回路図
図2に回路図を示します。図面サイズが大きくて文字が見えないので図2をクリックしてPDFファイルをダウンロードしてご覧ください。
USB DAC回路
U14 PCM2706はUSBインターフェースを装備したステレオDAコンバータです。対応サンプリングレートは32,44.1,48kHzです。このDAコンバータの音質を大きく左右するのはクロックの安定度です。クロック発生は水晶振動子では無く12MHz発振器(±20ppm)を使用して高音質を再生を実現しています。電源はUSB
BUS POWERの+5vを24ピンに接続すると内部で3.3vを作って動作しますが、PCの+5vはノイズが多く、音質劣化の要因となるためセルフパワーモードで動作させます。データシートによるとTHD+nがBUS
POWERモードと比べて1/2の0.006%と良くなります。電源周りの電界コンデンサは定番のOSコンデンサ、アナログオーディオ信号に影響する可能性のあるコンデンサーはメタライズドフィルムコンデンサとオーディオクラス電界コンデンサを使用しています。マイコンからの制御は5vなのでレベル変換の為にU1,U15
74VHC125を使用しています。USBコネクタのD+端子を1500Ωで+3.3vにプルアップするとPCに対してUSBが接続された事になりPC側と通信してDACが認識されます。POWER
OFFにすると+3.3vはLowになるのでPCはUSB接続が解除されたと認識します。
LPF回路
U12はナイキスト周波数48kHz以上をカットするローパスフィルターです。本来、耳で聞こえる周波数ではありませんが、CDが発売された当初はアナログレコードと比較して音色の違いが問題になりました。ある曲をアナログレコードで再生すると脳からα波が出ますが、同じ曲をCDで再生するとα波が出ないという実験結果が出たと記憶しています。現在では94kHzや128kHzなどより高いサンプリング周波数で対応する機器が徐々に増えていますが、逆にMP3プレーヤーのように音質より手じかに音楽を楽しむ機器もあり、両極端と言えるのではないでしょうか。本機ではサンプリング周波数48kHzまでなのでそれ以上の周波数成分は雑音として除去します。デジタルアンプで再生する場合、デジタルアンプの入力アナログ信号をAD変換するのでナイキスト周波数以上の信号は開いたノートを閉じるように低い周波数に折り返してしまうのでLPFは有効と考えて導入しています。
電子ボリューム回路
U4は-20dBuを入力レベルとした電子ボリューム回路です。詳しくは別項電子ボリュームの製作をご覧ください。出力はデジタルアンプに接続します。
ヘッドフォンアンプ回路
U5はヘッドフォン用のバッファーアンプです。半固定抵抗VR4,5で出力レベルを上げられますが、アナログアンプなのでS/Nが劣化します。最大+6dB程度のGAINで使用する事をお勧めします。通常のヘッドフォンレベルはPC側のボリューム操作で制御する事が出来ます。
全波整流回路
U8,9,10はオーディオレベル表示用の全波整流回路です。詳しい解説は別項のLCD VUディスプレーの製作をご覧ください。但し、本機には-5vがあるので整流回路の出力は反転させていません。OFF
SET電圧の影響も無く理想的に動作します。
マイコン周辺回路
U13はフリースケール社のHCS08マイコンMC9S08AC16です。44ピンフラットパッケージで内部クロックを使用するので水晶振動子やセラロックは不要です。プルアップ抵抗も内部で出来るので周辺部品は極めて少なくてすみます。直接LCDキャラクタディスプレーやフロントパネルのSW、電子ボリュームを制御します。
電源回路
マイコンに使用する+5VD以外はU7のFETスイッチで電源ON/OFFを制御します。デジタルアンプ用の+12VもFETスイッチを経由したものを出力します。
フロントパネル
図3にフロントパネルの回路図を示します。SW1〜SW8はタクトスイッチでSW8だけ別系統になっています。CN1を見るとSW1〜SW4がSWA列とSWB列に接続されている事が分かります。SW1〜SW4をマイコンポートに入力してプルアップします。SWAとSWBもマイコンポートに入力し通常は入力とします。例えばSWA列のスイッチの状態を知りたい時はSWAを出力にしてLowにします。そしてSW1〜SW4が接続されたポートを読みます。ボタンの押されたスイッチだけLowとなります。SWB列はSWが押されてもLowにならないのでSWA列だけを読み取る事が出来ます。スイッチが4つ増えてもポートを1個追加すれば対応できるのでIOポートを節約できます。
D1は2色発光のLEDで色は緑と赤です。U1は赤外線受信モジュールです。
総合配線図
図4に総合配線図を示します。図面サイズが大きくて文字が見えないので図3をクリックしてPDFファイルをダウンロードしてご覧ください。図の右側がフロントパネル、左側が背面パネルになります。PCの音以外も聞く事が出来るように外部入力LINE INを設けています。フロントパネルのスイッチで切り替える事が出来ます。USBコネクタは基板に直接付けてしまうと配置が制約されるのでサンハヤトのCK-20基板にUSBコネクタを取り付けて配線します。
図3 総合配線図