか、大胆なデザインも多くてびっくりします。

 「夜の下着」を結婚前に用意する習慣もあります。ノースリーブワンピースに似た形で透けているデザインも多く、色気を強調しています。

■女性専用の公園も

 テヘランには女性専用の公園があります。その中では、下着と見まがうような開放的な格好でくつろぐ女性もいました。この公園は塀に囲まれていて、入場が厳しく制限されているうえ、写真撮影を防ぐため携帯電話の持ち込みも禁止されています。

 身なりの規制が多い分、規制の及ばないところでは自由を楽しんでいるのかもしれません。(構成・大井田ひろみ)

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 イラン在住1年半。夫は朝日新聞テヘラン支局長で、息子は4歳と2歳。ブログ「特派員ママ@イラン」を公開中。