朝日新聞デジタル：群馬県・上毛かるた　郷土愛　群馬あるある - 東京

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東京ご当地紀行

群馬県・上毛かるた　郷土愛　群馬あるある

上毛かるたの絵札＝群馬県提供

上毛かるたの読み札＝群馬県提供

群馬県のアンテナショップ「ぐんまちゃん家」。県のマスコットキャラクター・ぐんまちゃんも時々来訪する＝群馬県提供

　コロナ禍で遠出がしにくい、いま。東京にいながら地方を感じられるものはないかと考えていたら、ありました。群馬県の郷土カルタ「上毛かるた」。遊びながら群馬の歴史・文化や名所・名物に触れられます。

　札が４４枚。「伊香保温泉日本の名湯」「草津よいとこ薬の温泉（いでゆ）」といった読み札で、県内にたくさんある温泉地、名所、特産、偉人といったものを紹介する。

　絵札には現地の風景などが描かれ、読み札の裏には解説文。「い」の札である伊香保温泉（渋川市）の場合、絵札には有名な石段が描かれ、読み札の裏には泉質などが記されている。

　「に」の札は「日本で最初の富岡製糸」だ。明治期に日本初の官営製糸場として稼働し、日本の近代化に貢献した世界遺産・富岡製糸場（富岡市）を伝える。

　伊香保や草津温泉（草津町）のほか、「よ」の札「世のちり洗う四万温泉」は中之条町の温泉を解説。絵札には裸の母子が描かれ、幼少時は札を取ると「お前はスケベだ」と友達に言われるから誰も取らないという「群馬あるある」を形成する一つでもある。「ねぎとこんにゃく下仁田名産」の札は上州の特産をＰＲ。まさに遊ぶたびに群馬に詳しくなるツールだ。

　一方、上毛かるたに関する最大の「群馬あるある」は、「大半の群馬県人・出身者は、読み札をそらんずることができる」だろう。

　子どもたちは小学生のころから上毛かるたに親しむ。学校の授業の題材にしたり、地域の子ども会活動で練習したり。だから、例えば「れ」の札は？　と問われれば、すぐに「歴史に名高い新田義貞」と口から出る。そして、学校で歴史を学ぶ前から、鎌倉幕府倒幕の立役者に愛着を持つ。

　このように群馬県民は、自然に、郷土への愛や誇りを育んでいくのである。

　■「ぐんまちゃん家」でキャンペーン

　都内で上毛かるたを入手するなら、銀座にある群馬県設置のアンテナショップ「ぐんまちゃん家（ち）」だ。今月の連休には「上毛かるたキャンペーン」と題したプレゼント企画を計画する。店員が絵札を示し、その読み札を答えられれば、千円以上を買った人（各日先着１００人）に群馬ゆかりの品物を贈る。

　コロナ禍で群馬への帰省や旅行をあきらめた人が多かったお盆に同様の企画を行い、好評だった。第２弾は今月１８～２２日。

　ぐんまちゃん家の売れ筋は、群馬のソウルフードで、甘めのみそだれで食べる「焼きまんじゅう」や、「水沢うどん」などの粉食文化が上位に入る。ショップ２階には群馬産の牛肉や豚肉などを味わえるレストラン「銀座つる」もある。

　担当者は「群馬には良いものがたくさんある。ここを拠点にどんどん発信したい」と話す。

　■「町田愛」も、有志作成へ

　郷土愛を育める上毛かるたを参考に、地域活性化につなげる試みが都内で進む。町田市で「町田かるた」作成を市民有志が手がけている。発起人は須藤晏男（すとうやすお）さんで、群馬出身者だ。

　町田に住んで約５０年。会社員時代は新宿まで電車通勤し、自宅は寝に帰る場所だった。退職後、町内会活動に関わり、自分も含め周囲の市民が地域の魅力を知らないことに気づいた。

　数年前に中学校の同窓会があった。みんなで上毛かるたで遊び、群馬の自慢話で盛り上がった。「これだ」と思い、一昨年１２月からカルタ作りを始めた。

　町田のことを調べ始めたら、魅力がたくさんあった。水と緑が豊か。古い文化財も多い。おしゃれな商業施設も多く、若い子育て世代の流入が続いている。それらを幼少時から学び、街を知ってもらおう――。

　郷土史に詳しい人や学校教諭ＯＢら約１０人で、札に採用する場所の選定、覚えやすい読み札の作成を進める。来年度の完成を目指し、学校への配布や記念イベント開催も計画中だ。

　須藤さんは「町田っ子が将来、群馬県民のようにカルタの札を暗記し、地域を知って愛し、誇りにしてくれたらうれしい」と話す。

　（木村浩之）

　＜上毛かるた＞　終戦から間もない１９４７年に完成した。財団法人群馬文化協会（現在は解散）の理事長だった故・浦野匡彦氏（元二松学舎大学長）が戦後、中国から長崎に引き揚げ、汽車で群馬に帰郷途中に、焼け野原の長崎、広島、東京を眺めて「子どもたちに夢と希望を与えたい」と感じたのが考案のきっかけだった。同協会は２０１３年に解散し、かるたの著作権や商標権は群馬県に無償譲渡された。

　■ぐんまちゃん家（ち）

・住所：中央区銀座７―１０―５　Ｔｈｅ　ＯＲＢ　Ｌｕｍｉｎｏｕｓ１・２階

・電話：０３―３５７１―７７６１（物産販売）

　　　　０３―３５７１―７７６３（銀座つる）

　　　　０３―３５７１―３０８６（観光案内）

・営業時間：午前１１時～午後７時（銀座つる除く）、無休（年末年始除く）

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