むし

 ここでは,身の回りのむしたちの生活に焦点をあてます。動物のコーナーからむしを独立させました。


A2 自宅敷地内で何種類の蝶が採集できるのか

 

最近世界的に昆虫が減少しているとの報告をよく目にする。「ドイツの自然保護区での調査では,過去27年間で飛行する昆虫は76%減少した」「プエルトリコでは熱帯雨林の節足動物が過去40年間で60分の1に減少した」等の報告がある。細々と四十数年にわたって蝶の観察・採集をしてきた私も同じようなことを感じていた。定量的な調査をしたわけではないが,西表島や北海道でも十数年前に比べ明らかに蝶は減少したように感じる。自宅周辺でも蝶は減ってきているのか。そこで自宅の敷地内で何種類の蝶が採集できるのか調べてみた。

採集地 福岡県小郡市二森(筑紫平野の北部に位置する田園地帯であり,集落には各家に庭木があり緑が豊かである。筑後川の支流となる宝満川の堤防が自宅から300mの距離にあり,その堤防には多くの種類の草木が生えている。) 

採集方法 一週間に一度くらい暇なときに網を持って敷地内を一周し,目についた蝶を採集する。また敷地内にいた幼虫は飼育し,敷地内で採集された蝶とする。

採集期間 2017年10月から2018年11月


 頻度は; +++ 一目で数匹目に入る ++ よく見かける + たまに見かける 
    - めったに見かけない -- 一度しか見かけたことがない

  種 名 頻 度 備 考
アオスジアゲハ + 特に4月から5月にかけて多い。庭に植えているアボカドに産卵している。
アゲハ ++ ミカンの木によくみられる。新芽に卵を産み付けている。
キアゲハ + ニンジンに産卵している。ニンジンがないときにはほとんど見かけない。
4 ナガサキアゲハ ++ ミカンの木によく見られ,新芽に産卵している。アゲハと同じくらい普通に見かける。
5 ツマキチョウ + 春の2週間くらい見かける。
6 モンシロチョウ +++ キャベツ・大根等に群がっている。野菜の害虫となっている。
7 キタキチョウ ++ 庭に一年を通して見かける。冬も落ち葉に隠れて越冬している。
8 モンキチョウ 数回しか目にしていない。白色の雌のみ採集できた。
9 ウラギンシジミ 数回しか目にしていない。雌雄ともに見かける。
10 ムラサキシジミ -- 例年は数回見かけるが,調査期間に限っては1度しか 見かけなかった。アラカシに来る。
11 ムラサキツバメ 毎年数回見かける。ミカンの葉によく止まっている。以前はいなかったがここ数年見かけるようになった。
12 ベニシジミ    ++ 春から秋まで普通に見かける。スイバに産卵している。
13 ヤマトシジミ ++ 春から秋まで普通に見かける。
14 サツマシジミ -- 調査期間に限っては1度しか見かけなかった。自宅庭ではカイノキに産卵する。
15 ルリシジミ + 庭木の間を素早く飛んでいる。4月から6月にかけて見かける。
16 ウラナミシジミ ++ 秋に豆類の上を飛んでいる。11月まで見かける。
17 クロマダラソテツシジミ + 秋に見られる。迷蝶であるが11月まで見かける。年によりみられる数に変動がある。
18 ヒメアカタテハ ++ 秋に多くなる。天気がいい日には12月まで菊の花に止まっている。
19 アカタテハ ++ ヒメアカタテハより幾分少ないが熟れた渋柿によく来ている。大きさが不揃いである。
20 キタテハ +++ 秋に多くなり,柿の実に群がっている。天気がいいと12月まで菊の花に群がる。
21 ルリタテハ 夏から秋にかけて数度目にした。熟した果物に来ている。
22 タテハモドキ 毎年何度か見かける程度である。10月に採集したのは夏型であったが,秋型もいる。
23 リュウキュウムラサキ -- 10月にサツマイモで発生していた。サツマイモで羽化したばかりの雌雄を採集し,その後庭にいた雄を採集した。
24 ツマグロヒョウモン ++ 春から秋まで普通に見られる。パンジーで発生していて終齢幼虫が庭を這っているのをよく見かける。
25 コミスジ + 数年前までは見かけなかった。木が大きくなったから見かけるようになったのだろうか。
26 ゴマダラチョウ + エノキに産卵しているのを見かける。冬にはエノキの落ち葉に幼虫がみられる。
27 コムラサキ + 秋に熟した果物に来ている。
28 ヒメウラナミジャノメ ++ イネ科の植物で発生している。4月から飛び始める。
29 ヒメジャノメ + 10年くらい前は普通にいたが,減少傾向のようである。ヒメウラナミジャノメに遅れて5月ごろから発生する。
30 クロコノマチョウ 秋になると毎年数回は目にする。いくらか増加しているように感じる。
31 アサギマダラ -- 例年複数回は見るが,調査期間中には10月に一度目にしただけであった。
32 クロセセリ -- ミョウガに来ているのだろう。毎年何度か見るが,見かける機会が減ってきている感じがする。
33 チャバネセセリ ++ 秋になると菊の花に群がっている。
34 イチモンジセセリ ++ 春からみられるが,秋に多くなる。

※上記34種のほかにテングチョウを確認している。採集できなかったので別にしている。

結果 
 約一年で34種の蝶が採集できた。他に採集できなかったが目視した蝶が1種類いた。だいたい予想通りの蝶が採集できた。森林性のチョウも多く,ある程度自然が残されていることが分かった。定量的に調べたわけではないが,蝶の種類、数ともに減少しているとは感じなかった。むしろ南方から北上してきた蝶が増えていることが分かった。

まとめ 
 この調査では自宅敷地という定点観測であり,調査しやすいという利点はあるものの,範囲が狭いのでもう少し広い範囲を調査地に選ぶとより意味のあるデータとなったのではないかと思う。新たな種類の蝶が採集できた時は心が躍り,種類が増えるごとに楽しさも増していった。海外での蝶採集も楽しいが,身近な蝶の調査も変わらないくらい楽しいものであった。これを予備調査として,5年ごとに調査すると一定の傾向が見えてくると思われる。調査方法としては週1回,曜日・時間を決め定期的に調査し,目視できた蝶の個体数調査を1年間通して行うといいのではないかと思う。ただ年齢的に何回できるかはわからない。(Y,T)

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A4 庭の池の住人たち

 

 庭の池には様々な生き物が住み着いている。特にギンヤンマのヤゴが多い。毎年4月の晴れた日には一斉に成虫となり飛び立っていく。時には十数匹も羽化している。その横でコガタノゲンゴロウが数匹泳ぎ回っている。アメンボも負けずに泳いでいる。
 コガタノゲンゴロウはいつから池の住人になったのだろうか。5年前くらい前から姿を現している。水草の陰には独特の形をした幼虫も見ることがある。以前は見ることがなかった小郡市でも急に増加しているのではないだろうか。試しに2018年11月に近所の水路を見て回ったら,やはりいた。網ですくうと元気のいいコガタノゲンゴロウが次々と中に入ってきた。コガタノゲンゴロウは近年の温暖化等の環境変化に適応しやすいのだろうか。
(Y,T)

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A5 庭の池のトンボ ~梅雨・夏・秋~

 庭の池には春から秋まで様々な種類のトンボが飛んでいる。梅雨の季節のトンボを撮ってみた。トンボについては詳しくないので種名には自信がない。ベニイトトンボ?は10年前にはいなかったような気がする。いつから池の住人になったのだろうか。10匹くらい飛んでいた。チョウトンボは庭の池にはあまり多いトンボではない。他のトンボから追い立てられて、庭の外に追いやられる。しかしすぐに戻ってくる。庭の池には数年前から住んでいる。トンボの行動を見ているのも楽しいものである。(Y,T)

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A7 庭や畑の虫たち

 ここでは,会員の皆さんが庭や畑などで撮影した虫の写真を紹介します。(岸田志朗)

一般

 

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A8 冬の虫たち

 ここでは,冬(冬至から節分まで)の間でも活動している昆虫などの小動物を紹介します。

 

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