三國志曹操伝

 

(PC/KOEI/シミュレーション)

 

 

英傑伝シリーズ最終作

 

 

久しぶりの更新。当初は光栄の源平合戦を取り上げるつもりで昨年末にプレイしてたんだけども、あれは、当時の光栄の国盗り型ゲームのお約束で自勢力が強大になっちゃうと途端に作業になってしまうタイプのゲームだった。なので、S1の木曽義仲でプレイしたものの太刀打ちできる勢力がなくなった時点で萎えてしまい、結局更新の原動力とはならなかった。スナップは撮ってあるのでまた別の機会に取り上げるかもしれないが………。そんなわけで去年はゲームネタの更新が1度もなかったのだが、最近CSでガオシーシー監督のドラマ「三国志」を見ていたら、久しぶりに三国志のゲームで遊びたくなってしまった。ウチにある三国志のゲームをあれこれ物色していたのだが、そこで目についたのがこの曹操伝。そーいや昔プレイした時は赤か黄ルート(後述)で、青ルートはやってなかったなぁ………と。国盗りゲーじゃないからだれずに遊べるし、これだ!というわけで題材は決まった。

で、この曹操伝。元々は光栄の三國志英傑伝というゲームが元になっている。蜀漢の劉備を主人公としたシミュレーションRPG(以下SRPG)で、最初はPC98用で1995年に発売された。当時、秋葉原のゲームショップで新品500円くらいで叩き売られていたのをすかさずゲットしてプレイしたのだが、三国志もSRPGも好きな自分のツボに入り、その後に「英傑伝シリーズ」として発売された「三國志孔明伝」「毛利元就~誓いの三矢~」「織田信長伝」「三國志曹操伝」ともれなく買ってしまった。………といってもことごとく特価品や中古で購入し、一番高かったのが「曹操伝」のロープライス版、しかも中古で2500円くらい。要するにこのシリーズ、軒並みそんな扱いだったのである。

ゲーム内容としては三国志の武将1人1人を1ユニットして扱い、個々のステージをクリアすることでストーリーが進んでいくという、面クリア型のゲームである。余談だが、第一作の英傑伝をプレイしていた当時、スーパーファミコンしか持っていない友人にこの英傑伝の素晴らしさを熱く語って、移植されたスーファミ版を盛んにすすめて買わせた事があった。しかし、ファイアーエムブレムを引き合いに出して「あんな感じ」とか、今思うと凄く申し訳ない例えですすめたもんだから、そのギャップの差により友人には大不評を被ってしまったというオチ。S玉君、ごめん。

ともあれ、シリーズ化されていたくらいだしそこそこ人気はあったと思うのだが、どういうわけか曹操伝を最後に新作が出なくなった。しかも他の英傑伝シリーズは全てコンシューマに移植されているのに、この曹操伝だけは移植どころか、KOEIの有料マニュアルとも言うべきガイドブックすら出ていないという冷遇ぶり。完成度としては最終作だけに間違いなく一番だと思うんだけどなぁ………。

 

ゲームの開始は曹操が黄巾賊を討伐するところから始まり、呂布や袁紹との戦いを経て、やがて劉備や孫権との対決へと進んでいく。初代の英傑伝や次作の孔明伝では、蜀がメインのシナリオだった為、劉備や孔明が寿命で死なず、魏を討って太平の世をつくる、といった展開だったが、今回は曹操が主人公である。蜀(劉備・孔明)は倒すべき敵であり、前2作ではチョイ役だった呉も、曹操視点では滅ぼすべき対象である。その分呉の面々も前2作に比べると出番が多く、個性豊かである。

 

ストーリーは三国志演義の話を曹操視点で追っていったもので基本的には一本道なのだが、途中ところどころに出てくる選択肢により、画面上部にあるゲージ(左写真で真っ赤っかになってるところ)の色が変わり、赤・黄ルートならば原作に比較的忠実な展開で、曹操が寿命で死なずに蜀と呉を滅ぼして天下統一を果たすという展開となる。だが、青ルートに進むと「IF」を通り越してファンタジーの世界とも言うべき「魔王覚醒」編へと突入する。今回プレイをしたきっかけはこの「魔王覚醒」編が未プレイだったからだが、結局青ルート終えた後にもっかいプレイして赤ルートも最後までプレイしてしまった。クリアした回数によって、次回プレイ時に許子将が曹操のレベルを上げてくれたり、アイテム図鑑を完成させていれば全てのアイテムを最初からくれたりして、繰り返しプレイが楽になるような作りになっているのだ。

 

そのレベルに関してだが、前回紹介したヒーローズオブマイト&マジックIIのように、1ステージクリアする度にレベルやアイテムがリセットされるというような事もなく、安心してお気に入りのキャラを育てる事ができる。英傑伝や孔明伝と比べると、自分が操れるユニットの数が大分絞り込まれている為、それほど役立たずなキャラもいないと思われ………いや、曹一族はいまいちぱっとしないかな。ステージによっては強制出陣になるところもあるので、まったく育てないわけにもいかないのだが、僕のようにこの手のゲームでは全キャラ万遍なく育てるようにしている人間にはあまり問題ないだろう。ちなみに敵レベルも自軍のレベルに合わせて上がってくる為、上述の2回目以降のプレイで許子将にレベルを上げてもらっても、それほど楽に勝ち進めるわけではない。ただ最初にレベルを上げてもらえれば15レベル毎に行えるクラスチェンジへの道のりが短くなる為、やりやすくなることには違いがない。この辺り、なかなか良いバランスだと思う。

 

レベルは各キャラクターが装備する武器と防具にもあり、レベルが上がる度に攻撃力・防御力が増していく。許子将にレベルを上げてもらった場合、キャラの能力はレベル相応に上がるが装備のレベルは変わらない為、こちらはこつこつと育てていくしかない。武器は攻撃する事により、防具は攻撃を受ける度に経験値が入っていく。他、補助アイテムも1つ装備できるようになっており、移動力をあげたり、毎ターン経験値が入ったりするものがあるので、ステージ毎にアイテムの持ち替えも重要になってくる。アイテムは店で買えるものの他に、特定の条件を満たす事で手に入れる事のできるアイテムがあり、後者のアイテムについては入手する度に宝物図鑑に記録されていくようになる。この図鑑を埋めてそのデータで最初からプレイを開始すると、許子将が全てのアイテムを使えるようにするか聞いてくるようになる。レベルは上げなくてもいいけど、アイテムは全部もらっておいた方が圧倒的に楽。ただ、アイテムによっては入手条件が厳しいものもあり、中には自軍のキャラの犠牲によって得られる物もある為、図鑑をコンプリートする過程においては悩ましく思えるところもあるだろう。まあ、その分岐手前でセーブデータ作っておけばいいだけどなんだけどね。

 

プレイヤーの操るユニットについては、武力や知力、統率力といった能力の他にクラス分けがされており、夏侯惇や曹仁が騎兵、李典や楽進が歩兵………といった具合。参謀系のキャラはファンタジー風にいえば、魔法使い系のユニットである。15レベル、30レベルを超えるとアイテムを使う事によってランクアップし、攻撃範囲が広がったり新たな策略を覚えたりする。自ユニットの攻撃範囲外から攻撃を受けた場合、一方的にやられてしまうが、ランクアップで攻撃範囲が広がれば大分楽になるのはこの手のゲームのお約束。ユニットを動かす順番も考えてやらないと無駄な動きができてしまったりして、ここぞという時に危機に陥る事も多い。敵は自軍の弱めのユニットを集中攻撃する傾向にあるので、その辺りの事も考慮して作戦を立てる必要がある。とはいえ、特定ステージの特定のユニットでない限り、やられても次のステージで復帰しているから、完全勝利にこだわらなければどうということはないのだが。

 

 

 

実際プレイしてみれば、それほど難易度の高いステージというのはあまりないが、典韋や郭嘉など特定のキャラの生死に関わるステージや、原作で曹操軍が敗れた戦い(博望坡、赤壁)などはさすがに一筋縄ではいかなくなっている。典韋救出はアイテムを有効活用すればなんとか、赤壁の戦いも郭嘉が生きていればそれほど苦労する戦いでもないので、歯ごたえのあるプレイをしたいのであれば、あえてそれらの条件を満たさないようにするのもまた一興。 

ところでこれまで貼ってきた画像でお察し頂けると思うが、このゲームに出てくるキャラクターはなかなか個性豊かな連中ばかりである。三国志を元にしたキャラゲーともいうべきゲームなのだが、荀イクはカマっぽいし、許チョは天然だし………っと、自陣営ではこの二人以外は割とまともかな。韓当に下品呼ばわりされる周泰・丁奉や毎回何かしらの格言を言う呂蒙、ナルシストな周瑜、顔とセリフがチンピラっぽい孟達、他人を見下すが自身も大したことない馬謖など、皆それほどセリフが多いわけではないが、短い登場期間の中でもしっかりその存在をアピールしている。

 

しかし個性的、というレベルではない程にキャラが変わってしまったのが青ルートの孔明。上述の通り、青ルートは歴史の「IF」とかいうのではなく、おもいっきりファンタジーの路線を突っ走ってしまっている。何しろ、古の魔王に心も体も乗っ取られてしまった孔明が世界を手中に収めようと暗躍する話なのである。手始めに蜀攻略中のホウ統を、援軍要請を無視して死に追いやり、次に蜀攻めに加わりたがった関羽を利用して劉備・張飛を荊州に送り込み、死んだフリして潜伏していた周瑜にこれを討たせるという腹黒ぶり。

 

劉備の遺書から孔明の裏切りを知った曹操は、生き残った関羽を配下に加えて孔明と連携した呉をまず討ち、次いで蜀へと攻め込む。孔明と周瑜以外の人々はただ自国を守ろうと戦っているだけなのだが、曹操軍との戦いで次々と命を落としていく。おのれ孔明許すまじー! と攻め入った先で待ち構えていたのは、魔王孔明が蘇らせたゾンビ武将達。周瑜や孫権、劉備や張飛まで登場して、なんとも嫌なオールスターゲームといったところ。孔明伝で孔明が皇帝になるシナリオなんざ比べ物にならないトンデモ展開である。このシナリオだけだったら、KOEIやっちまったなあ! と、クソゲー扱いされる可能性大だったと思うのだが、ちゃんと正統ルート(赤・黄)もあることだし、これはこれで面白いからいっかあ! という気になるのである。

 

………と、まあそんなわけで今更なゲームを取り上げてみたが(毎度の事だが)、久しぶりにプレイしたけどやっぱり面白い。PC版しか存在しないゲームだが、何年か前にコーエー定番シリーズとして1980円で発売されており今でも普通に買えるので、これまでウチで取り上げたゲームの中では入手の容易いゲームである。PCでゲームなんて………という人も多いだろうが、機会があったらプレイしてみて欲しい。個人的には劉備、曹操と来たのだから呉を主役に据えた孫権伝を出して欲しかったが、今となってはもはや………。ちなみに英傑伝シリーズ好きを公言している癖に、ちゃんとプレイしたのは三国志のシリーズだけ。毛利元就はアイテム組み合わせるのが楽しかった一方、1ステージに時間がかかりすぎてたるくなり、織田信長伝に至ってはまともにプレイすらしていない。いやだって、佐久間信盛とか林秀貞とか使っても楽しくないんだもん。まあそれを言うと毛利元就も登場する武将がかなり微妙だったのだが。

最後に一つ、バグについて。今出ている定番シリーズではどうかわからないけど、僕が買った曹操伝にはマップ表示がおかしくなるバグがあった。昔から光栄のPCゲームはバグが多いと言われていたのだが、実はまったく同じバグがそれ以前に買った毛利元就でも発生していた為、当時光栄のサポートに問い合わせてサポートディスク(3.5インチのフロッピーですよ奥さん!)を送ってもらったのだが改善しない。効果ねえぞゴルァ!と再度問い合わせたところ、今度はメールで「CDの中のファイルをハードディスクにコピーして下さい。以上」ってな返事が来たのでその通りにしたところ、問題が解決したという事があった。曹操伝の時もまったく同じ現象だったのでその通りにしたところ改善。今度は自力で改善できてめでたしめでたしだったが、何で違う作品でまったく同じ症状がおきるのよ………。まあ今となってはどうでもいいことなのだが、以前公開していた日記でこのバグについて触れた時に問い合わせてきた人がいたので、一応記しておきます。

 

2016年11月追記

最近のブラウザで体裁が崩れているのを長い事ほったらかしにしていたのだが、それを直すついでにちょこっとだけ、文を修正した。が、それはどうでも良い話で。

ここで触れたいのは、これ

胡散臭いリンクなんぞ踏むもんかーって人に軽く説明すると、三國志曹操伝がオンラインのスマホゲーとして復活、って話。

………なんでスマホゲーなのよ、と思わないでもないが、てっきり黒歴史扱いされてるとばかり思ってたゲームがこうして蘇るというのだから、ここは素直に喜びたい。色々引っかかる事はあるけど、プロモムービー見る限り、それほど悪くなさそうだしなあ。

プロモムービーはこちら

まあ、発表されてから既に1年以上経ってるんだけど、のんびり待つとしましょうか。

 

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