和辻哲郎（１８８９〜１９６０）

（2008年6月25日）

　１９１８年５月に奈良付近の古寺を見物した。このときの印象記が翌年刊行された「古寺巡礼」だ。法隆寺金堂の壁画に感動、「この画の前にあってはもう何も考えるには及ばない…ただながめて酔うのみである」と書いた。７９年に出た岩波文庫版は５４刷、約４０万部のロングセラー。同級生に哲学者の九鬼周造がいる。父の九鬼隆一は明治の半ば、政府代表として宝物調査団を率い、法隆寺宝物群の再評価を決定づけた。（今回から法隆寺ゆかりの文化人を取りあげます）