ハハコグサ 母子草 / チチコグサ 父子草 ( キク科 )

ハハコグサ 母子草 は、御形 ( オギョウ、または ゴギョウ ) と呼ばれる春の七草のひとつです。 全国の道端などで普通に見られる2年草で、秋に発芽して、ロゼットの状態で冬を越します。 春に基部から分枝して茎を立ち上げ、草丈10~40cmになり、根生葉は花期にも残ります。 葉や茎は、柔らかい白い毛に被われて、白緑色に見えます。 茎葉は互生、幅の狭い倒披針形で、葉柄には翼があり、基部はやや茎に流れます。

花期はふつう4~6月、条件がよければ秋に咲く※1こともあります。 茎頂付近で短い枝を分け、多数の黄色い頭花をつけます。 頭花は壺型で、中心に両性花があり、周りを多数の雌花が囲みます。 両性花の花筒は、雌花に比べて太く、先端は5裂します。 雌花の花筒は細く、先端は3裂し、花柱は突出して、先が2裂します。 果実は痩果で、基部に1列の冠毛がつきます。

古名の 「 ほうこぐさ 」 は、痩果の冠毛がほうけ立つ様子からつけられたといわれます。 「 母子草 」の名は、古名が元となったと推測され、千年以上前に創作された名前とされます。 やさしい名前ですが、発生量が多く、耕作地に入ると害草になります。
※1 秋に咲く : 別種 アキノハハコグサは、秋に咲く。 違いは茎の上部で分岐すること。

属名:Pseudognaphalium 、偽の Pseudo + gnaphalium チチコグサ属名 ( 次項参照 )。
種小名:affinis 、近似の、酷似した という意味。類似するものは不明。
ハハコグサ 母子草 Pseudognaphalium affine syn.Gnaphalium affine 撮影・東京都

チチコグサ 父子草 は、日本全国に分布する多年草で、やや乾いた丘などに生育します。 和名はハハコグサに対応してつけられました。冬はロゼットで越し、春に細い茎を立ち上げ、草丈は10~30cmになります。 葉には綿毛が生え、特に裏面には密生して、銀白色に見えます。 根生葉は線状披針形で、花期にも残り、茎葉は線形で、数枚が互生してつきます。

花期は4月から10月と長く、花茎は枝分かれせず、茎頂に多数の頭花が集まる花序をつけます。 頭花は茶褐色で、中心部分に両性花があり、周りを多数の雌花が囲みます。 花序の直下には、数枚の総苞葉が放射状につき目立ちます。 果実には冠毛があり、風に乗り散布されます。 種子繁殖の他に栄養繁殖も行い、ほふく茎を延ばして先端に新しい株をつけ、小さな集団をつくりながら拡がります。

属名:Gnaphalium 、一握りのむく毛 gnaphallon から。フェルトの元になった言葉。
シノニム属名:Euchiton 、良い eu + ( 植物の ) 外皮 chiton から。由来不明。
種小名:japonicum 、日本の という意味。
2005.-2014.-2021.04.10.Re
チチコグサ 父子草 Gnaphalium japonicum syn.Euchiton japonicus 東京都
チチコグサモドキ/ウラジロチチコグサは、チチコグサモドキ属へ。

このページのトップへ↑