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田んぼのいきものだより

2015年3月13日

ニホンマムシ

関東の田んぼで出会うことができるヘビは、アオダイショウ、シマヘビ、ヒバカリ、ヤマカガシ、マムシの5種の内の一つである場合が多いかなと思います。今回は、その中でも、ちょっと注意の必要なヘビ、マムシを紹介します。

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ニホンマムシ

マムシの特徴は、身体に小判型の斑紋模様が並んでいることです。頭が三角形になっているともよく言われますが、他のヘビも威嚇する際には頭を三角形に変形させるので、私は模様で見分けるのが一番良い方法だと思います。慣れるとフィールドでも見分けることができるようになると思いますので、しっかり覚えて下さい。比べてもらうためにアオダイショウとシマヘビの写真も載せておきます。

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アオダイショウ

 

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シマヘビ

これらの種類も、子供のうちはマムシによく似た模様があり、マムシに間違われることがあります。ただ、さわらぬ神に祟りなし。マムシに似ていると思う場合はもちろん、確実に無毒のヘビだという確信が無い限りは無闇にヘビに手を出さないでください。

ただ、気を付けていても田んぼの中では誤って踏んでしまう事や、手に触れてしまう事があります。そういう時には咬まれる事もあるので咬まれた場合について少しだけ触れておきます。

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草地のマムシ 枯草に紛れ見分けがつきづらい

マムシは猛毒のヘビで噛まれるとすぐに死んでしまう。というようなイメージがあるかと思いますが、実際の致死率はそう高くはありません。噛まれた場合はまず落ち着くこと。慌てて走ったりしては余計に毒のまわりを速めてしまうことになります。まずは医療機関へと連絡を入れ、落ち着いて病院へ向かいましょう。現場での応急処置としては咬み傷周辺を強く押して毒を絞り出す程度に留めます。口で毒を吸うこと、咬まれた場所を縛ること、傷口を開いて毒を出す等の行為は、あまり意味が無かったり、余計に悪化させたりする恐れがあるので、やめておきましょう。

さて、そんな毒を持つマムシですが性格はとても臆病で、こちらから手を出さない限りは、マムシの方から積極的に噛みつきにやってくるということはありません。遠目から見る分には模様のとても綺麗なヘビです。また生態には興味深いところもあります。それは、卵胎生といわれる繁殖方法をとっていること。卵胎生とは簡単に言うとお腹の中で卵を孵し、子供を産む方法。つまり、マムシは見かけ上は卵ではなく子供を産むヘビだということになります。夏の終わり頃から秋口にかけて10尾前後の子供を産むそうです。

マムシは、田んぼの生態系ではピラミッドのトップに入る生きものです。マムシがいる事は生態系が豊かな場所であることの証にもなりますし、マムシ自身もその環境ではとても重要な生きものです。無暗に怖がったり、駆除の対象にしたりはしないで、適切な距離を知って接するようにしてほしいと思います。